2007-01-01から1年間の記事一覧

年の瀬が年の瀬っぽくなくなって困ったもんだが

今日は仕事納めの日なんだけど、全然普段の日と変わらない感じです。昔の仕事納めの日っていうのは、もっと年の瀬っぽかった気がするんだけどねぇ。今は、仕事がグローバル化していて、海外は年末年始のお休みが日本より短かったりするから、海外に合わせて…

宮部みゆき「誰か」〜ハードボイルド・マイホームパパ〜

宮部みゆきさんには、勝負をかける作品と、ちょっと息を抜くために書いてらっしゃるような作品がある気がしています。「レベル7」「火車」「理由」「模倣犯」・・・一種、宮部さん自身が、ものすごく意欲的に新しい試みにチャレンジしていこうとした作品群…

大田文化の森合唱団のお手伝い〜プロとアマチュアの理想的なコラボレーション〜

最近どうも忙しさにかまけて、日記の更新がおろそかになっていて済みません。色々と書きたいネタは溜まっているのですが・・・特に、最近ちょっと読書ペースが上がっているので、最近読んだ本のタイトルだけ、ちょっと並べておきます。また感想文が書けたら…

離人症的世界って、ひょっとしたら・・・

つい先日の日記で、P.K.ディックの描く世界が「離人症」の兆候を示している気がする、という話を書きました。その後、ひょっとして、ディックが一種の悪夢的未来図として描いた離人症的世界が、すごく身近に広がりつつあるんじゃないだろうか、という気分に…

「火星のタイム・スリップ」〜離人症的世界〜

以前読んだ本に、木村敏先生の「時間と自己」という本があり、これが非常に知的興奮に充ちた本でした。離人症という精神症例において、時間感覚や存在への実感が希薄になる、という現象が起こる。そこで起こっていることを分析すると、人間が世界を把握する…

風物詩

週末あたりから娘の咳がひどくなってきて、金曜日の夜あたりから発熱。土曜日・日曜日と38度を越える熱が出る。わりと元気なので、大丈夫かなぁ、と思っていたんですが、昨日お医者さんで検査してみたらば、大当たり。インフルエンザでした。今年こそ皆勤…

世間は狭い

先週の日曜日、娘を連れて青山教会に行く。以前さいたまオペラで舞台をご一緒した、ソプラノ歌手の岡村正子さんが、古楽器のアンサンブルの「ラ・カリテ」というグループの演奏会に客演される、というので、案内をいただいたのです。ちょうど、女房が「美し…

「ちりとてちん」〜人を気持ちよくするには〜

先週末までのインプットを下記に並べておきます。相変わらず実りの多い日々です。・ドラマ「ちりとてちん」を女房と一緒に見る。よく出来た脚本だなぁ。 ・P.K.ディック「火星のタイム・トリップ」を読了。この時期のSFで、やるべきネタは全部出尽くし…

久しぶりの「第九」

今年も第九の季節になってきました。女房は、大久保混声合唱団の関係で、毎年必ず第九を歌っているのだけど、私は久しく歌っていない。社会人になって数年目くらいに、大学時代の合唱団のOB合唱団で歌ったのが最後・・・だから、もう15年くらい歌っていな…

「海辺のカフカ」「アフターダーク」〜読書感想文が書きたくなる小説〜

最近再び読み始めた村上春樹さんの小説、2冊を立て続けに読了。1995年の精神的カタストロフを経て、新たなメッセージを発信し始めた村上さんの、深化し続ける世界観にどっぷりと浸る。村上春樹さんの作品については、この日記で何冊も取り上げているの…

「殺人を綴る女」〜根無し草たちのアメリカ〜

ここのところ、インプットの機会がすごく多くて、ありがたい話。デセイのリサイタル、二期会の「天国と地獄」だけじゃなく、日記に書ききれない勢いで、色んなインプットがあります。この日記に感想を書ききれるかどうかは別として、とりあえず、下に並べて…

二期会公演「天国と地獄」〜人のことはいくらでも言えるんだけどさ〜

昨日、行ってまいりました日生劇場、二期会の「天国と地獄」です。 台詞:佐藤 信 指揮:阪 哲朗 演出・美術:佐藤 信 衣装:櫻井 利彦 照明:黒尾 芳昭 映像:吉本 直聞 振付:謝 珠栄 美術補:工藤 明夫 演出助手:高岸 未朝 合唱指揮:松井 和彦 舞台監督…

ナタリー・デセイ リサイタル〜ヴァーチャル談義〜

昨夜、行ってまいりました、ナタリー・デセイのリサイタル。演奏会の後、会場で一緒になったS弁護士夫妻と私と、3人で食事。例によって興奮状態で、時間を忘れて語り合う。帰宅後、一足先に、土曜日のリサイタルを聞いていた女房とも語り合う。そういう語り…

詰め込み教育って、大事だよ

娘が掛け算の九九を習い始めました。2年生で勉強する算数の2つ目のヤマだね。1つ目は、「素過程」という足し算引き算のパターンを覚えるもの。「11−5」とか、「5+9」といった繰り上がりの足し算引き算を、考えなくてもすぐに答えられるように暗記す…

「ラディゲの死」〜言語と肉体のバランス〜

三島由紀夫という人の本は、「金閣寺」「潮騒」「音楽」「仮面の告白」くらいを読んだだけかな。近代能楽集も読みました。非常に知的で緻密に組み上げられた、論文のような小説を書く人、という印象がありました。北杜夫に引き続き、ちょっと古典的な名作や…

色々と活動

週末から月曜日にかけて、家族して色々と活動しておりました。例によって日記風に。土曜日、女房は、上野で開催されていた全日本合唱コンクールの、大学の部と職場Aの部を聞きに出かける。娘と私は留守番の予定だったのだけど、金曜日、私の仕事が終わらなか…

てー字路ですか、ティー字路ですか?

昨夜、家族で、「言葉おじさんのナットク日本語塾」を見ていました。YシャツのYというのは、Tシャツのようにシャツの形状を意味するものじゃなくって、外国人の言う「White」という単語を、「ワイ」と聞き間違えた結果なんですってね。へぇ、と思いながら聞…

始まりました、「美しきエレーヌ」

週末、久しぶりのガレリア座の練習に参加。6月に予定されている、オッフェンバックの「美しきエレーヌ」です。今回、私がもらった役は、カルカス、というジュピターの神官。ソリストではあるんですが、単独で歌うまとまった曲はほとんどありません。とはい…

池澤夏樹「静かな大地」・横山秀夫「半落ち」〜落ちが分かっているのに〜

ノルマの本番前から読み進めていた、池澤夏樹「静かな大地」。日本民族が過去に冒した犯罪の中でも最大のものの一つ、ともいえる、「アイヌ抑圧」の告発記でもあるのだけど、タイトル通り、全編が極めて「静か」に進む。その静けさが、声高な抗議の声ではな…

本当のハロウィーン

先週の土曜日、「ノルマ」の舞台が終わって、さて、日曜日も頑張るぞ、と電車で家路につく。蒲田から品川駅で乗り換えようとしたら、山手線のホームが異様な空気に包まれている。何事か、と思ったら、山手線の電車の中ほど、2両ほどの車両に、異様な風体の…

大田区民オペラ「ノルマ」〜なかなか難しいもんだ〜

土日、大田区民オペラ合唱団の「ノルマ」が終了。色々と考えさせられることが多かった舞台でした。つらつらと書き並べてみます。まずは自分自身のパフォーマンスのこと。かなり熱い芝居をして、合唱団に対する司令塔の一つのような形で機能していたのだけど…

舞台袖にて

今まさに今週末の「ノルマ」のGP中です。体調万全とは言いがたいのだけど、なんとかなりそう。例によってわりと真ん中近くでこちゃこちゃやってます(笑) 今回は、舞台裏でもいろいろと勉強させられることが多い舞台でした。娘も、出演者の子供たちと友達…

多彩な音が一つになるのだ

音楽、特にオペラなんぞをやっていると、音楽と歌い手の感情とがしっくりシンクロした時に、ぞわっとするような感動が生まれる時があります。そういう音楽の持つ魔力のようなものを最大限に利用したのがナチス・ドイツで、それ以降、音楽の持つそういう陶酔…

大阪弁の破壊力

最近忙しくて更新がおろそかになっていてすみません。週末から結構話題だったのが、亀田一家バッシングですけど、今日は、この現象の背景にある、大阪弁という言語についてちょっと考えてみたいと思います。というのも、亀田一家があれだけバッシングされる…

ちゃんと編集段階でチェックしてよ・・・

昨夜、TVで、泉ピン子さんが老いた盲導犬の暮らす施設を訪ねる、という企画をやっていた。そこで、パピーウォーカーの家に預けられた盲導犬候補の子犬が紹介されていて、この子が赤ん坊の時、母犬のおっぱいを飲んでいる絵が出てくる。そこでナレーターが…

「母の影」〜圧倒的な両親〜

北杜夫さん、という作家は、思春期の頃に随分読んだ作家さんです。自分とちょっと名前が似ていたので親しみがあった、というのもそうだけど、初期の感傷的な短編や、重量感のある長編小説の中にある濃厚なロマンティシズムにすっかり心酔した時期がありまし…

「黒い家」〜女優で読む〜

「読んでから見るか、見てから読むか」という角川映画の有名なキャッチコピーがありました。映画とその原作・・・というのはその点、一種の緊張関係で結ばれていますよね。文字情報というのは画像情報に比べて情報量が格段に落ちるので、その欠落した部分を…

コウモリくんの次は・・・

私の住んでいる調布という所は、それなりに緑や畑が多くて、多少田舎っぽい風情が残っている、という話を、以前からこの日記に書いています。おかげで家の中にコウモリのキーキくんが飛び込んできたりするわけだけど。女房もそうだけど、私も、子供の頃から…

「フランチェスコの暗号」〜歴史暗号青春ミステリー〜

図書館に行って、なじみの作家の本や、昔話題になった本なんかを漁る中で、時々、題名だけを見て、「これは面白そう」と借り出す本があります。この「フランチェスコの暗号」もそんな感じで手に取りました。「ダヴィンチ・コード」でブームになった、ルネッ…

「遅れてる」って?

うちの娘の通っている小学校には、プールがありません。水泳の授業は、年に一度の臨海学校で、海で泳ぎを教わります。体育館もありません。ちょっと広めの講堂と、児童数の割には広い校庭があり、週に一度、全校生徒で近くの公園で思いっきり遊ぶ時間がある…