年の瀬が年の瀬っぽくなくなって困ったもんだが

今日は仕事納めの日なんだけど、全然普段の日と変わらない感じです。昔の仕事納めの日っていうのは、もっと年の瀬っぽかった気がするんだけどねぇ。今は、仕事がグローバル化していて、海外は年末年始のお休みが日本より短かったりするから、海外に合わせて仕事をしていると、年の瀬という気分がどんどん薄れてしまう。昔に比べて、企業活動自体が24時間土日なし、という感じになってきているのも一因でしょうけど。

と、なかなか気分的に、1年の締めくくり、という感じがしないのだけど、この日記で毎年やっている、今年一年のインプットから、印象に残った3つを選んでみたいと思います。
 
(1)「南の島のティオ」公演

(2)大田文化の森合唱団のお手伝い

(3)新宿オペレッタ劇場「小公爵」・大田区民オペラ「ノルマ」参加
 
・・・例によってこの他にも、合唱曲にオリジナルの物語をつける、というアプローチが新鮮だった、コール・サファイア/コール・キルシェの合同演奏会の「愛は波の彼方に」とか、歌唱表現ということについて色々と考えさせてくれた、ナタリー・デセイのリサイタル、400年の歌舞伎の歴史の重さを感じた「NINAGAWA十二夜」など、印象深いインプットは一杯あったのだけど、自分のこれからの舞台表現を見直すきっかけになった、という点で、上の3つを選んでみました。

「ノルマ」では、林康子さんの凄まじい舞台表現を目の当たりにしたことを筆頭として、三浦安浩さんの演出スタイルや、区民オペラのあり方・・・などについて、色々と考えさせられた舞台でした。一役者としてみれば、非常に反省点の多い舞台で、自分の舞台上でのポジションについて、再度自省するきかっけになった舞台・・・と言えるかもしれない。

同じようなことは、新宿オペレッタ劇場の「小公爵」の舞台でもいえて、要するに、「素人の割には歌も芝居もそこそこ」程度の実力である自分が、オペラ合唱団という集団の中でどう振舞えばいいのか、(演技にせよ、練習への参加方法にせよ、あるいはソリストの皆さんとの距離感にせよ)という点について、もう一度自分自身を見直さざるを得なかった・・・んですね。オレが引っ張らないと、という傲慢さや自己主張を、美しい舞台表現に昇華していくためにはどうしたらいいか。まずは、「ずぶの素人よりは多少目立つ」程度の自分の歌と芝居を、きちんと客観的に見直していくこと。自分自身を常に批判的に見ること・・・

大田文化の森合唱団のお手伝いでは、生駒文昭先生という指導者や、若いプロの音楽家の方々との出会いがあって、自分が「こんな舞台がやりたいなぁ」という夢が一段と広がった気がしています。(3)ともつながるのだけど、プロの方々とアマチュアの方々が、自分たちの理想とする舞台に向かって一つになっていく・・・そういう舞台に、自分も参加している幸福感。こんな舞台を、自分でも是非作ってみたい・・・

「南の島のティオ」の舞台では、自分が住んでいる調布、という場所に根を下ろして、地元の人々に喜んでもらえる舞台を作っていく楽しさ・・・を感じることができました。お土産の絵葉書を目を輝かせて選んでいた子供たちの姿が忘れられない。

舞台をプロデュースする人間として、あるいは舞台表現に参加する人間として、自分がこれから作っていく舞台の方向性・・・のようなものを、再度認識させられた一年・・・という感じがしています。自分はあくまでアマチュアであって、プロではないのだけど、純粋なアマチュアといえるか、といえば、ちょっと中途半端なところがあります。一応、舞台監督とかナレーションのお仕事をもらい、それなりの報酬を得ているわけですから、プロの真似事をしているアマチュア・・・といった立場にいる。自分のパフォーマンスが、本当にプロとして舞台で勝負している方々に比べて、遜色ないレベルに達しているか、といえば、そんなことは全然ないのだけど、アマチュアの団体の中にいると、良くも悪くも目立ってしまう。そういう自分のポジションの中途半端さを改めて感じた一年。

でも逆に、そういう立場の自分だからこそ、作れる舞台があるはず。そういう立場の自分だからこそ演じられる舞台上の立ち位置、というのが、必ずあるはず。これから色んな舞台に関わっていく中で、自分の立ち位置をじっくり客観的に見つめていきたい。そうすることで、少しでも舞台全体のクオリティを上げることができれば・・・「悪目立ち」するのじゃなくて、しっかり全体の中の一つのピースになっていながら、全体のクオリティを引き上げるお手伝いができるような、そんなポジションが見つけられないだろうか。

これからも、そうやって自分の立ち位置を確かめ確かめ、色んな舞台に関わっていきたいと思います。一年間、こんな中途半端なプレイヤーと舞台をご一緒してくださった皆様、本当にありがとうございました。来年もきっとどこかで、素敵な時間をご一緒できることを祈りつつ。皆様、よいお年をお迎えくださいませ。