本
通勤電車の中で楽譜を読むようになって、一時期ほど文庫本の乱読はしなくなっていたんですが、最近またペースが上がってきました。自宅の本棚に埋もれていた未読本、図書館で手当たり次第に借りてきた文庫本などなど。いつものように流行本とか話題の新刊な…
東京シティオペラ公演の関係でお近づきになる機会を得て、そのお人柄にすっかり魅了されてしまった、声優界の生神さま、矢島正明先生。初めて「宇宙大作戦」のカーク船長の声を聞いた時からファンだった先生が、お食事をご一緒して下さった時、照れくさそう…
私が図書館に行って本を借り出す時の行動パターンというのは大体決まっていて、(1)まずは、お気に入りの作家の未読作品をチェック。次に、(2)題名をざっと見て話題作と言われた作品をチェック。それから、(3)読んだことのない作家の面白そうな作品をチェック…
最近読んだ本の感想文、今回は、久しぶりの池澤夏樹さんと、映画でちょっと話題になっていた乾緑郎さんのSFミステリー。例によってネタばれ記述多数なので、未読の方は要注意。 ・「光の指で触れよ」前作の「すばらしき新世界」に続く、池澤夏樹の「提言小説…
上橋菜穂子さんの「獣の奏者」に感動した、という感想を書いたら、ガレリア座のリアル獣の奏者のA乃ちゃん(トランペット吹きの獣医さん)が、守り人シリーズを全巻貸してくれたのです。全七巻、文庫本にして十冊。このリフレッシュ休暇中に一気に読了。日本…
今日は最近読んだ二冊の本の感想文です。読んでない方にはちんぷんかんぷんの記述も出てくるかもしれませんが、ご容赦のほどを。鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」を見たのは、大学生になってからだった気がする。封切られたのは1980年だから、私が中…
獣の奏者、という本のことはずっと気になっていました。何よりタイトルがいい。見ただけで、野に広がる音の響きが、さあっと頭の中に鳴る感覚がある。アニメ化され、上橋菜穂子さんが文化人類学者だ、と聞いてさらに興味は募る。文化人類学者を親に持ち、希…
最近読んだ本を何冊かまとめて。 「犬の力」(ドン•ウィズロウ) かなり以前から購入していたのだけど、ちらっと見た書評で、とにかく暴力描写が半端ない、という書評があって、若干飛び込むのに躊躇していたドン•ウィズロウの長編。飛び込んでしまえばいつ…
相変わらず活字中毒なので、とにかく常に何かしら活字を追いかけておりますが、最近読んだ本は割と流行を追いかけて、伊坂幸太郎さんの新刊「バイバイ、ブラックバード」、映画は見たけど原作を読んでなかった「ゴールデンスランバー」、評判がいいので思わ…
まだiPadMiniを購入する前、自宅の本棚をぼんやり眺めていて、何の気なしに、ドストエフスキーの「罪と罰」を手に取りました。中学時代に一度通読して、それっきりになってたなー、と思い、そういえばどんな小説だっけ、と頭から読み始めてみて、そのままの…
なんとなく立ち寄った書店で、手に取った「ナチの亡霊」が結構面白かったので、シリーズ第一巻の「マギの聖骨」も一気に読んでしまいました、ジェームズ・ロリンズ作、「シグマフォースシリーズ」。本の帯にも、「ダ・ヴィンチ・コード」×インディー・ジョー…
最近また例によって乱読が始まっていて、時代小説のアンソロジーだの怪奇小説のアンソロジーだの、わりと気軽に読める短編集を漁りながら、並行して小川洋子さんの文庫本を何冊か続けて読んでいます。猛暑が続くこの夏に、このひんやりした無機質な感じがい…
書店でずいぶん平積みになっていて、思わず買ってしまったマクニールの「世界史」を、最近読み進めています。すごく分かりやすくて面白いのは、世界史の流れを、ある社会で起こった一つのパラダイムシフトが、水面に広がる波紋のように世界に広がっていき、…
歌っていうのは、文学とか建築とか絵画みたいに形に残らない。リアルタイムの芸術なので、その歴史を追いかけるには、記録に残っている歌詞を追いかけるか、民俗学的なアプローチで古来からの口伝で残されている歌を、フィールドワークによって採集していく…
人の死、ということをどう受け止めるか、というのは、残された生きている人たちの課題であって、死者は決して戻ってこないし、死後の魂について語ることは、死んだことのない人間には無理なこと。人の死を無駄にしない、という言葉も、生きている人たちの思…
先日、友人のS弁護士が、「これいいよぉ」とプレゼントしてくれた、高田郁さんの「八朔の雪」を読了。大坂と江戸の情緒を料理がつなぐ、という、なんとも贅沢な一冊。贅沢、と感じるかどうかは人それぞれかもしれないけどね。何せ、時代小説と言いながら、…
「花とゆめ」が30周年、ということで、Yahooあたりが特集を組んでいるのを見て、うちの女房がむらむらとネットで衝動買い。「ガラスの仮面」文庫版全23巻、大人買いをしてしまいました。ある日帰宅してみれば、玄関先に段ボールに詰まった23冊の「ガラ…
兄が書いた本に、「九鬼と天心 明治のドン・ジュアンたち」という本があり、そこで、岡倉天心と九鬼隆一と、九鬼夫人である九鬼波津子(後に離婚して星崎波津子)の泥沼の三角関係のことが描かれていました。この三角関係は、結果的に、波津子の発狂、という…
最近、娘が夢中になっているのが、講談社青い鳥文庫で出ている、「若おかみは小学生」のシリーズ。何が面白いのかなぁ、と、興味本位で一冊読んでみると、これが結構面白い。娘が図書館で借りてきたり、本屋さんで買ったり、という感じでそろえていくシリー…
池澤夏樹さんの諸作品はなるべく追いかけるようにしているんですが、先日立ち寄った図書館で、「すばらしい新世界」を借り出す。二つの意味で、優れた文明論的予言小説、と読みました。解説にも書かれていたのだけど、タイトル自体が、オルダス・ハクスリー…
先日の日記に結石の顛末を書いたら、色んな人にご心配をかけてしまって申し訳ありませんでした。おかげさまで、あの日記を書いた翌日の木曜日、会社で小用を足していたら、「ぷっ」という感じで何やら小さなものが飛び出してきて、それ以来、血尿も痛みも収…
相変わらず追いかけ続けている伊坂幸太郎さん、年末に、「魔王」「グラスホッパー」を読了。今日は特に、「魔王」について書きたいと思います。伊坂幸太郎さんの諸作品に流れる「倫理観」のようなもの、というのは、極私的なものではなくって、もう少し普遍…
いわゆるピカレスクロマン、というのは、「悪漢小説」とか「犯罪小説」という訳語が頭にあって、何故かすぐ、ジャン・ギャバンの顔が思い浮かぶんだね。多分、昔見た「地下室のメロディー」で、初めて「ピカレスクロマン」という言葉を聞いたせいかもしれな…
なんか、最近の読書感想文は北村薫さんだらけ。お気に入りの作家を発掘すると、次々読んでみたくなるもの。というわけで、ここ2週間くらいの間に、「月の砂漠をさばさばと」「冬のオペラ」「夜の蝉」と読みつなぐ。どれもいいなぁ。「月の砂漠をさばさばと…
宮部みゆき「日暮らし」を読了。丁寧に描かれる「癒し」のプロセス。少し前に、「日暮らし」の前作にあたる、「ぼんくら」を読んで、なんとも後味の悪いエンディングに、宮部さんってひょっとして、予定調和の世界を捨てちゃったのかなぁ、と、ちょっと寂し…
「秋の花」ですっかりヤラれてしまい、「スキップ」をじっくり味わった北村薫作品、相変わらず追いかけており、デビュー作「空飛ぶ馬」を先日読了。いいっすねぇ、人が死なないミステリー。人が死なないからと言って、そこに描かれている謎とその答が軽いも…
以前、この日記で、小川洋子さんの「博士の愛した数式」の感想文を書いた時に、80分しか記憶を維持できない主人公の「博士」の姿を、一つの理想的な教師像として受け止めた、という文章を書いたことがありました。毎年毎年、同じ年齢の教え子たちが自分の…
娘が生まれたばかりの頃に、女房が、「子供っていうのは本当に簡単に死ぬんだから、気をつけないと」とよく言っていました。女房の実家は小児科医なので、本当にあっけないほど簡単に失われてしまったり、救いようもなく傷ついてしまう小さな命を、間近によ…
世の中には色んな雑誌や色んな本が溢れていて、そういう書物を作る上で、編集者という存在が非常に重要である、というのはよく言われること。私の場合、女房が元出版社の編集者だった、ということもあるし、高校時代の友人の新保信長氏が編集者として有名に…
本屋さんでまとめ買いした伊坂幸太郎さんの本、2冊目は、「ラッシュライフ」。自分も文章を書いた頃があったので、小説を読むと、「こういうお話を書きたいなぁ」と思うか思わないか、という評価の物差しがあります。その本のテイストが自分にしっくりくる…