2023年の推しゴト~新しい物語の最初のページ~

2023年も暮れていきますが、今年の自分の推しゴトを振り返ってみれば、コロナ禍がひと段落して、どの推しも、それぞれの新しい物語の最初のページを開いた年だったなぁ、というのがまとめになる気がします。さくら学院の卒業生たちやこの学校に関わった人たちをまとめて推している自分ですけど、2023年に特に活発だった推し活は、BABYMETAL、遠坂めぐさん、新谷ゆづみさん、@onefive、の4つで、それぞれに強烈な印象を残した現場がありました。年末という機会に、それらを振り返ってみます。

 

(1)積み重ねてきた物語~BABYMETAL~

2023年はBABYMETALにとって、MOMOMETAL爆誕から、新生BABYMETALが世界を制覇した年として記憶されるメモリアルな年になりました。4月の横浜MMでのMOMOMETAL爆誕の瞬間は今思い出しても涙が出るんだけど、それって自分が、さくら学院岡崎百々子さんからMOMOMETALを知っている父兄メイトである、ということも大きいと思う。2023年は新たな物語の第一章ではあったけど、2010年から始まるこのグループが歩んできた道なき道と、2015年にさくら学院に加入した岡崎さんの歩んできた七転八倒の道が交わった所に生まれた物語だったからこそ、今の岡崎さんの笑顔が限りなく愛おしいし、その笑顔がすぅさまやもぁさまの支えになっているのが本当に嬉しいんだよね。3月の生誕祭が今から本当に楽しみ。そして妹分のMETALVERSEがどんな展開を見せるのか、来年もこのグループからは目が離せないなぁ。

 

(2)新章に戸惑いもあった物語~遠坂めぐ~

山出愛子さんの歌った「ピアス」以来、楽曲に魅かれてずっと推している遠坂めぐさん。2022年に「キレてるバター」でブレイク、2023年にも「もうすぐ花火はじまるよ」が再生回数45万回を超えて、すっかり世間に見つかった感じがあります。遠坂さんにとっても新しい物語が始まった年だったんだろうな、と思うけど、自分にとって、推しがこんなに急に世間に見つかるっていうのは初めての経験で、急激に変わる客層とか、配信ライブのコメントの様相とか、なんだか戸惑ったり、ちょっと心配になったりすることも結構ありました。

でもこんなジジイの浅はかな心配なんかぶっ飛ばすだけの底力のある人なんだなぁって実感した一年でもありました。「もうすぐ花火はじまるよ」が沢山のYouTuberさんに取り上げられたり、コラボ動画が作られたのは、遠坂さん自身の求心力と自己プロデュース力の賜物だと思う。歌唱力や作曲能力といったパフォーマンスの実力だけでは上がっていけない世界で、しっかり色んな方々のサポートを受けて確実に階段を上っている遠坂さんの物語、これからも見届けたいと思っています。

 

(3)現実を侵食する物語~新谷ゆづみ~

女優として活躍するさくら学院の卒業生、新谷ゆづみさんの演技には、こちらの現実を侵食するような感覚があって、ちょっと怖くなる瞬間があります。彼女のマネージャーさんが凄く優秀な方なのかな、とも思うのですけど、彼女が参加する企画自体が、日本の今の現実にスポットライトを当てるような素材だったり、もっと本質的な人間の心の底層をえぐるような、メッセージ性の強い素材が多い、というのも一因とは思います。でも、「異世界居酒屋のぶ」のようなファンタジーでさえ、同時期に猖獗を極めたコロナ禍によって、人が集い、人が癒される「場所」の大切さを訴えるその時期ならではの新たな「物語」となり、新谷エーファの笑顔は、その癒しの象徴にもなった。それは自分が与えられた場所や素材にリアリティを与えることができる、新谷ゆづみという俳優の稀有な存在感の力だと思う。

2023年の新谷さんの演技の中で、今も私の現実を侵食してしまって、どうにも消えないのが、9月に観劇した「怪獣は襲ってくれない」の「こっこ」という役。カーテンコール後の衝撃的な演技だけではなく、確かにこの新宿に「こっこ」が生きている、今もここにいる、という感覚を強烈に刷り込まれてしまって、新宿歌舞伎町を訪れるたび、あるいはトー横キッズのニュースがメディアに取り上げられるたび、「こっこは元気かなぁ」「しっかり生きてるかなぁ」って思ってしまう。「ぬいぐるみとしゃべる人は優しい」の白城ゆいちゃんにせよ、「やがて海へと届く」の三陸の少女にせよ、「あの子は今も元気にしているかな」と、ふと思ってしまう、そんな人物を演じられる女優さんは、そんなにいないと思います。

 

(4)共に歩んだ物語~@onefive~

2022年10月にドラマ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」主題歌でメジャーデビューした@onefiveは、この2023年に大きく大きく成長したと思います。その成長を支えた活動の一つが、各地で開催されたリリースイベントと、様々なフェスへの参加だったんじゃないかなって思う。

さくら学院に在籍した時も、この4人がファンと直接コミュニケーションを取る機会は一度もなくて、ドラマ「推し武道」でフィクションとして経験した握手会に、「アイドルさんって大変なんだなぁ」という感想を口にしていたくらいだから、各地で開催されたリリースイベントでのファンとの会話は、ある意味「修行」という側面もあったんじゃないかな、という気もします。でもこのリリースイベントで、直接ファンであるFifthとの絆を確かめたことは、彼らの物語を僕らファンの物語とシンクロさせて、ワンマンライブの一体感の基礎になったと思います。

そしてTIFを始めとする各種のフェスに参加する中で、メンバーを一人欠いたり、ステージの目の前でパフォーマンスを無視して寝転がっている聴衆もいるようなアウェイの環境も経験した。「育ちがいい」と言われる4人にとっては、しんどい経験でもあったんじゃないかなって思います。そんなアウェイの環境でも、めげずに会場を引っ張っていく経験は、ステージに聴衆を集中させるパワーやテクニックを身に着ける「修行」でもあったんだろうなって思います。

そんな「修行」を経て、11月・12月に開催された「NO15E MAKER」の2つのライブは、彼らがその経験を、単なる自分達の成長物語にするだけではなく、コロナ禍で失われた時間、結べなかったファンとの絆を再び結びなおすのだ、という強い意志に満ちたストーリーに構成することで、彼らと僕らが共に作り上げた物語に昇華された感があった。大阪のライブのラストで、「このままじゃ壊れちゃう」という切迫感に満ちた楽曲とともに、コロナ禍のために一度もファンの前でリアルに着用できなかった過去の楽曲の衣装たちがステージ上に取り残され、そしてその同じ衣装たちが、東京のライブの冒頭で天に向かって駆け上がっていった時、この子達と一緒にまだ見ぬ世界へ、どこからも見える場所へ行くんだ、という未来の物語が、彼らと僕らの共通の物語になった、という実感がありました。

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コロナ禍で止まっていた時計が動き出して、自分の推しがそれぞれに新しい物語を語り始めた2023年。2024年も彼女たちが笑顔でいてくれること、その笑顔が沢山の人達に見つかること、そして沢山の人達の心を癒すことを心から祈っています。皆様よいお年をお迎えください。