観劇

ブルー・アイランド版「ポッペアの戴冠」~不適切だけどうらやましい~

今日は本日観劇した、青島広志先生プロデュース、ブルー・アイランド版「ポッペアの戴冠」の感想を。女房がダミジェラ役を演じた昼公演を拝見しました。例によって衒学的かつ浅薄な文章ダラダラ並べて参りますけど、いい所に着地するかどうかは保証の限りで…

そして僕らは誰と戦えばいいのか~「怪獣は襲ってくれない」の余韻~

ここ数か月、さくら学院の卒業生の舞台を見ることが多くて、倉島颯良さんと黒澤美澪奈さんが共演した「じゃ歌うね、誕生日だしウチら」、新谷ゆづみさん出演の「怪獣は襲ってくれない」、そして今日は、飯田らうらさん出演の「消された声」を観劇。さくら学…

ブルーアイランド版コシ・ファン・トゥッテ~家の呪縛を解くために~

9月14日というのは自分にとって大変特別な日になりまして、18年ぶりにアノ球団がアレしたわけですよ。自分は関西出身なのでどうしてもアノ球団のファンなんです、という説明って世間的には納得感強いんですけどね、でも別に関西出身なら必ずアノ球団の…

時代と音楽、時間と音楽(その2)~「めぐりあう時間たち」~

先週書いた「時代と音楽、時間と音楽」というテーマ、二つめの印象に残ったインプット、2月19日に東劇で鑑賞したMETオペラのライブ・ビューイング「めぐりあう時間たち」の感想を今日は書きます。 「めぐりあう時間たち(原題「Hours」)」は、1998年に発…

文学と音楽と~ドビュッシーとマスネと~

自分がやっているオペラ、歌、というのは、言語と音楽が融合した芸術なので、この「言語」と「音楽」という2つの異なる表現の間で悩む瞬間が必ず出てきます。特に自分がやっていた「日本語でオペラをやる」という活動では、訳詞、という別の問題が出てきて…

「うりこひめの夜」~襲うものと襲われるものの依存関係~

3月8日、青島広志先生の主催するブルーアイランド版オペラで、林光の「あまんじゃくとうりこひめ」、青島広志先生の新作オペラ「うりこひめの夜」のカップリングステージを見に行ってきました。今日はその感想を。 公演ちらし。 会場のあうるすぽっとには…

「夏のばけもの」~稽古場ってすごく楽しいんだよなぁ~

場所を選ばずお芝居をする、というコンセプトのプロジェクト、♭FLATTO。渋谷のバーで上演された第一回公演の「春はのけもの」で胸つかまれてしまって、このブログにもずいぶん暑苦しい感想文を書いたりしました。このプロジェクトが、今度は「赤坂のAIサービ…

「春はのけもの」~この現実と地続きの異世界旅行~

自分の学生時代ってのは小劇場演劇が無数にあって、自分も結構そういうお芝居を見に行きましたけど、プロセニアムによって区切られた物語世界を、少し離れた客席から眺めるものだった演劇を、客席も巻き込んだ異空間のエンターテイメントに変貌させた小劇場…

里見八犬伝~色々繋がって色々見れて~

今日は、中野ZEROで上演された舞台版「里見八犬伝」の感想を。以下、ネタバレ含みますので、未見の方はご注意ください。 例によって、さくら学院を昨年卒業した日髙麻鈴さんが出演する、ということで見に行ったんですが、意外に色んな気づきがあって面白…

ニッセイオペラ「ヘンゼルとグレーテル」~音楽の意図を真っ直ぐ受け止めること~

6月16日の父の日、「父の日サービスだよ」と、女房が誘ってくれたのが、日生劇場で上演していたニッセイオペラ「ヘンゼルとグレーテル」。女房が以前、せんがわ劇場での「天国と地獄」で共演した小林大祐さんが出演されている、ということで、チケットを…

最近のインプット、残り2つ、と言いながら、また今日二つ増えちゃった

最近結構インプットが続いていて、全然この日記に感想を書くのが追い付いてませーん。でもなるべく、この日記には日々のインプットを書き綴っていきたいので、なんとか書きなぐりでも記録をつけていきたいと思います。先日の日記で書ききれなかったのが、 ・…

東京室内歌劇場「シンデレラ」・江東オペラ「ドン・カルロ」~作り手の思いはしっかり客席に届くんだ~

令和最初の日記は、平成最後に連ちゃんで見た2つのオペラの感想を一気に。4月27日、せんがわ劇場で見た、東京室内歌劇場「シンデレラ」と、4月28日、女房が出演した、江東オペラ「ドン・カルロ」の感想を。まずは「シンデレラ」から。 指揮:新井義輝…

「ヘンゼルとグレーテル」〜多幸感と重層性と〜

8月11日、たましんRISURUホールで、東京シティオペラ協会のオペラ公演、フンパーディンク作曲「ヘンゼルとグレーテル」(ノーカット版)を鑑賞。うちの女房がグレーテルを演じた舞台。多幸感に満ちた音楽と、幾重にも重なったモチーフの重層感溢れる豊饒…

東京シティオペラ協会「シンデレラ」〜再演っていいですよね〜

8月5日、たましんRISURUホールで上演された、東京シティオペラ協会「シンデレラ」を鑑賞。今日はその感想を。 夢のような世界を彷徨う王子とシンデレラが、妖精の導きで出会う、このオペラの中で最も独創的でロマンティックな場面。 指揮:竹内聡 演…

落語とオペラによる「芝浜」〜東京シティオペラ協会公演〜

先日、女房がお世話になっている東京シティオペラ協会企画公演に伺う。「落語っ!オペラっ!どっちもっ!」と題して、落語の「芝浜」と、それをオペラにした「しばはま(トト屋の夫婦の物語)」の二本立て。落語:柳家さん喬 オペラ: 指揮・・・竹内 聡 演…

東京室内歌劇場スペシャルウィーク「魔笛」〜今日的な舞台の中に、モーツァルトの希望と絶望を見る〜

3月19日、女房がアンサンブルに参加した、東京室内歌劇場スペシャルウィーク「魔笛」の公演を見てきました。調布せんがわ劇場で毎年開催されているこのシリーズ、私は第一回の「ジャンニ・スキッキ」から全ての公演を見ていて、うちの女房は第二回公演か…

ガレリア座第28回公演「マリツァ伯爵令嬢」〜俺たちのウィーンオペレッタ〜

先日開催された、ガレリア座のオペレッタ公演「マリツァ伯爵令嬢」。今回は私は不参加で、女房がタイトルロールのマリツァ、娘はチェロで参加。私は客席で堪能させていただきました。 本番前の休憩時間、マリツァのおうちの前でくつろぐ小マリツァ(&イロン…

東京シティオペラ協会「シンデレラ」〜一番いい舞台体験というのはねぇ〜

最近この日記の更新が滞ってしまっていて申し訳ない限りです。それなりにインプットは重ねているので、書かないとなぁ、と思うことはいくつかあるのだけど、facebookなどで日々吐き出してしまっているせいか、まとまった長文を書く気力がなかなか出てこない…

オペラを作ろう!「小さな煙突そうじ」〜ちょっと衒学的な感想を〜

女房が出演する東京室内歌劇場の「小さな煙突そうじ」、見てまいりました。かなり衒学的な感想書いてみたりして。 指揮:大浦智弘 演出:飯塚励生 ピアノ連弾 久保晃子/頼田 恵 ヴァイオリン1 中台寛人 ヴァイオリン2 佐藤千洋 ヴィオラ 内藤賢吾 チェロ …

東京シティオペラ協会「椿姫」〜くっきりとしたコントラスト〜

10月3日・4日の週末、くにたち市民芸術小ホールで、東京シティオペラ協会の「椿姫」が開催。女房が土曜日の公演でタイトルロールを演じました。身内がタイトルロールをやっているとなると、どうしても身びいきになってしまうので、今回は、印象的だった…

東京室内歌劇場「子供と魔法」〜魔法の時間をありがとう〜

オペラというのは総合芸術だ、というのは言い古された言葉で、声楽、器楽、舞踏、舞台美術、衣装、そしてそれをまとめ上げるプロデュース力と、全ての力が一つにまとまって出来上がるもの。歌い手は頑張っているのに演出が今一つ、とか、演出意図は面白いの…

東京室内歌劇場スペシャルウィーク「利口な女狐の物語」〜居心地が良い〜

女房が出演した東京室内歌劇場の「利口な女狐の物語」、3月16日の千秋楽の舞台を見てきました。せんがわ劇場という場所、演目、アンサンブルのクオリティ、色んなものが「丁度良い」塩梅に溶け合った、何とも居心地の良い舞台を楽しむことができました。 …

東京シティオペラ協会「アドリアーナ・ルクヴルール」〜奇跡的なバランス〜

オペラの舞台を見ていると、世界的なソリストをずらりとそろえたお金のかかった来日公演とかでも、首をかしげざるを得ない舞台に出会うことが結構あります。オーケストラとの息がどうしても合わない、というのはよくあることですが、それよりもよくあるのが…

東京室内歌劇場「市場のかみさんたち」〜仙川にオッフェンバックがやってきた〜

昔、ガレリア座で舞台を作った時に、その直前に見たコクーン歌舞伎の「四谷怪談」の冒頭の演出を真似したことがあります。舞台上から客席から、街の物売りに扮した役者たちがわらわらと繰り出してきて、飴は配るは瓦版は配るは、あやしげな小物を売り歩くも…

東京シティオペラ協会「魔笛」〜みんな幸せになってよかったねー〜

先日の日記で、3月は女房の舞台本番が重なる、という話を書いたのですが、3日(日)に、その1つめの舞台がありました。東京シティオペラ協会の「魔笛」。娘と一緒に見てまいりました。 ザラストロ: 東原 貞彦 弁者: 安東 玄人 夜の女王: 富永 美樹 タ…

「愛の妙薬」LAST METがこれで本当に嬉しい!

先週の1週間のNY滞在、自宅から車で30分のところにMETがある、という環境を最後に楽しむべく、ファミリーサークルの一番安い席で見てきました、「愛の妙薬」。これがもう本当に素晴らしい舞台でした。「愛の妙薬」は、ガレリア座で一度全曲上演をし…

東京室内歌劇場in調布市せんがわ劇場「ジャンニ・スキッキ」

以前ご縁があって以来、ずっと公演のお知らせをいただいている、田辺いづみさんからご案内をいただき、行ってまいりました、東京室内歌劇場 in 調布市せんがわ劇場。音楽・劇場・役者・演出、全てがとてもバランスの取れた、素敵な公演でした。 指揮 芳賀大…

「ヘンゼルとグレーテル」〜やっぱり何かしないといかんのか〜

今回の滞米、年末年始を家族で過ごして、女房と娘と一緒に日本に一旦戻る、というのが主目的なんですが、折角いるんだから、METで何か見ようよ、という話になる。ファウストも見たいし、年末恒例のヘンゼルとグレーテルも見たい、家族で着物を着てジルベ…

「ファウスト」〜まっすぐで力のこもったメッセージ〜

ニュージャージに来ております。飛行機でニューアークに降り立って、外人ばっかりの街並みや地下鉄をうろうろしていると、なぜか居心地がよくて、帰ってきたなぁ、という感じがするから不思議。たった2年ほどしか住まなかった場所なのに、あっという間に肌…

「メリー・ポピンズ」「セビリアの理髪師」

ばたばたしているうちに日記の更新も滞りがちになっていますが、元気にやっています。女房と娘は先日アメリカに無事戻り、NJでの生活を再開。私は日本で、逆単身生活をしながら、アメリカから女房と娘が戻ってくる日に備えて、家の中をいろいろ整理してい…