「バイバイ、ブラックバード」「ゴールデンスランバー」「ビブリア古書堂の事件手帖」「和菓子のアン」

相変わらず活字中毒なので、とにかく常に何かしら活字を追いかけておりますが、最近読んだ本は割と流行を追いかけて、伊坂幸太郎さんの新刊「バイバイ、ブラックバード」、映画は見たけど原作を読んでなかった「ゴールデンスランバー」、評判がいいので思わず4巻大人買いしちゃった「ビブリア古書堂の事件手帖」。「ビブリア」はまだ3巻までしか読んでないんだけど、どれもいい読後感。「ゴールデンスランバー」は、映画の印象が強すぎて、どこを見ても堺雅人さんが走っているように見えちゃうんだけど、それが不思議と読み進んでいて邪魔にならない。いつ濱田岳さんが出てくるだろう、なんて逆にわくわくしちゃったりして。中村義洋監督は本当に伊坂作品との相性がいいんだね。「アヒルと鴨のコインロッカー」の時は原作を読んでいたのに映画で泣かされちゃったりした。こういうコンビっていうのも面白いですね。

「バイバイ、ブラックバード」は、「ゴールデンスランバー」を読んだ後に読んだので、なんだか逆にほっとしました。「ゴールデンスランバー」みたいなハリウッド的大がかりな作品とか、「終末のフール」みたいな大きな世界観の中で繰り広げられる話じゃなくて、どこか日常の延長線上にある伊坂的な世界が好きで、「ゴールデンスランバー」でも登場人物たちの大学時代のエピソードが好きだったりする。なんとなく「砂漠」と共通する適当だけどどこか真剣な青春時代。「バイバイ、ブラックバード」は決して青春小説じゃないし、繭美みたいな非日常的なキャラが大暴れしたりするんだけど、それでもどこかしら日常っぽいところが好きです。大作じゃない、佳品、という感じが心地よい。

ビブリア古書堂の事件手帖」は、ドラマは大ゴケしたらしいけど原作の評判がいいので1作目を衝動買い、面白かったので、4巻まで大人買いして読み進めています。これも北村薫さんっぽい、「人が死なない日常の謎」を追いかけていく話で、若干登場人物のキャラがステレオタイプな感じがしないでもないものの、名探偵役の栞子さんのキャラがすごく立っているのが魅力。加えてやっぱり「古書」を巡る物語の深み。清水徹先生の名著「書物について」を引用するまでもなく、本という「モノ」を巡る物語だけで興味が尽きない。こういうのを「ビブリオミステリ」というらしいですね。確かに、フーコの「薔薇の名前」もそうだし、以前この日記に書いた「フランチェスコの暗号」とかもそうだし、ハリウッド映画張りのアクションシリーズ「シグマ・フォースシリーズ」も、ビブリオミステリっぽいところがある。「ビブリア」で取り上げられる古書は、夏目漱石宮澤賢治司馬遼太郎藤子不二雄といった我々にも馴染みの深い作家で、逆にそういう馴染みのある作家にそんな「ビブリオミステリ」が潜んでいる、というのがトリビアっぽくて面白い。栞子さんとお母さんを巡るミステリにも興味は高まり、今後の展開が楽しみです。それにしても栞子が剛力彩芽ってのはいくらなんでもないな。

同じような「日常の謎」系で楽しめたのが「和菓子のアン」。これも登場人物のカリカチュアライズがちょっと薄っぺらい感じもするんだけど、和菓子の世界の奥深さがミステリーとうまくマッチしていて好印象。古書の話にしても和菓子の話にしても、トリビアっぽいアイテムを取り込むとミステリーって深みが増しますよね。これも続編が出ないかなぁ。