みをつくし料理帖〜やっぱり時代劇はいいっすよ〜

この日記にもたびたび書いてきた高田郁さんの「みをつくし料理帖」。とうとう映像化されましたね。旅先のホテルで娘と二人で見ていて、時代劇食わず嫌いの娘もすっかり澪の行く末が気になってしまったらしく、ついに「みをつくし料理帖」の第一巻を手に取って読み始めました。中学生が入門書代わりに読むにはちょうどいい時代小説かもしれない。ここから他の時代小説なんかにも手を伸ばしてくれると、時代小説大好きのパパとしては本当にうれしいんだけど。

今回のドラマ化は、少し前から話題になっていて、キャスティングが報道された時にはかなり「???」と思ったんだけど、北川景子さんはよかったですね。この方は演技や芸風よりもプライベートで叩かれることが多くて、そっちで損してる感じがあるけど、「花のあと」の女武者姿とかを見ても和装が映える方だし、神戸出身の自然な関西弁のおかげもあって、澪の慎ましさ、芯の強さ、幼さ、色んな表情をしっかり表現されていました。松岡くんとかはちょっと小松原にはかっこよすぎるかなー、とか、主に若手の男優陣には多少違和感があったけどねー。でも、リアルなお料理の場面も含め、原作に忠実に、しっかり丁寧に作られたドラマで、原作ファンの私も十分満足。まぁそもそも、子役の野江ちゃんと澪が二人並んで出てきて幸せそうに笑っているのを見ただけで、原作で散々泣かされたファンとしては涙腺緩みっぱなしになっちゃったんですが。

ネット上の感想を見ると、2時間では展開が速すぎてよく分からないとか、連続ドラマで描いてほしかった、なんていう意見もあるみたいですが、そもそも時代劇の連続ドラマは今のTV界ではあまりにハードルが高くて、スペシャルドラマだからやっと制作できた、というのが実情なんじゃないかな、と思います。先日の日記で、娘が、「十手」を知らないことにショックを受けた、という話を書いたけど、昔はブラウン管にあふれていた時代劇ドラマが消滅してしまって久しい。迎合主義でとがったことができなくなっているTV界では、時代劇を作ること自体が冒険になってしまっているのかもしれないと思います。

でもねぇ、いつまでも剣客商売鬼平犯科帳だけってわけじゃないと思うんだよ。高田郁さんだけじゃなく、良質な時代小説は一杯あるし、最近の殺伐とした現代劇に飽きて、「みをつくし料理帖」みたいな人情ドラマで素直に癒されたい、と思っている人は、老若男女問わず結構いるんじゃないのかなぁ。時代劇といえば勧善懲悪と大立ち回り、という固定観念を捨ててしまえば、時代劇ってのは現代劇よりも色んな可能性を盛り込める器なんじゃないかな、とも思うし。ヒットした「仁」だって、今までにない時代劇だったわけだしねぇ。

みをつくし料理帖」を見て時代小説に手を伸ばした娘のように、色んな人が時代劇や時代小説の魅力を再発見してくれたらいいな、と思います。松岡くんとか、浮浪雲みたいなのやってくれると似合うと思うんだけどねー。