最大の敵は時間だと思う

今日、私の所属しているNY混声合唱団(NYMC)の有志で、タイムズスクェアで街頭チャリティーコンサートをやってきました。時事通信などのメディアがやってきて、ニューヨークのローカル局(NY1)でも取り上げられました。

時事通信の記事はこちらで見られます。右端に私がいます。団員が来ているTシャツはすべて手作りです。
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011032000004

この記事に出ている山田さんのお母様が入院されていたのが、先日この日記で情報を求めた柴田町の大沼医院。ネット経由で情報を下さった方々のおかげで、病院に電気が通じ、お医者様も御無事、と確認できました。ありがとうございました。でも、まだお母様の状況については直接確認が取れていないそうです。この時事通信の記事を見た人が、さらに情報をくれるといいね、という話をしていました。

NY1のWebページ。すぐ変更されてしまうかと思いますが、もし見ることができたら見てください。記事を下記に転載しておきます。↓
http://manhattan.ny1.com/content/top_stories/135876/choir-sings-in-times-square-for-japan-relief?ap=1&MP4

NY1の記事:
A city choir performed Saturday to help the victims of the earthquake and tsunami in Japan.
The New York Mixed Chorus sang Japanese songs in Times Square today to help raise money for the Red Cross.
One of the songs is named in honor of a mountain that was hit hard by the tsunami and the title of another translates in English as "Head up and walk ahead."

歌った曲は、「蔵王讃歌」「ふるさと」「上を向いて歩こう」。「ふるさと」なんか、ちょっと歌いながらこみあげてくるものがあって、しっかり歌わねば、と自分を言い聞かせながらの演奏でした。

こちらの方々は、こういう時の募金に対する抵抗感がないのと、とにかくまだまだ注目度が高い時期でもあり、たくさんの募金があつまりました。全て、赤十字を通じて日本に送ります。

↓全部で600ドルを超えたんだよ。

今回、NYMCの団長のHさんが、「とにかくすぐ何かやりたい!」と言いだし、彼女の情熱に動かされて、時間のない中で、団員さんの有志の方々が集まり、メディア関係にチャンネルを持っている方が動き、タイムズスクエアの使用許可を取ったり、様々なメディアに連絡をとったり、と走り回って実現した企画です。急ごしらえで、演奏の完成度、という意味では全然まだまだかもしれないけど、とにかく今の時点では、「一生懸命」であることがみんなに伝わればいい、と開き直っての演奏。

でも、みんなで、「こういうことは続けないと意味がないよね」という話をしています。きちんと続けていかないと、日本への注目度がすぐに薄れてきてしまう。続けていくからには、しっかり練習もしないといけない。練習を重ねていけば、ただ「一生懸命」であることだけじゃなくて、日本の歌の素晴らしさ、日本という国の素晴らしさを、みんなに伝えていくことができるようになるかもしれない。そういう合唱団に成長していければいいな、と思っています。

米国のメディアのトップニュースは、もう日本の地震ではありません。リビア攻撃です。ものすごく自分勝手なことを言えば、一人でも多くの命を救うために必死に戦っている人々がいる同じ地上で、なんで人間と人間が殺しあわないといけないのか、理不尽だなと思います。

阪神大震災の時も、新潟中越地震のときもそうでしたが、こういう災害に対して、メディアは最初飛びつき、すぐに忘れます。日本のメディアはさすがにしばらくこのニュースだけだろうけど、世界の注目はすぐに失われる。

さらに、東北で多発しているという窃盗事件を見ても、震災直後にあった連帯感や同胞意識、助け合い精神などは、時間がたつとともに次第に薄れてきます。「我慢」にも限界がある。阪神大震災の時には、我慢が限界を超えた時期には、もうある程度の復興がなされ、法秩序は回復していたと思うけど、今回はたぶん、秩序の回復よりも前に、人間のエゴが頭をもたげてくる。これからの最大の敵は、時間だと思う。時間に伴う弛緩、あるいは風化。

遠く離れた我々は、日本の皆さんの心を信じて、遠くから祈るしかありません。アメリカの人々の善意を信じるしかありません。でもその善意も、時間とともに風化していきます。そういうことがないように、我々のできることは、歌うこと。

さっきTVジャパンを見ていたら、インドとパキスタン、という相争う国の出身のテニスプレーヤー二人が、ダブルスを組んでグランドスラムを戦っているドキュメンタリーをやっていました。戦う二つの母国に対して、「Stop War, Start Tennis」というメッセージを伝え続けている二人。彼らが、「僕らがテニスをやれば、テニス以上のことができるんだ」と言っていた。

僕らが歌を歌えば、歌以上のことができるかもしれない。でもそのためには、その「歌」を、しっかりお客様に届けられるだけのものに仕上げること。声が出なければ歌は歌えない。「一生懸命」だけで許してもらえるのも最初のうちだけ。ここでは、逆に時間が味方をしてくれる。しっかり時間をかけて、しっかり練習を重ねていこう。

その他マスコミの反応:

共同通信
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032001000164.html

日テレ(動画付)↓
http://www.news24.jp/articles/2011/03/20/10178975.html#

Yahooのトップニュースにもなった、との連絡がありました。