開き直り・東京の状況

女房とは時々スカイプをしていて、まぁ女房の性格もあるのだけど、こちらが拍子抜けするくらいにのんびりしている。というより、いまさらじたばたしてもやれることは限られている、という開き直り。こういった災害の際の日本人の行動パターンとして、あきらめと我慢、という話を先日書いたけど、もう一つ、開き直り、というのもある。開き直り、というのを英語の辞書でひくと、「So What Attitude」と出てきました。「だからなんだっていうんだよ」ということなんですが、英語のニュアンスよりももう少し肝の据わった態度を表している感じがする。最悪の状況を想定して、「最悪でもここまで、ということだったら、焦ってもあわてても仕方ない」と開き直る。開き直った上で、何もしない、ということではなくて、開き直った上で、粛々と、自分のできる限りの準備をする。

自分のできる範囲の上限を、想定される最悪の事態が超えてしまった場合に、「だったらじたばたしても仕方なかろう」と、できる範囲の上限まで準備をして、あとは天命をまつ。人事を尽くして天命を待つ、という状況。もちろん、「やれることにはどうせ限りがあるんだから、何もしない」と決めて、お湯の中の蛙のように煮え立つのを待っている人もいるだろうけど。

この日記には、米国在住日本人の方なども訪れるので、女房から聞いた東京の現状をちょっと書いておきます。たぶん、この日記を読むほとんどの方はご存じの状況だとは思うけど、当たり前すぎてあまりネットで取り上げられている様子もないことと、東京の状況をよく御存じない方もいらっしゃるかもしれないと思い、メモしておきます。

昨日の女房からのレポートでは、一番困っているのは、やはり銀行関係らしい。女房は渡米準備で、国内の銀行口座を色々整理しているのだけど、年度末・震災の影響、とただでさえ重なっているところに、みずほ銀行が最悪のタイミングでポカをやらかしてくれたおかげで、どの窓口も激混み状態になっているらしい。それにしても間の悪い銀行だなぁ、昔からそうだけどね、この銀行は。市役所の転出手続きも恐ろしく混んでいて、大変だったみたい。

計画停電の影響で、街のあちこちは照明が暗くなっており、店は12時閉店、とか14時閉店といった感じで、生鮮食品コーナーも冷蔵機能を停止していたりする。渋谷の繁華街も、17時には店じまい、というお店が多いそうな。ただ、女房なんかは、「こうなってみると、今までがモノが多すぎて、便利すぎた気がする・・・」という感想もあるみたい。石原都知事が、「我欲を捨てろ、という天罰だ」なんてコメントを出して非難されているけど、東京の現在をもたらした結果自体は、今までの生活を見直すいい機会になっているのかもしれません。でもやっぱり、東京の連中の放埓な生活のために東北の人たちが犠牲になった、と思わせるような無神経都知事の発言には頭に来るけどね。東北の人たちは今までだってつつましく暮らしてきたんだぞ。東京のスポイルされた連中よりずっとストイックで、あったかい人たちばっかりなんだからな。

色んなものが買い占められて困っている、というのも実際のところらしくて、女房は、「トイレットペーパを買うのにお店を5軒回って、結局なかった」とうなだれておりました。「我が家は本当にあと1ロールしかないんだ。買いだめ目的じゃないんだ」とぶつぶつ言っている。結局仙川まで足を延ばして、買い込むことができたそうですが。

NYだって、十分深夜まで明るい街ですが、東京ほどじゃない。私の住んでいるNJ近辺なんかも、夜は暗くて星がきれいです。24時間、光と喧騒と物資に満ち溢れていた、東京、という都市が、支えである東北を失って、やっと平均的な「国際都市」のレベルになったのかもしれません。そこから始まる色んな新しいことがあるかもしれない。石原さんじゃないけど、この状態から何も学ばないとしたら、東北の犠牲を本当に活かしたことにはならない。今は大変かもしれないけど、全てをもう一度振り返ってみる機会として、次の日本につなげてほしいよね。

女房が紹介してくれた、秀作動画「おなかの痛くなった原発くん」。すごく分かりやすく、しかもポイントを押さえて福島原発の現状を教えてくれるアニメです。
↓こちらです。
http://www.youtube.com/watch?v=ZUzBvxdnCFM