自転車のことについて語ってみる。

泥酔して自転車に乗っていたおっさんが逮捕された、というニュースが最近ありました。飲酒運転取り締まりが強化されている昨今ですから、一種の見せしめのような側面もあると思うのだけど、自転車ってのは軽車輌だから、お酒飲んで運転しちゃいけないんだよね。いけないんだよ。ね。うん。

前回の免許更新のときの講習会で(接触事故をおこしちゃったので、講習受けないとダメだったんです)、講師の婦警さんが、「自転車は車道を走るものでしょうか、歩道を走るものでしょうか?」と問いかけてきた。普段、車を運転していて、車道をかなりてきとーに走っている自転車に頭にくることが多いので、「歩道」と答えたんだけど、不正解なんだよねー。軽車輌だから、基本は車道を走るべきものなんですってね。でも歩道を走ることも「許されている」ということで、「歩道を自転車で走るときには、本来車道を走るべきところを、歩道を走らせてもらっているんだ、という謙虚な気持ちで走りましょう」と、タカラヅカに出てきそうなハデめの婦警さんはおっしゃいました。常に謙虚にしていないと、検挙されちゃうぞ。なんちゃって。すみません。反省します。

自転車っていうのは便利で手軽なものだから、普通に足代わりに使っちゃいますけど、実は結構危険なものですよねぇ。前述の通り、車で走っていると、しょっちゅう自転車をひっかけそうになることがある、という、自転車と車の事故だけじゃなく、自転車が人と接触して引き起こす重大事故って、結構あるんですってね。少し前の統計資料をネットで見つけたんだけど、平成12年で、自転車の関係する人身交通事故が、26,680件、死者984人、負傷者175,179人なんだって。結構怖い乗り物じゃん。

実際、雨の日に傘さしてすっ飛ばしている自転車とか、自転車に乗りながら片手で携帯やってる女子高生とか見ると、ホントに怖い。それでもまぁ、自転車というのは、より強力な凶器である自動車に対しては「交通弱者」ではあるので、自動車に対するいろんな規制の方が目にはつくけどね。

個人的には、最近の飲酒運転に対する非難の声を聞いていると、福岡のあの痛ましい事故も一つの大きなきっかけになったのは事実だけど、それ以上に、以前この日記でも書いた、「本音と建前」の社会から、「建前をきちんと守りましょう」という規律重視型の社会への移行…という、大きな時代の流れの中で捉えるべき現象のような気がしています。以前は、「まぁいいじゃん、確かに法律違反だろうけど、見逃してちょうだいよ、誰でもやってることだし」的ななぁなぁで認められていたものが、どんどん規制され、禁止されていく過程。大きなものはゼネコンの談合から、小さなものは駐車違反まで。色んな規制が厳しくなっていく、それはそれだけ、個人のモラルが下がっていることの一つの結果なんだと思うんですけどね。

昔は、なぁなぁで認めていたとしても、個人のもつ道徳観や倫理観が、きちんと歯止めになっていた。最近はそういう歯止めが効かなかったり、弱くなったりしている。あるいは、かつてはそういう道徳観や倫理観を持つ人にしか許されていなかった行為が、「誰でもが許されること」に変貌してきている。その結果として、外的な規律=法律と、その運用を厳格にしていかざるを得ない。

娘の自転車が少し小さくなってきて、そろそろ次の自転車を買ってあげようね、という話をし始めています。自転車ってのは、便利なだけじゃなくて、三輪車から始まる「自分の成長に合わせて与えられる乗り物」の一つの代表ですよね。自転車がだんだん大人のサイズに近づいていく、というのは、すごく分かりやすい成長の目安で、そういう意味でもとっても身近な存在なんだと思う。でも自転車も、今の外的規律強化の流れの中で、乗車モラルについての規制がだんだん厳しくなってくるのかもしれない。うちの娘が大人になったころには、自転車を運転するのにも免許が必要、なんて時代になるかもしれないねぇ。

ちなみに、私の会社の同僚の出身地である熱海では、自転車に乗れる人自体の数がすごく少ないんだって。熱海は坂がすごく多いから、自転車を漕ぐのが辛すぎる…ということらしい。所変わればなんとやら…ですね。