地方自治体ってのは困ったもんだ

この日記では、あまり政治的なトピックは取り扱ってないんですが、先日来、腹が立った、というより、呆れたことをちょっと書いてみようか、と思います。

私の家の裏には、幅が3メートルくらいの細長い空き地があります。転居したてのころ、お隣の方が、この空き地の、自分の家に面している部分を購入される、という。お話を伺うと、「この空き地、元は水路だったんですよ」とのこと。なるほど、我が家と隣接する並びの家の裏を、細長い空き地が続いている。元水路、と言われて、とても納得。

「公用地、ということで、所有者は役所。でも、水路としてはもう使われてない。道路に面していないから、宅地としても使えない。購入の権利があるのは、隣接した宅地を持っているxxさん(私の名前)だけなんですよ」と教えてくれる。利用価値のない土地ですから、坪単価も安く済みそう。さほど裕福でもない我が家ですが、ちょっと高めの車を購入した、と思えばなんとかなりそうである。将来のことも考えて、購入手続きを進めよう、と思い立ちました。

現在の土地の所有者になっているはずの、調布市役所に行く。どこが担当になるか分からないので、まずは、市民課の窓口に尋ねる。親切な若い担当者が、しばらく色んな人に確認してくれて、「よく分からないんですが、そういった市の財産に関しては、管財課だと思うんですが」と言われる。そこから先、用事があった私に代わって、女房が管財課に向かう。

以下はその女房から聞いた話です。女房が管財課に行って、窓口で、「あのお」と声をかける。管財課の職員さんは、机に座ったまま、立ってこようともしない。椅子に座ったままで、首だけこちらに向けて「なんですか?」と聞いてくる。市民が直接来訪することなんて、滅多にない職場なんだからしょうがないのかもしれんけど、普通、外部からお客様が来れば、立って応対するだろうよ。

女房が、「うちの裏の土地のことで・・・」と切り出すと、その土地の登記状況を調べてくれたんですが、これが誰の名義の土地になっているか、そもそものところが分からない。「うちではよく分からないんですが、水路ということなら、水道課に行ってもらえますか?」と言われ、水道課へ。なんだか絵に描いたような「たらいまわし」状態。

ここでも、似たような対応をされた上に、中高年のおじさまおばさまたちが数人集まってきて、「これはどうなってるんだ?」「どうすりゃいいんだ?」と議論を始める。なんじゃらほい、と女房が思っていたら、近くを若い職員が通りかかり、おじさまおばさまたちが、「ああ、いい所に来た!」とその人を呼び止める。呼び止められた方が、「僕が担当ではないんですが、とりあえず、役所内で確認して、折り返し連絡させていただきますね」と引き取ってくれる。

その後、道路課の担当者、という方から電話がかかってきて、今、その方とお話をし、測量事務所の方などともお話ができ、やっと話が前に進み始めた。女房と一緒に、「あの管財課で机にふんぞりかえってたおじさんや、水道課のおじさまおばさまたちは、一体なんの仕事をしているんだろう?」と笑ってしまいました。いや、もちろん、ちゃんと仕事はされてるんでしょうけど、自分の与えられた範囲のことに思考能力が限定されちゃってるんでしょうね。その範囲外の仕事のことになると、全く理解できない。誰が担当か、ということすら分からない。

官僚社会の弊害、なんて話で、国家公務員は相当バッシングを受けてますよね。知り合いの国家公務員も、かなり厳しい毎日を送っています。でも、地方公務員の多くは、まだこういう組織で働いてるんじゃないかなぁ。個々人の方はそれなりに一生懸命やってらっしゃるんだろうけどね。

ある人にこの話をしたら、「本当に、1つの仕事を1人でしか担当しないんです」とおっしゃっていました。「その人しか、その仕事のことを知らない。その人が休んじゃったり、役所をやめちゃったら、もうその仕事が動かなくなっちゃう。普通の会社なら、1つの仕事に正副の担当者がついて、ちゃんとバックアップが取れるようにするじゃないですか。役所にはそれがない。」と。

1つの仕事を1人の担当者が抱え込んでいる。だから、他の仕事のことは分からないし、その人がいないと、仕事自体も止まってしまう。調布だけじゃなくて、色んな地方の公共団体が、私企業から見ると信じられない「常識」で動いているんじゃないかと思います。小泉さんが大勝して、「小さな政府」を求める声が勝った、なんて言われますけど、「小さい」か「大きい」か、という問題よりも、やるべきことを、きちんと、効率的にこなしていく組織になっていない、という問題の方がよっぽど大きい問題だと思うんだけどなぁ。