きれいなソプラノ歌手は・・・

19日にクラシカ・ジャパンでやったゼフィレッリ特集、ボエームと椿姫を予約録画。でも、両方とも映画版だったのでかなりがっかり。番組表だけ見ると、映画版か舞台録画か分からないのがいつも困る。事前にもっと情報収集しておけばよかった。
オペラ映画、というのは謎のカテゴリーだなぁ、といつも思います。オペレッタ映画、というのもちょっとよく分からないのだけど、オペレッタの場合はまだ、バレエシーンが結構あったり、ミュージカル映画のカテゴリーで見られる気もする。しかし、オペラ映画ってのはよく分からない。歌を別に録っているから、映像の中での歌手たちは、実際は歌っていないですよね。そのギャップがすごく気持ち悪い。どう考えたって、実際に歌ったらあんな風にブレスはしないだろう、という体の動き方と、流れてくる声のギャップ。最大の違和感は、「ほんとは歌ってないxxxxの映像が見たいか?」という疑問が絶え間なく湧いてくること。xxxxには、フレーニ、とか、パヴァロッティ、とか、グルベローヴァ、とかが入るわけですが。
そんな中、「椿姫」の映画には、ちょっと納得しちゃいました。要するに、椿姫をやっていたテレサ・ストラータスがあまりに美しかったからなんですがね。どこか儚げな感じのする美人。ゼフィレッリ演出の豪華な19世紀の舞台の中で、やたら美男子のドミンゴが絡む。これは納得。
テレサ・ストラータスを初めて映像で見たのは、オペレッタ映画の「ロシア皇太子」。ここでも、身分違いの恋に自ら身を引く男装の麗人、という、なんとも倒錯的かつ魅力的なキャラクターを、端整に演じてらっしゃいました。でも、椿姫の頃の方がやせていて、儚げさ加減があまりにもはまっている。
ソプラノ歌手に美貌を求めるってのは、人の性なんでしょうねぇ。確かに、トスカが錯乱して城壁から飛び降りるときに、巨体をゆっさゆっさと揺らしながら階段を上っていく、とか、あんまり見たくないですもんねぇ。
でも、最近のソプラノ歌手には、実力と美貌を共に兼ね備えた方が多いですよね。日本でいえば、何と言っても澤畑恵美さん。新宿オペレッタ劇場で感動した佐々木典子さんは、舞台に立っただけで圧倒される存在感。忘れちゃいけない、我らが菊地美奈さんも気品溢れる美しさ。腰越満美さんも、舞台にいるだけでぱっと華がある方だし、まだ拝聴したことがないんだけど、高橋薫子さんもすごく可愛い方だそうで。海外で言えば、どこから声が出ているんだのナタリー・デッセイ。フリットリも美人だし、ルキアネッツのアディーナも可愛かった。最近話題のステファニア・ボンファデッリってのもすごい美人らしいぞ。見たことないぞ。くやしいなぁ。
見たことのある舞台で、モデルさんか、と思うほどきれいだったのは、新国立で「ルチア」をやったチンツィア・フォルテさん。きれいなソプラノが演じる狂乱の場ってのは、それだけでいいですよねぇ。
 
・・・若干下世話な話になっちゃいましたが、ただ美人だから、というだけじゃなく、きちんと歌を磨いてらっしゃる美貌のソプラノ歌手、というのは、舞台上の存在感自体が違います。見せること、聴かせること、そして、魅せること。全てにおいて、一流なんですよね。