新宿オペレッタ劇場19〜赤池優が進化している〜

この日記でも何度も取り上げている新宿オペレッタ劇場、昨日行ってまいりました。相変わらず安定感のあるパフォーマンスとオペレッタのメロディーを楽しむ。

新宿オペレッタ劇場の感想、というと、馴染みの歌い手さんたちの変わらないパフォーマンス、積み重ねた研鑽の結果進化するパフォーマンスにどうしても注目してしまう。今回の舞台で初参加の歌い手さんの中では、やっぱり家田紀子さんの存在感と、声の鳴りが素晴らしかったし、佐藤一昭さんと北村哲朗さんの安定感のある軸のぶれないパフォーマンスも素晴らしかったけど、一番印象に残ったのは、赤池優さん。

かなり以前から新宿オペレッタ劇場の常連さんで、そのお姫様キャラでたくさんのお客様を魅了してきた赤池さん、オペラ歌手としては美人すぎるので、どうしてもアイドルっぽい注目のされ方をするし、舞台に登場すりゃ、そりゃお花やらお星さまやらいっぱい飛びまくる可憐さなんですけどね。ドレスも本当にきれいで、そのドレスに全く負けてない美しさなんだけどさ。若干失礼なことを申し上げれば、新宿オペレッタ劇場に出演され始めたばっかりの頃は、声的にはまだまだ弱くて、声楽的な技術は発展途上だったと思う。

今回の舞台では、パウルアブラハムの「サヴォイの舞踏会」から、「夫は私を愛してる」というソロを歌われたんですが、これが素晴らしい出来だった。もともとそれほど豊かな声量を持っている方ではないのだけど、ぶれない体幹でしっかり支えながら、鮮やかな声の色合いと日本語の響きを安定的に保ちつつ、しみじみとこの難曲を歌い上げてらっしゃいました。確実に歌唱力が向上している。進化する赤池優。

松田聖子さんも歌唱力が全く衰えませんが、その裏には相当な鍛練が隠れていると思います。赤池さんもオペラ界のアイドル歌手的な存在かもしれないけど、美しさの維持と、歌唱技術の向上に対して、非常に真摯に取り組んでいるんじゃないかな、と思いました。歌は正直ですから、そういう日々の鍛練や姿勢が如実に表れてしまうんですよね。

新宿オペレッタ劇場は、若い方々が参加して成長していく場でもあって、赤池優という歌い手さんの成長プロセスが見えたのもなんだか嬉しい。馴染みのあの人がこんなに上手になって・・・みたいな感じ。歌舞伎の舞台で「勘太郎くんも立派になってねー」と現勘九郎を見てにこにこするお客様みたいですね。今回参加された廣橋英枝さんや勝俣晃さんが、次の出演でどんなパフォーマンスを見せてくれるか、というのも楽しみ。