音楽関係インプット棚卸し(今年中にやらなくちゃ)

またぞろ日記の更新が滞っていてすみません。最近、どうも、日記とかブログを更新する意欲が減退しててさぁ、という話を娘にしたら、「文章書かないと呆けるよ!あたしゃパパとママの介護だけは絶対嫌だからね!」と言われる。娘の将来のためにも書かねば。

と言いながら、今一番書きたいのは2018年度のさくら学院のことだったりするんですけどね、それはまた別の記事でたっぷり書くとして、とりあえず、しばらく溜め込んでしまった各種インプットの中から、まずは音楽関係のインプットをずらずらと並べてみます。ちょっと長文になるかもしれませんがご容赦を。

12月2日(日)、女房が所属していた大学合唱団の学生指揮者同士、ということで結成された、貝賀直樹さんとのユニット、「ジュゴンツチノコ」の第二回演奏会「今年中にやらなくちゃ」をお手伝い。今年メモリアル、またはアニバーサリーを迎えた作曲家達を特集したこの演奏会、ロッシーニからドビュッシー、グノー、バーンスタインという、なんともオールラウンドの選曲で、女房も「ちょっとやりすぎたかな」と言っておりました。私は、舞台セッティング、字幕スライド作成と映写、その他裏方のお手伝い。受付は貝賀さんの奥様がお手伝い、ということで、例によって家内制手工業。大学時代の先輩後輩を中心にしたお客様方も合わせて、なんとも家族的な雰囲気の楽しい演奏会になりました。

かなりの大曲・難曲を並べたこともあり、女房は決して100点満点の出来ではなかったと思うのですが、それでもうまく失点挽回しながら全体にお客様が満足できるレベルにまとめるあたり、プロの歌い手として活動してきた経験値が生きたかな、と思います。特に最近は、かなりアドリブ力が求められる特殊な現場をいくつもかいくぐってきたからねぇ。個人的には、ドビュッシーの歌曲二曲が出色でした。

それにしても、いくらメモリアルとは言え、このラインアップの曲を並べられる、というのは、このユニットならでは、だと思います。英米とフランス物を得意とする女房のレパートリーと、貝賀さんのアマチュアならではの少しマニアックな選曲センスがコラボして、ちょっと他の演奏会では聞けそうにないようなプログラムになりました。バーンスタインの曲の中から、華やかな「Glitter and Be Gay」と並べて、敢えて「Somewhere」と「Simple Song」を選んできた選曲センスもよかった。この二曲も、客席には真っ直ぐ刺さったようで、Somewhereでは涙ぐむお客様の姿もありました。

今回の会場が、先月新規オープンしたばかり、という渋谷ホールという会場で、渋谷駅から徒歩5分以内で、内装も大変キレイ。そしてピアノはファツィオリ、ということで、こじんまりした会場ながら、ハレの気分を楽しめる素晴らしいホールでした。プロジェクターや照明設備を本格的に使用した演奏会イベントはこれが初回、ということもあり、会場スタッフの方が、まだ機器の操作に慣れない中、一生懸命試行錯誤してくれて、その姿勢がありがたかったです。舞台裏方としては、初期設定の設備によくある、使ってみないと分からない細かい不備や注意事項などを、スタッフさんと話し合いながらクリアしていって、最終的にはなんとか破綻なく、いい感じの舞台にすることができて、なんとかお役目果たせたかな、という感じ。照明の色の雰囲気を、会場の照明機材を初めて使う、という舞台スタッフさんと色々話し合いながら決めていって、ちょっと暖色系の明るい色にしてみたんですけど、プロのカメラマンの方から、「照明の感じがとてもキレイでした」と言われて、ちょっと嬉しくなる。カメラマンさんは会場の機材の能力の高さと、会場の内装を誉めてたんですけどね。

f:id:singspieler:20181203234041j:plain

終演後、カメラマン(早川礼子さん)による撮影会。利用時間終了ギリギリまで、会場の雰囲気を楽しませていただきました。

 

11月25日、娘の所属している調布フィルハーモニー定期演奏会を女房と一緒に拝聴。ブルッフ交響曲3番と、ブラームスの4番、という、交響曲2本だて。娘は、前日にワグネル交響楽団のチェロパートのアンサンブル演奏会があったこともあって、準備不足でかなりヘロヘロ状態だったようで、終演後はちょっと悔しそうな顔をしていました。でもそもそもが交響曲2本、というのは結構ヘビーだよね。

前半のブルッフ交響曲、というのは初めて聞いたのですが、ウィキによれば、ブラームスとは同時代人で友人でもあった、とのことで、楽曲の保守性から、後代の音楽家リヒャルト・シュトラウスなど)に攻撃されて、完全に忘れ去られてしまったとか。なんか、昔ガレリア座でやった、「悪魔のロベール」のマイアベーアを思い出させる表現だよね。でも確かに、耳に心地よい優しい旋律とかっちり作られた音楽は、心地よいのだけど、あんまり印象に残らない感じがした。娘によると、「印象に残らない音楽なのに、技術的にはすごくがっちり作ってあって結構難しい」んだって。苦労する割りに聞き映えがしないってのも、「悪魔のロベール」っぽいよなぁ。

そういう音楽があるんだよねー、と女房が言ってました。「コンコーネのミサ、とか、バイエルの歌曲とかさ。教科書的でとても技巧的なんだけど、後世に残らない音楽ってあるんだよねー」と。後半に演奏されたブラームスが、やっぱりさすがブラームス、という煌めきに満ちていて、こういう輝きがないと残らないんだなぁ、と思う。

 

11月には、METのライブビューイングを2本見ました。一本目は、アイーダ。タイトルロールのネトレプコがとにかくすごい、と評判だったんだけど、考えてみれば私はアイーダというオペラをしっかり客席で通しで見たことがないんですよ。それでオペラファンとか言うなって話ですけどね。すみません。

このMETのアイーダ、女房が、「いつか世界遺産にしてほしい」という、ゼフィレッリの作り上げた舞台装置をベースとした壮大なセットがなんと言っても見せ場。娘が、「METのアイーダには人件費という概念がないのか」と呟いた、とにかく圧倒的な群衆と物量。あの槍持ったお兄ちゃん達の中には、お昼までレストランでバイトしてたヒトとか入ってるよねぇ、なんて言いながら見てました。

ネトレプコという歌い手については、私が何か語るのはちょっと難しい気がしています。女房が語り始めるともう止めどがなくなっちゃうんだけどね。舞台での華やかさとか、演技の艶やかさとか、声量とか声圧の強さ、みたいなことが語られることが多いのだけど、女房に言わせれば、「楽譜の徹底的な読み込みの中で、この音、このフレーズ、この母音、この子音なら、このフォームが最適、というフォームを一つ一つ選択していく繊細さと、それを設計した通りにきめ細かく切り替えていくコントロールの完璧さ」に圧倒されるんだそうです。私にはそこまで聞き取れる耳はないのだけど、低音から高音まで、切れ目なくなめらかに流れるフレーズの流麗さにはいつも感動する。「本当にキレイに流れるよねぇ」というと、女房は、「私にはものすごく細かいギアチェンジが全部聞こえるから、逆に打ちのめされるんだよねぇ、ここまでやっちゃうんだ、って思ってさぁ」と言う。共演者の中では、なんといってもラチヴェリシュヴィリが素晴らしかった。ネトレプコとは「アドリアーナ・ルクブルール」でも共演する、というので、これも楽しみ。

もう一本見たMETライブビューイングは、「サムソンとデリラ」。「カルメン」で、あんたたちホンモノのホセとカルメンでしょ、と思わされた、アラーニャ、ガランチャのカップル共演、と言われたら、行かんとダメでしょう、と、これまた家族3人で行きました。

ガランチャ自身が、「スターウォーズみたいでしょ」と言っていた未来的なセットも素晴らしかったし、娘がむちゃくちゃ好きで自ら「ヘドバン状態になりました」と言っていたバッカナールのロックな感じ(METのオケが破綻したのを聞いたのは数回しかないけど、明らかに破綻していて、でもそれがムッチャ荒ぶる感じで堪らなく良かった)も、ホント最高なんですが、なんと言ってもアラーニャとガランチャです。お互いに不幸になると分かっていながら本能で互いを貪り合うように求めてしまう男と女の運命を、視線だけで表現できてしまうってのは、オペラ歌手の中でもあんまりいないカップルだと思う。アラーニャもかなりいい年齢になったと思うのに、素晴らしい歌唱でした。

さて、女房の今年の本番は、冒頭に書いたジュゴンツチノコでシメ、ということなんですが、私は、12月15日に、府中の森芸術劇場ウィーンホールで、合唱団麗鳴の定期演奏会があります。それで私の今年の音楽活動はシメ。そして来年に向けて、すでに仕込みは始まっております。そういう周知、告知は、別のブログに載せているんだけど、そっちの方も更新が滞っているんだよなあ。ボケないために書かねば。Write, or die.