麻生真彩と日高麻鈴の歌声はどのように引き継がれていくのか

さぁ今日はさくら学院のことを書くぞ。さくら学院のことしか書かないぞ。ずっと書きたかったネタ、2018年度の歌姫、麻生真彩日高麻鈴(高ははしご高、以下同様)のことだ。

さくら学院のボイトレの方針ってすごいなぁ、と思うのだけど、徹底的に思春期の少女たちに地声発声を実践させるのだね。ファルセットも勉強しているみたいで、ソロ活動のときの山出愛子はその伸びやかなファルセットが持ち味になっているし、麻生真彩も、先日の学院祭のソロ曲で、地声からファルセットへの綺麗な切り替えを聞かせてくれた。でも、全員で歌う楽曲では、徹底的に地声発声で通している。変声期にこれを徹底していることで、中元すず香の圧倒的なメタルボイスが磨かれたことは事実だと思うし、実際、身体としっかり連動する強い声帯を作り上げることができるんじゃないかな、と思う。

中元すず香は別格としても、この指導方針の最大の成功例が、佐藤日向で、彼女がSaint Snowで聞かせてくれるパワフルな歌声の原点は、2012年度のステージですでに垣間見ることができる。すぅさんの歌唱の影に隠れてちょっと目立たないけど、2012年度の中二4人は、キャラクターの強さもさることながら、歌唱能力でも全員が、高水準で安定的な力を持っていた。

その中でも声の圧力の高さで群を抜いていたのが佐藤日向だったのだけど、その後継者とも言えるのが麻生真彩だと思う。麻生真彩を、ルックスも含めて、中元すず香の後継者と見る人は多いけど、特に中音域のパワフルな響きと、時に破綻することもあるパッショネイトな歌い口は、正確無比なすぅさんのレーザービームより、佐藤日向の大砲感により近い。先日の学院日誌で、日向ちゃんのレビュースタァライトの舞台に憧れた、と言う麻生真彩は、間違いなく正しい方向を向いている。長い手足と演技力、高いダンス能力も含めて、麻生真彩さんにはミュージカル舞台が向いていると本当に思う。

一方の日高麻鈴は、麻生さんほどのパワーはないものの、高音の伸びやかさと安定した音程が持ち味で、さらにこの人はフレーズ感覚がとてもいい。その歌い口の見事さが顕著に現れたのが、freshマンデーで披露された伝説の「identity」の弾き語りで、最近さらにパワーを増したダンスのキレといい、この人もミュージカル舞台が映えると思う。どちらかというと、日高さんは赤毛のアンみたいな名作ミュージカル舞台っぽくて、麻生さんはスタァライトみたいなバトル系が合ってる気がしますけどね。

この2人がツートップを務めていて、さらに癒し系の地声を持っている新谷ゆづみが、しっかりと存在感を持って全体を支えている、歌唱、という点では、2018年度のさくら学院は、この3人が牽引している歌のパワーが半端ない。逆に言うと、今の中2ーずには、この3人に匹敵するような魅力のある声の持ち主がいない。中2ーずの4人のキャラクターやプロデュース能力、ダンスのキレなどについては本当に申し分ないのだけど、こと歌唱、という点では、2018年度からは若干ダウングレードするのはやむなしかなぁ、と思ったり。

もちろん、そういう予想をがっちり裏切ってくるのが、成長期アイドルさくら学院の真骨頂で、先日の学院祭では、藤平華乃の中音域の声圧に、おおっと思わされた。吉田爽葉香は水野由結さんを彷彿とさせるベビーボイスで、高音が結構伸びるので、全体のパワーは若干落ちるとしても、バランスは悪くないかもしれない。ちょうど、2013年度から2014年度になった時、歌唱のパワーは落ちたけど、菊地最愛の声を中心に、アイドルっぽい可愛らしさが前面に出てきた時と同じような変化があるかも。

そう思っていたら、中1ーずの2人の歌唱の成長がすごいんだよね。「夢に向かって」の転入生3人ソロでは、転入式の時は野崎結愛の声しか聞こえなかったのに、先日の学院祭では、しっかり2人の声が出ていた。もともと地声を伸ばすさくら学院のボイトレ方針で行くと、地声が綺麗な子は歌も伸びる。野中ここなも、白鳥沙南も、とてもいい地声をしているので成長期待。特に沙南ちゃんのあの笑い声はいい。ちゃんと腹から声が出ている。それをそのまま伸ばせば、2017年度の麻生真彩日高麻鈴みたいに、中3の歌唱をがっちり支える中2ーずになれると思う。キャラクターが若干破綻しているのがどう落ち着いてくるか、というのもあるけど、この2人は破綻しているところが魅力だったりもするからなぁ。

こういう楽しみ方をしてると、さくら学院って本当に、部活エンターテイメントだなぁって思う。高校の部活とかで、実力のある上級生が卒業した後に、どうやってパフォーマンスの水準を維持するか、というのが、父兄やファンの心配事になったりするけど、それとすごくシンクロする。そういう意味でも、さくら学院のコアの部分は職員室の指導者にあって、高校の部活の水準を支えているのもその指導者だったりする。森ハヤシ先生の2017年度の送辞にもあったけど、さくら学院を守っているのは、職員室の先生方なんだなぁと本当に思う。