この日記でもたびたび書いていますが、6月8日は我々夫婦の結婚記念日で、その前後に、式を挙げた白金台の都ホテル東京に泊まるのが、我が家の年中行事になっていました。アメリカに行っていた昨年はそれができなかったのだけど、この週末、私にとっては2年ぶりに、都ホテルに一泊してきました。結婚式を挙げてから、外資系ホテルになって、しばらく経営的にも迷走していたような印象もあるこのホテル、シェラトン系列になってリフォームしてから数年、新しい内装も時間になじんで、すっかり安定してきた感じがあります。
ホテルの庭は、岸内閣の外務大臣を務めた藤山愛一郎が自邸に作った庭で、ホテル自体、政治にお金をつぎ込んで財産を蕩尽した愛一郎の私邸跡に建てられたものです。明治の元勲たちが競うように作った庭園の一つで、都心とは思えない野趣あふれる庭には、愛一郎が手に入れた石仏や石塔など、アジアのごった煮のようなわくわく感があふれています。
結婚式を挙げたのは、昔のホテルのメインダイニングだった、「クレドール」というフランスレストラン。経営が迷走していた頃、このレストランもなくなり、メインダイニングも「四川」という中華料理になって、洋食のコース料理を出してくれるレストランがなくなってしまった時期がありました。フロント脇にある「カフェ・カリフォルニア」というレストランも、アメリカ風のカジュアルレストランになってしまい、それもちょっと寂しい出来事でした。
今年、やっぱりディナーは洋食にしたいね、と、「カフェ・カリフォルニア」を予約。ちょっと贅沢をして、エモーション、というコース料理をいただく。これが実に美味しい和風フレンチで、一品一品がオシャレで創意にあふれていてわくわくする。「クレドール」も出てくるお料理の一つ一つに何かしら期待を裏切る楽しみがありました。やっぱり、ホテルのディナーの贅沢ってのはこういうわくわく感だなぁ、と思う。調べてみると、2010年11月に、庄司温志さんという新しいシェフを迎えたんですね。
お会計をしながら、「もう『クレドール』のスタッフさんはいらっしゃらないんでしょうかね」と聞くと、男性スタッフが、「僕、『クレドール』にいましたよ」と手を挙げてくれる。1年半くらいでしたが、とにこにこおっしゃる。オーナーが代わっても、こういう昔からのスタッフさんが迎えてくれるのが何となく嬉しい。
ラウンジの「カフェ・バンブー」もゆったりくつろげる空間です。
帝国ホテルみたいに気が遠くなるほど広く立派でもないし、新宿パークハイアットのように第一級の研ぎ澄まされた洗練さがあるわけでもないけれど、こじんまりと品のよい、隠れ家的なこのホテルは、我が家のお気に入り。ここで結婚式を挙げて本当によかったと思います。
日曜日、お昼近くまでのんびりして、東京タワーに行きました。スカイツリー人気のおかげで逆に、都内の高い展望台が人気になっているという話も聞いたのだけど、久しぶりに行ってみた東京タワーはなかなか面白かった。
大展望台の上の特別展望台、というのは登ったことがなかったのだけど、今回初挑戦。エスカレーターが小さくなって、外に見える鉄骨部分も狭くなり、タワーの上のあの細くなった部分を登っている、という実感がわきます。
一週間先取りの結婚記念日、娘もどんどん大きくなるし、都ホテルも東京タワーも、昔訪れた時とはいろいろと趣きが変わってきています。それでも変わらないものもある。それを確かめる毎年の年中行事を、今年も無事迎えられたことを色んなことに感謝しつつ。都ホテルのスタッフさん、心地よい一日を、15年間の思い出をありがとう。来年もきっとまた行きますね。