例によって機内映画

ご無沙汰してしまいましたが、元気に過ごしております。今は日本。10月の頭に単身でこちらに戻ってきて、新しい業務の勉強中。月末に再び渡米して、最後の引き継ぎを終える予定です。

帰ってきて、調布の駅前に降り立ってみれば、秋めいたさわやかな風の中にきんもくせいの香りがして、なんだか心が安らぐ。自分の故郷が優しく迎えてくれたような気がして嬉しかったです。しっかり次の生活を立ち上げていかないと。

さて、今日は例によって、帰国便の中で見た映画の感想。今回は相当の数の映画、それも邦画をかなり見ました。
 
・「キャプテン・アメリカ
ご存じスパイダー・マンやアイアン・マンなどをヒットさせたマーベル・エンターテイメントが、マーベルの生んだアメコミヒーローたちを勢揃いさせようというプロジェクト(「アヴェンジャーズ」というそうな)を進行中。歴代仮面ライダーウルトラ兄弟、みたいな感じかね。その一環で作られたこの「キャプテン・アメリカ」、コスチュームからして中々ちゃんとした映画にするのが難しいヒーローだと思うのだけど、さすがハリウッド映画、結構しっかり作ってあって、元いじめられっ子ゆえのヒーローの心優しさで、ちょっとほろりとさせるラストシーンになっています。とはいえやっぱりあの盾とコスチュームには無理があるなぁ。しかしヒューゴ・ウィーヴィングって、あの顔が魅力なのに、顔とっちゃったらダメだと思う。そういえば「V・フォー・ヴァンデッタ」でも顔隠してたなぁ。もったいない。

・「Super 8」
E.T.と未知との遭遇を足して二で割ったところにプレデターをかけたみたいな映画。なんて書くとつまんないのか、と思われるかもしれないけど、ある意味映画オタクの監督が、自分の作りたい映画を作った、という感じがあって、悪くない。ヒロイン役の女の子がいい味を出していて、子役たち一人ひとりのキャラがとても立っていて、後味がさわやか。特に最後のクレジットで流れるショートフィルムがいい。しかし最近のエイリアン映画ってのは、前回見た「Battle LA」にせよ、特撮部分がおんなじようなテイストでちょっと食傷するなぁ。

・「阪急電車〜片道15分の奇跡〜」
私の郷里への帰省の時に使う阪急宝塚線を舞台にした映画、となれば、やはり見なければ、と思ってみたのだけど、脚本が甘ったるくてちょっとしんどかった。宝塚駅とか出てきただけでうれしくなっちゃうんだけどね。中谷美紀もなんだかはまりすぎてるし、そもそも私は宮本信子の芝居がバタ臭くってあまり好きではない。あらボロクソ。というわけで主演男優賞はなんといってもエンジ色が上品で美しい阪急電車の車両に差し上げたい。

・「小川の辺
大好きな藤沢周平原作の映画、となれば、これもやはり見なければ、と思ったみたのだけど、テンポが悪すぎてこれもしんどかった。すごく丁寧に作ってある立派な時代劇なんだけど、エンターテイメントとしては失敗。同じくらいのエピソードの密度で、同じくらいのテンポ感なのに、「武士の一分」がものすごく魅力的だったのと、どこが違うのだろう。東山さん始め、役者さんたちはすごく頑張っているのになぁ。監督の力量としか言いようがないんだけど。そういえば同じ監督さんの「真夏のオリオン」も、丁寧に作ったつまらん映画だった。ちなみに、役者さんの中では、尾野 真千子さんが素敵でした。「カーネーション」のヒロインさんなんですね。

・「プリンセス・トヨトミ
実は今回機内で見た映画の中でこれが一番面白かった。大阪で暮らしたことのある人間だから、というのもあるかもしれないけど、それだけじゃないし、突拍子もない非現実的な設定が映画的に面白い、というのもその通りだけどそれだけじゃない。確かにとんでもない設定のとんでもない映画なんだけど、ミステリーとしての面白さ、SFとしての面白さ、歴史ミステリとしての面白さにくるんで、親子とか、郷土、といった結構ベタな、でも人間にとってとても大事なことをしっかり描き切っているなんとも贅沢な映画。トリッキーな映像感覚も面白いなぁ、と思ったら、古畑任三郎シリーズで活躍されていた鈴木雅之監督なんですね。細かいディテールにも原作への愛情があふれていて本当に楽しめました。