例によって機内の映画の感想を

年明け早々に家内と娘と一緒に日本に帰国。しばらく一人暮らしだった調布の家が急ににぎやかになりました。やっぱり家族が一緒に住んでいる、というのはいいもの。娘はまた日本の母校であるむさしの学園に短期間お世話になることになり、久しぶりの旧友との語らいがとっても楽しかったんだって。日本とアメリカと2つの全然違った母校を持つことができた、というのも、なかなか得難い経験だったねぇ。

さて、今回は、例によって機内で見た映画の感想を並べてみましょうか。といっても、いつも乗っているコンチネンタル便の映画はかなり見尽くした感があって、先日のミャンマー出張で見た映画もまとめて書いちゃいます。
 
・「カウボーイ&エイリアン

タイトルからして、「エイリアン vs プレデター」みたいな超B級映画かな、と思っていたら、ハリソン・フォードも出てるっていうし、そうでもないのかな、と、期待半分で見ました。まぁそれなりにちゃんとA級映画になっている。謎の能力を持った記憶喪失の男、というと、何かしら超人的なキャラクターであることを期待しますけど、上手にそのあたりの期待を裏切っているところが悪くない。とはいえ、どこかしらデウスエクスマキナ的なキャラクターに解決を任せてしまっているところとか、原作がいわゆるアメリカンコミックだからちょっと深みが足りない感じは否めない。それにしてもエイリアンさんも色んな人たちと戦わないといけなくって大変だねぇ。アメリ海兵隊とLAで戦ってたと思ったのに。おんなじエイリアンじゃないかと思うくらいにテイストが似ているのは、同じILMがCGを担当しているからかもしれんが、ハリウッドのCG映像はだんだん見飽きてきたなぁ。
 
・「トワイライト・サーガ」三部作

帰国便のコンチネンタル航空の中で、トワイライト・サーガ三部作を全部みてしまいました。最新作の「トワイライト エクリプス」以外は英語版で見たので、若干話についていけてない部分もあるけど、ハイスクール青春ものがいきなりヴァンパイアと狼男と人間の三角関係になっちゃって最後にはヴァンパイアの種族間闘争にまで発展しちゃうところが強引というかなんというか。舞台になっているのが出張で行ったこともあるシアトルなんだけど、確かにあのあたりの森深いエリアには色んな妖怪が住んでても不思議じゃない雰囲気があるけどねぇ。以前やっぱり飛行機で見たアンダーワールド・サーガよりも、ヒロインがか弱い女の子で、なおかつ三角関係に重点が置かれたストーリなので、ロマンチックな要素がはるかに強くなっている。アンダーワールドは相当ヴァイオレンスだったし、何せヒロインがむちゃくちゃ強かったからなぁ。それにしてもエクリプスのベラは優柔不断が過ぎるぞ。クリスティン・スチュワートはヒロインにしては花がない、なんて人もいるけど、十分可愛いと思うだけにこの優柔不断さはひどい。個人的にはヴァンパイアのエドワードよりもジェイコブの方がいい男のような気がするんだが、強引なのが敗因だったのだろうか。残念。青春ファンタジーもの、ということでは楽しめたんだけど、米国ではこのシリーズにのめりこみすぎて、自分がヴァンパイアだと思い込んで好きな女の子の首筋にかみついちゃった男の子が出た、という人気作品なんだって。
 
・Contagion

マット・デイモン主演の感染パニック映画。この手の新型ウィルスを描いたパニック映画といえば、なんといっても「復活の日」とか、あるいは最近では「アウトブレイク」なんかが思い浮かぶけど、もっと真面目かつリアルに、新型インフルエンザによるパンデミックの恐怖を描いた映画。一人としてヒーローが出てこなくて、一人一人が災厄の中で必死に自分の役割を果たそうとするところは、同じ細菌パニックを描いた篠田節子の「夏の災厄」を思い起こさせる。当然映画の後味は非常に悪い。一応、若い世代に向けての救いが残されていたりするんだけど、飛行機という閉鎖空間で見るには多少勇気がいる映画。人物描写にすごく突き放したようなテイストがあるなぁ、と思ったら、「セックスと嘘とビデオテープ」のソダーバーグ監督なんですね。なんとなく納得。
 
星守る犬

今回見た色んな映画の中では一番泣けた映画。冒頭あたりで川島海荷ちゃんが、可愛いんだけど、いわゆるアイドル歌手の「ジャリタレ」演技をやり始めたあたりでは相当腰が引けたんだけど、西田敏行が出てきた瞬間からしっかり日本映画になって、後半は犬の好演もあってもうぽろぽろ泣いてしまいました。お話としてはそれこそ「阪急電車」なんかと同じような、割と安易なお涙ちょうだいストーリになってもおかしくないんだけど、西田敏行三浦友和、岸本加世子などの役者陣の存在感でしっかり映画にしたような感じ。ところどころに挿入される新聞記事で時事性を出そうとするところはちょっとあざとい感じがしたし、ところどころ甘ったるいところもあるんだけど、真面目なよい映画でした。

大河ドラマの「平清盛」も始まりました。画像が汚い、だの、低視聴率だなんだの言われているみたいだけど、「ちりとてちん」以来の藤本有紀ファンとしては、そういう外野の雑音は一切無視して、藤本さんらしい軸のしっかりした骨太のドラマを描き切って欲しい、と思っています。第一話から、すごく新しい平清盛像が生まれてきそうで、とってもわくわくしてます。