我慢は美徳、諦めは悪徳

昨夜CNNのニュースを見ていたら、日本駐在の経験のある特派員へのインタビューがありました。なぜ日本人は災害に対して粛々と、大きな混乱もなく対応しているのだろう、というインタビュアーの質問に対して、この特派員が何度も「Gaman」という言葉を口にしていた。日本人は我慢することを知っていて、災害に対して協力して乗り切ろうとする。その美徳が、日本人を災害に強い国民にしているのだ、という分析。

それは正しいことなのだけど、我慢、というのは、日本人特有の、諦め、という言葉と表裏一体なんだよな、と思う。全て、神様の思し召し、天災だと思って諦める。諦めるから、我慢もできる。しょうがないよね、我々の力じゃどうにもならなかったんだから、と慰めあう。

でもね、我慢は必要だけど、諦めちゃだめ。福島原発の状況について、海外からは、「日本は大惨事の発生を諦めたのではないか」という批判が高まっている。でも、みんな諦めちゃだめだ。現場の要員が減らされた、という報道があるけど、放射線量が高くて近づけない現場の要員を増やせるはずもない。でも、決死の思いで惨事を防ぐために戦っている人たちは確かにいる。あと数日で定年、という東京電力の職員が、自ら志願して、現場に向かった、という話が、Twitterに出ていました。ここで防がないと、この後起こるかもしれない惨事を、「これも天災だよね」と諦めて、我慢することはできないよ。

東京の女房は、大船渡の親族とやっと直接会話ができたそうです。色々状況を聞いた様子なので、下記に現地情報としてまとめておきます。女房の母親は大船渡で地域医療に関わっている人間なのだけど、もう70歳を超えて、そろそろ引退を考える時期かな、と思っていました。今回の震災を機に、引退、という話も出るか、と思っていたら、電話口では意気軒昂、4月には大船渡に戻って医院を再開する、と宣言していたそうです。「今大船渡を支えないでどうする!」と叫んでいたそうな。

私は日本では携帯会社に勤務していたのですが、うちの会社には、こういった災害時にダメージを受けた携帯電話の電波基地局を代替するために、車に載せた可動型基地局、というのがあります。今、全国からこの車が東北に出動して、東北の携帯網の復旧に尽力しています。基地局には、普段待機している都市の名前がついているので、出動している車の名前を見ると、日本全国が東北を支えてくれているんだな、という実感が湧きます。例えば、こんな車たちが被災地に出動しています。

福岡号・札幌号・大阪号・広島号・高松号

ちなみに、大船渡で頑張っているのは、札幌号と高松号じゃないかな。頑張れ高松号。みんな諦めてない。我慢はしても、諦めちゃだめだ。

<女房が親族にヒアリングした現地の状況>

・サンリアあたりまでかなりの水が押し寄せた。盛川の増水ではなく、港からの海水が直接サンリアまで届いた。盛川の市街地側堤防は津波に耐えた。
・緑町(盛駅の盛川寄りのエリア)にある家は、1階が完全に浸水、流されてきた軽自動車が玄関先に転がっている、といった状況
自衛隊アメリカ兵がどんどんやってきて、大船渡の町をガンガン片付けている
・医師の応援も続々と来ていて、遠くは鳥取からヘリで駆けつけてくれている
・とにかくガソリンが足りない