たった一人の終業式

娘の通っていた学校は、むさしの学園という私立の学校。多磨のアメリカンスクールの近くにある、幼稚園(ひまわり幼稚園)と小学校が併設された、1学年1クラスの小さな学校です。この日記の中でも、我々家族にとって本当に居心地のよい、素晴らしい学校、ということで、何度か紹介してきました。

この地震の影響で、むさしの学園も、3月一杯休校することに。それでも卒業式は開催されたそうですが、予定されていた終業式はキャンセルになってしまい、娘は5年生の終業式を、みんなと迎えることができませんでした。それでも、娘が学校に残してきたいろんな学業用品を引き取らないといけない。昨日、娘は、女房と一緒に学校に行ってきました。たった一人の終業式。

女房が、その時の学校の職員の皆さんの温かい対応について、メールを送ってきてくれました。私たち家族が、どれだけこのむさしの学園が大好きだったか、どんなに素敵な学校だったか、自分たちの思い出になるように、この日記に女房から送られたメールを転記しておきます。

一応、学校名以外の固有名詞については、仮名にしてあります。娘の名前も、いつもこの日記に出てくる、「かなこ」「かなちゃん」という名前に変えて掲載します。また、この学校は、各学年を、樹木の名前のついたクラス名で呼んでおり、娘のクラスは、「くるみ組」という名前でした。

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今日は、かなちゃんと一緒に
むさしの学園に行ってきました。
3月いっぱい、休校になっちゃったので、
荷物とか通知表とかもらうためです。
他のみんなは、4月に終業式(?)なんだけど
かなちゃんだけ特別、一人終業式です。
 
9時過ぎにゆっくり起きたかなちゃん、
しっかり制服に着替えました。
よく考えて見たら、この制服姿も見納めだ〜。
 
荷物が結構多くなりそうだったので、
許可をいただいて、正門の中まで車で入りました。
学園は、すっかり新校舎が現れてました。
今は内装を直してるみたい。
地震の影響はあまりなかったらしい。
とても明るくてきれいな校舎です。
 
ひまわり幼稚園は休園じゃなくて、
ちゃんと子どもたちがいました。
ご近所から通う人が多いし、ママ送迎が基本
だから、登園させても大丈夫ってことだね。
 
学園には、ほとんどの先生達がいて
引越の準備をしていました。
かなちゃんは、くるみ組にて、
小山内先生から、まず通知表を受け取った。
そのあと、なんと、くるみ組の全員からの
メッセージカード! かなちゃんに内緒で
みんなで書いてくれてたんだって(*^_^*)
かなちゃんは、ちょっと照れくさくって、
とっても嬉しくて、ちょっと寂しそうだった。
 
あとは、教室に残っているものや
家庭科室に残っているものや
美術室に残っているものや
理科室に残っているものを
それぞれ受け取ってまわりました。
そのたびに、それぞれの教室で作業をしている
先生たちにご挨拶。
 
ほんと、どの先生も、
かなこのことをよく見ていてくれたんだなーと
改めて実感しましたよ(:v;)
如何に、かなちゃんが先生方から可愛がられて
いたかってことも、よくわかった。
どの先生も名残惜しそうで寂しそうで、
社交辞令のご挨拶をする先生なんかいない。
「あれ?どうしたの?」なんて言う先生はいない。
みんな、ちゃんと、かなこがアメリカに行くことを
よく知っていて(事務のおばさんまで!)、
ああ今日でお別れか…ってすぐに察してくれて、
「きっといいことがいっぱいあるよ!」
「がんばってね!」「楽しみだね!」と
声をかけてくれていました。
佐藤先生に至っては、ほとんど涙ぐんで言葉に
ならないくらい(;O;)
担任になったことなんか一度もなかったのに、
かなこたちが余程懐いていたのでしょう。
かなちゃんもちょっとウルッとしてました…が、
涙はこぼさずがんばってた。
 
最後は玄関で、校長先生が、かなちゃんの両肩を
ぽんぽん!と叩いて激励してくれました。
校長先生も、なんか言葉にならないみたいだった。
校長先生としては、今年度の終業式が
全員でできない…っていう悔しさもあるんだと思う。
まさか、あの地震の日が今年度最後の日に
なるなんて思いもしなかったからね。
でも、こればかりは仕方ないです。
受け止めなくては。
 
それにしても一人の生徒のことを、こんなに皆で
見送ってくれるなんて、本当に素敵な学校だなーと
改めて改めて思いましたよ。
 
そういえば、かなは、昨日の夜、寝る前に、
「ママはいつどうやって、むさしの学園を
見つけたの?」と、突然聞いてきました。
かなちゃんなりに、むさしの学園と自分のことを
色々整理しようとしてるのかもしれないね。
 
くるみ組の皆にはご挨拶ができなくて、
ちょっと寂しい終業式だったけれど、
でも、かなちゃんもママも、
大好きなむさしの学園に、とてもいい形で
しっかりとお別れを言えた気がしました。
 
夏になったら、またすぐ遊びに来ます!と
言ったら、どうぞどうぞ待ってます!と
皆さん笑顔で答えてくださいました。
 
この災害のことがあるから、
来年度の5月の那須高原合宿(修学旅行)や
7月の臨海学校などは、慎重に考えねば
なりません…と小山内先生が仰ってました。
でもきっと、くるみ組の皆なら、大丈夫さ。
いろんなことを理解して、きちんと受け止める
それだけの力のある子どもたちだと思うから。
 

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むさしの学園の皆さん、本当に素晴らしい環境と、たくさんの素敵な思い出をありがとうございました。新校舎が落成したばかりの年に、大災害が起きてしまいましたが、日本もこれから新しい時代が始まります。新しい校舎が、子供たちの明るい笑い声に包まれますように。遠く地球の裏側からお祈りしております。