NYのラーメン事情となぞの和風居酒屋

今日の本題に入る前に、日本にいる女房から、ガレリア座の「運命の力」の公演成功の知らせが入ってきました。その場に自分がいられないのが悔しい、という気持ちは正直あるんですが、逆に、数年後、また日本に戻った時に、自分の舞台勘や歌唱技術が衰えていないように、しっかりこちらでの鍛錬の場を確保しておかないと、とも思う。頑張った女房どの、舞台裏で支えた娘(例によって、衣装のお裁縫や楽屋仕事に大活躍!)に、お疲れ様でした。今度は10月のフィガロだね。こちらは毎日目が回るほど忙しいけど、頑張るよ。

さて、今日は、こちらのラーメンの話。なんて言いながら、そんなに食べ歩いているわけじゃないんです。ただ、最近日本でも話題になっているように、マンハッタンでは、老舗の日本料理店が次々に廃業する傍ら、新しいラーメン屋さんが増えてきていて、現地の人の間でも相当人気になっているらしい。私ももともと日本にいた頃、会社のお昼時には、しょっちゅうラーメンを食べてましたから、こちらでも機会があれば極力色んな店を試しています。意外とどのお店も美味しい、というか、美味しいお店を紹介してもらって行ってるからなのかもしれないけど、はずれがない。

マンハッタンの中では、昔から日本人には有名な、伊勢、というお店の伊勢ラーメン、というのを最初にいただきました。和風の魚介類スープであっさりしていて美味しい。あとは、最近出来たばかりの、秀ちゃんラーメン、という九州ラーメンのお店。東京でもあまり味わえないくらいしっかりした九州風のこってりラーメンで、私にはちょっとこってりすぎたけど、一緒に行った九州出身の若者は感激しておりました。

ダウンタウンにあるリトルジャパンの中には、一風堂があるらしいのだけど、あまり評判がよくない。逆に、世田谷ラーメン、というお店があって、ここに先日行ってきました。ここも魚介類スープなんだけど、とても美味しい。店内を見渡すと、日本人の客は私だけで、他はほとんど米国人。結構満席になっています。こちらの人たちにも受ける味なんだね。このリトルジャパン、というエリアには、他にも日本料理店がいくつかあるのだけど、例に漏れず、韓国料理店や中国系のお店に押されて、リトルジャパンという名前の割には影が薄くなっています。頑張ってほしいんだけどなぁ・・・以前も日記に書いたけど、こちらの人たちには日本料理の受けがいいんだし、円高で投資効率も上がってるだろうから、是非進出してきて欲しいんだけど。とはいえ、ドル安で結局採算取れないのか・・・

私が住んでいるニュージャージにもラーメン屋さんはあって、フォートリーにある肥後ばってんラーメン、というお店が有名。私も二度ほど行きましたけど、それほどこってりしていなくて食べやすくて美味しい。NJで有名なのは、この日記で何度も出てくるMitsuwaというスーパーの中にある、山頭火ラーメン。ここも一度食べてみたいと思うのだけど、週末はものすごく行列になっていて(こちらでも、並んでいるお客のほとんどは日本人以外の人)、一度も食べられていません。

こうしてみると、日本食というと、寿司か刺身か鉄板焼=高級料理、といった時代は終わっていて、ある程度リーズナブルな値段で楽しめる普通の美味しい民族料理、という所に収まりつつある気がしています。日本料理、というブランドイメージもまだ多少維持されているみたいですけどね。こちらに来ると、日本料理の看板を出しているけど、実際には韓国人や中国人がやっているお店、というのがたくさんあります。先日、近所にある、「居酒屋まる」というお店に行ったのだけど、これがまさに、韓国人がやっている日本料理のお店。看板にも、店内の色んなデコレーションにも、山形地酒、だの、お寿司のポスターだの、日本のものがたくさん貼ってあるし、店員さんは「浦霞」なんてでかでかと書いてある前垂れをしていたりする。なので、すっかり日本料理店だと思って入ってみれば、「イゴセオ」のご挨拶と共に出てきたメニューは、どう見ても韓国風日本料理。「Pork Yakitori」とか、ししゃものヤキトリ、とかが出てくる。ようするに竹串に刺して焼いたら全部ヤキトリになるらしい。それって言語的にどうなんだよ。

カルチャーショックってのは色々あるけど、こちらでの日本文化の受容の有り様にも、多少なりカルチャーショックを感じる日々です。さて、仕事に戻らねば。