隔世の感

職場の上司は帰国子女で、小学生の高学年のころ、お父様が米国赴任されるのに家族でついていった、という話をしていて、「今はいいよね、帰れるもん」とおっしゃる。「僕らの子供のころ、だから、昭和50年代だよね。一度米国に行ったら、帰れなかったよ。5年間の赴任の間、一度も帰れなかった。」海外に行く、ということ自体が、本当に敷居の高い時代で、「国際電話も高かったからねぇ。5年間で、おじいちゃんやおばあちゃんに電話したのは、2回だけだった。大イベントだったよ」と。

私が入社したばかりの頃、いわゆるISDN回線、というのが最新の通信サービスで、64+64=128Kbpsの通信速度が「驚くほど速い」と言われました。その伝送速度の速さを証明するために開発されたTV電話のデモンストレーションに立ち会ったことがありましたけど、今会社で使っているTV会議システムから見れば、笑ってしまうほど画像がカクカクしている。コマ送りのアニメ、というより、紙芝居に毛が生えたような感じ。それでも当時は最先端だったんだよ。

今日、少し早めに帰宅できたので、PCにWEBカメラをつないで、女房のPCと私のPCにスカイプを設定してみる。インストールもあっという間で、開通もあっという間。家の2階と1階で通話試験やってみたんだけど、あきれるほどきれいな画像と音声で会話ができる。たった20年でここまで来ちゃったんだなぁ。

自宅にあるビデオカメラで撮った映像を、どうやって米国に送ろうか、という話をしていて、今あるカメラは、DVテープを使っているんですね。これをDVDに録画しようと思ったら、最近使い始めたDVDレコーダには、アナログの入力端子がない。色んな電気屋さんを回ってみたけど、今あるカメラの出力端子から、今使っているDVDレコーダに入力することができない。店員さんに聞いてみれば、「もうDVテープを使っている機種はほとんど製造されてないんですよ。みんなHDD録画になっちゃってますからね。」とのお答え。だって、今使ってるカメラを買ってから2年くらいしか経ってないんだよ。

色んなものが速く変わりすぎて、私みたいな古い頭の人間にはなんだか空恐ろしくなってくる。どんどんスクラップアンドビルドされていく技術の中で、古い技術をベースに作られた道具たちは、あっという間に陳腐化して無用の長物になっていく。そういうことでいいのかねぇ。

と思っていたら、今日見た「クローズアップ現代」で、「最近の若い人たちは、子供のころからエコ教育を受けているから、古いものを捨てるのがもったいない、と思うんです。だから、修理して使えないか、と思うし、丈夫で長持ちするものが喜ばれるようになってきた。」という話が紹介されていました。洗練された消費活動、と、コメンテーターさんがおっしゃっていて、なんとなくほっとする。以前もこの日記に書いた、鋳掛け屋さんとかが復活してくるかもしれないね。

今日も「ワンダフルワンコ」掲載です!

第9話「ズズゥー」

第10話「お手!」