ロンドン街歩きタイムトライアル〜住むとしたらやっぱりパリの方かなぁ

引き続き、先日のパリ・ロンドン出張の街歩き記録を。

今回の出張で、ロンドンには3日間いたのですが、一日中会議場に缶詰めで、ほとんど街歩きをする時間は取れず。どらえもんの「どこでもドア」が会社の玄関にあって、開くとそのままロンドンの会議場に通じているような感じですね。まぁ仕事で行ってるんだから、パリで半日も時間があったこと自体ラッキーというべきなんでしょうが。

そんな缶詰め状態でも、一応、ホテルから会議場までの往復の時間や、短い空白時間を縫って、少しだけ眺めてきたロンドンの街並みをご紹介します。泊まったホテルはパディントン駅の近く。パディントン駅には地下鉄と、空港までつながっている長距離列車が乗り入れていて、海外からの旅行客にとってのターミナル駅になっています。
 

ヒースロー空港行のExpressが出ている駅。立派ですね。
 

また列車の写真を撮ってます。一番右がヒースロー・エクスプレス。
 

空港行だけではなく、英国各地に向かう長距離電車が出ています。大きな駅だねぇ。

ヒースロー空港からロンドン市内に入るのにタクシーを使ったのですが、70ポンドもかかって1時間近くかかります。でも、このヒースロー・エクスプレスだと、20ポンド弱で20分ほどでついてしまう。車内もゆったりしていて高級感があり、とても快適。

このパディントンの駅前で拾われたのが、有名なクマのパディントン。駅の近くのお土産もの屋さんでは、「Please look after this bear, thank you」という札を付けて、紙袋に入った熊のぬいぐるみがたくさん売られていました。長距離電車が止まる立派な駅の方で拾われたのか、それとも地下鉄の駅の方で拾われたのか、そこはよく分からないのですが、物語として、長距離電車のターミナルに捨てられる、というのは分かりやすいですね。熊が捨てられるかどうかはともかく。駅として絵になるのは地下鉄の駅の方で、石造りの風情のある駅でした。
 

なかなか趣のある駅。

会議場までは地下鉄を乗り継いで行ったのですが、ニューヨークの世界一汚い地下鉄に比べると(って毎回言ってるけど)歴史と品格を感じさせる素敵な地下鉄でした。
 

地下鉄のパディントン駅。石積みの外壁の雰囲気がいいですね。
 

国旗色の列車。

エローライン(またはサークルライン)という環状の地下鉄に乗ったのですが、東京の大江戸線のように、6の字になっていて途中駅で乗り換えるシステムです。ロンドンの地下鉄はチューブ、というそうですが、他の路線では、まさにチューブ型の丸い車両を見ました。
 

これはNorth Lineの列車。丸いっす。
 
地下鉄の切符は、片道で4.3ポンド、というのが標準価格なんですが、オイスターカード、というメトロカードの一種を買うと、これが2ポンドになります。オイスターカードは5ポンドのデポジットを払わないと買えないんですが、1回往復するともう元が取れてしまう。
 

自動改札口。上についている丸いところがカードの読み取り機になっていて、日本のスイカみたいに非接触型で読み取ってくれます。
 

チューブ型の車内は結構狭い。日本ほど携帯に夢中になっている人は多くなくて、むしろ手前に写っている人みたいに、新聞を読んでいる人がやたら目につきました。イエロー・ジャーナリズムと言われる大衆紙が人気、というお国柄のせいかな。

会議場所がロンドン塔の近くだったので、例によって少し早めに出かけ、バービカンセンターの近くからテムズ川沿いを歩く。
 

ロンドンの街はどこかしら東京と似た雰囲気があります。石造りの伝統的な建物と、鉄とコンクリートとガラスでできた近代的な高層ビルが混在し、道もあまり秩序なくごちゃごちゃしている。東京よりも道が細い分、建物の密集感は高いんですが、何故か東京ほどごちゃごちゃ感がない。なんでかな、と考えてみると、鉄とコンクリートとガラスでできた近代建築と、石造りの建築っていうのは、雰囲気的に親和性がある気がするんだね。
 

ロンドンの街角でみかけた古い建物。例えばこういう古い石造りの建物の向こう側に、近代的なコンクリート建築が並んでいるけど、さほど違和感がないですよね。

東京の街がどこか落ち着かないのは、木と紙と瓦の伝統的な建物が、鉄とコンクリートの近代建築と根本的に調和しない、というのが大きな要因のような気がした。もちろん、明確な都市計画というものを持たなかったり、派手なネオンや高層建築規制など、景観への配慮が足りない、といった別の要因も大きいとは思うのだけど。石造り建築の延長線上にコンクリートと鉄筋の建築があるとするなら、日本の建築は木造から明治の洋館作りへの急激な変化において大きな断絶を生じてしまっている。それも一つの要因なんじゃないかな、と。

「ロンドン橋落ちた」の歌で有名なロンドン橋を見たくて、モニュメント駅の近くを歩く。モニュメント駅っていうのは、ロンドン市内の85%を消失し、世界三大大火に数えられるロンドン大火を悼んで作られたモニュメントにちなんでいるそうです。
 

モニュメント駅のモニュメント。

このモニュメントのすぐ近くにロンドン橋があります。
 

ロンドン橋から対岸を眺める。超高層ビルが建設中でした。
 

ロンドン橋の上からは、お馴染みのタワーブリッジがよく見えます。

あいにくの雨模様で、どうもこのところ私は雨男になっているみたいですね。雨脚を気にしながら、タワーブリッジまでテムズ川沿いの遊歩道を歩きます。
 

遊歩道から眺めたロンドン橋。割とそっけない橋ですね。
 

タワーブリッジのそばに停泊していた軍用艦が妙にポップな色彩でおしゃれでした。

タワーブリッジのすぐそばには、有名なロンドン塔があります。
 

建物の向こうにタワーブリッジの頭の部分が覗いています。
 

手前の緑地帯は昔はお堀だったらしい。

ロンドン塔のそばを通り、タワーブリッジに近づいていく。
 

パステルブルーがきれいですね。


横から見たタワーブリッジ。あんまりこのアングルの絵をみたことはないよね。
 

こんな感じ。中は博物館になっているようですが、入る時間はなし。
 

見上げてみたぜ。

テムズ川タワーブリッジに比べることはできないけど、こういう立派な橋が街の象徴として大事にされているのを見ると、首都高速に押しつぶされた日本橋とかって可哀そうに思えてくるよね。あれも首都高速がなくなってしまえば、美しい橋だとおもうんだけど。

クマのパディントンの話だけじゃなくて、子供の頃からなじんだ物語やファンタジーの舞台が目の前にある、というだけで、ロンドン街歩きって楽しかったりします。
 

こういう建売住宅っぽい同じ外観の建物がずらっと並ぶ街並みを結構見たのだけど、どの家にも煙突があって、メリー・ポピンズの煙突掃除夫のダンスを思い出す。


あのシャーロック・ホームズの家のあるベーカー街は、地下鉄の複数の路線がクロスするターミナル駅でした。結構街中でびっくり。
 

街中でたくさん見かけるタクシーは、どれも同じ丸っこい形。色やデザインは様々ですけど、何ともかわいい。

今回の出張は米国赴任から帰国して初めての欧米圏への出張だったんですが、米国赴任以前に行った海外出張と比べて、自分の感覚がちょっと変わっている気がしました。以前から、アジア圏への出張では、自分と同じ顔の人たちの中に紛れている安心感があり、あまり緊張感がなかったんですが、欧米圏に出張するときには、周りと自分の外見の違いが気になるのか、妙に緊張感があった気がします。でも米国赴任、それも多民族社会のニューヨークの生活を経てみると、自分が周囲と違うことが当たり前、という感覚が身についたのか、街を歩いていても全然緊張感がない。明日からでもここに住めと言われれば住めちゃうような気楽さで、街歩きを楽しむことができました。じゃあどっちの街に住みますか、と聞かれたら、建物の連続性があるとは言っても近代建築が伝統建築を侵食している感じのするロンドンより、頑固に街の空気を維持しようとしているパリの方が素敵な街に思えたなぁ。
 

パリで泊まったホテルの前にあったアパルトマン。壁にからまるツタの色づきかたとかも含めて、時間と人が作りだした調和感があって素敵だと思いました。