伝言ゲーム

たまーにはビジネスマンっぽい話を。

最近どうも社内の伝言ゲームが多くて困る。伝言ゲームには色々あるんだけど、大きく見ると、(1)ヨコ(2)下から上(3)上から下、という3つの方向の伝言ゲームがあって、それぞれにたちが悪い。
 
(1)ヨコの伝言ゲーム

組織が大きくなりすぎて、色んな作業を分業するようになると、一つの仕事をこなすのに、色んな組織の間で「情報の共有」と称する伝言ゲームが出てくる。営業からバックオフィス、バックオフィスから調達部門、調達部門から支払部門・・・みたいな感じ。ここの伝言ゲームで生じるのは、「情報の変形」。面白いくらいに、入ってくる情報と、最終的に出て行く情報が違っている。この情報連携を上手にやらなければ、なんていう名目で、大量の会議と大量の情報システムが生み出されていく。その会議と情報システムを支えるための仕事が生まれて、その仕事の中でも伝言ゲームが生じる。伝言ゲームのフラクタル状態。
 
(2)下から上への伝言ゲーム

会社の高年齢化に伴って、どんどん上位職が増えてくると、その上位職にレポートする、という、下から上の伝言ゲームがどんどん多層化していく。係長から課長から担当部長から部長から本部長から事業本部長から・・・それぞれの上位職が、「ほうれんそう」を求めるものだから、伝言ゲームの逆ピラミッド構造で、下位職の人たちは大量のレポート作成やらデータのとりまとめでどんどん疲弊していく。ちゃんとレポートしろ、なんてわめいている偉い人が、報告会の場で居眠りしている、なんてのは日常茶飯事。レポートを受けるオレは偉いんだ、ということを確認するための儀式と化している。いやはや。
 
(3)上から下への伝言ゲーム

一億総無責任体質が染み付いているわが国では、誰もが責任を取らないことに必死。責任を取らない=「お前が悪い」と指摘されない、ということに皆が必死で、誰もが安全策を取ろうとする。この心理が、上位職からの指令を実現する部下の行動に反映されると、上位職からの指令が極端に先鋭化する、という「上から下への伝言ゲーム」が起こります。

例えば、上位職の方が、「最近みんな遅刻が多いな。ちゃんと指導しろよ」と直属の部下に言ったとする。すると、直属の部下が、「安全を見て」始業時間の30分前には会社に来ましょう、と、自分の部下に言う。するとその部下が、「安全を見て」始業時間の60分前には会社に来ましょう、と、自分の部下に言う・・・

こんな判りやすい先鋭化だけではないんだけど、色んな局面で、「安全を見て」とか、「バッファを考えて」なんていう言葉で、上位職の何気ない思いつきや独り言が、雪だるま式に仕事を膨らませていく。
 
どの組織も陥りやすい伝言ゲームの罠なんですけど、これを解消する一番いい解決方法は、全部自分ひとりでやること、です。組織として動いて、それなりの規模の仕事をしようと思ったら、こういう伝言ゲームがどうしても出てくる。それをうまくこなしていく技術も、サラリーマンとしての処世術の一つなんだろうな、とは思いつつ、無数の伝言ゲームの糸電話の糸が、蜘蛛の糸のように身体に絡みつく中を、お父さんは日々走り続けておるのです。