初めての家族旅行

この3連休、21・22日の二日間はガレリア座の合宿。前回の合宿同様、河口湖が合宿所、と聞いて、折角だから、少し河口湖畔を散策したいね、という話になる。前日の20日に別のお宿に前泊すれば、丸一日遊べるぞ、と女房が言い出す。

考えてみれば、遠出、といえば、ガレリア座の合宿と、お盆と正月の里帰りくらいで、家族だけでお泊りする家族旅行に出かけたことがないのです。一度、まだ小さい娘と一緒にディズニーランドのアンバサダーホテルに泊まったことがあったけど、ディズニーランドだと都内から出た気がしないしね。なんせ千葉にある「東京」ディズニーランドだし。ということで、初めての家族旅行に出かけることになりました。河口湖畔の温泉旅館への一泊旅行。

・・・と、浮かれたわけじゃないんですが、前日19日の木曜日の夜、会社の気の置けない仲間で安酒をあおったせいで、パパは正体不明になって深夜に帰宅。玄関先で倒れこむようにして寝込んで、朝目が覚めたら、ネクタイをはずしてズボンは脱いでいるんだけど、ワイシャツとスーツは着たままという格好で居間に転がっておりました(あまり具体的な姿を想像してほしくないのだが)。女房も手がつけられなくて、毛布をかけるのが精一杯。絵に描いたようなぐでんぐでんパパ。

朝起きても見事な二日酔いで、シャワーを浴びても、全身から酒の匂いがプンプンする。頭も朦朧としていて、折角の家族旅行のスタートは、パパの悪酔いのせいでなんだか無茶苦茶になってしまう。しかも春の嵐で外はどしゃぶり。仕方がないので、高速道路を走ったことが2度ほどしかない女房が、ハンドルを握ることになりました。パパは、といえば、悪寒と吐き気と戦いながら、粗相をしないようにビニール袋を抱え、助手席で丸くなっていて、全然役に立たない。女房は激怒しながらも、とにかく初の談合坂越えに挑むことに。

中央道は結構渋滞していたのだけど、進むにつれて次第に天候が良くなってくる。パパは途中で眠りこんでしまい、ふと目が覚めると、車は談合坂の近くまで来ていて、天気もすっきり、渋滞も解消、パパの頭もすっきり。女房は初めてぶっ飛ばす高速道路や、八王子料金所の大渋滞にヒーヒー言いながら、大イビキをかいて快眠しているパパを恨めしそうに見ていたそうな。誠に申し訳ございませんでした。

河口湖に着いてからは、すっかり快晴。回復したパパが運転して、宝石の森に行ったり、カチカチ山ロープウェイに登ったり、スワンボートを漕いだり、前回行って中々素敵だったオルゴールの森に行ったり、河口湖近辺を堪能。カチカチ山ロープウェイの頂上からの富士山はまさに絶景。雲ひとつない晴天の下、眼下に見える富士急ハイランドから、真っ白い山頂まで、視界をさえぎるものが何一つなく、壮大な富士山の存在感を十二分に味わいました。しかし、「カチカチ山」が河口湖にあって、タヌキが背中の薪の火を消そうと飛び込んだのが河口湖(泥船でおぼれたのも河口湖)というのは知らなかったなぁ。

泊まった宿は、「あさふじ」というこじんまりした温泉旅館だったのですけど、スタッフの応対も心地よく、部屋もきれい。展望風呂の床は畳になっていて、お年寄りや足腰の弱い人にも優しい構造になっている。河口湖を手前に富士山を遠望する窓からの景色も素晴らしい。夜のお料理も、一つ一つのお料理にきちんと手がかかっていて、とてもいい気分にさせてもらえました。

実はちょっとトラブルもあったりしたのだけど、それをフロントに言ったら、とてもきちんと説明と謝罪があって、こちらに不愉快な気分が残らないように気配りしてくれる。娘も、「またこのお宿に来ようね」「次はいつ来られるかなぁ。秋かなぁ」などと、今から次の家族旅行の計画を頭に描いておりました。

翌日、午後からガレリア座の合宿所に移動。ということで、午前中は河口湖畔でまた活動。娘が気に入ってしまって、「また乗ろうよ」と言ったスワンボートに乗り、その後、遊覧船に乗る。河口湖の湖上から見える富士山がまたすごい。カチカチ山からは、少し上から俯瞰する感じだったのですが、河口湖の湖上からは、まさに「見上げる」という感じで、富士山の見事な円錐形を実感する。女房は、「あの長ーい裾野のどこからが富士山で、どこからが富士山ではないのだ。我々のいるここは富士山の一部分なのか、そうではないのか」と悩み始める。南アルプスの山並みまで遠望できる晴天で、実に心地よかったです。

お昼前に、女房が、ミューズ館という美術館に行きたい、と言う。与勇輝(あたえ ゆうき)さんという人形作家の作品の常設展示があるのです。娘はちょっとリアルすぎて怖い、と言うのだけど、私は気に入りました。リアルなんだけど、どこかしら清潔感があって、現実感と非現実感のバランスがとてもよい。人形の着ている着物の質感が素晴らしくて、思わず目を凝らして見てしまいました。

合宿所に向かう途中で、お昼ご飯を食べるところを探したのだけど、うまく見つからない。途中で道端にあった甘味処のようなお店に「お昼のめし」という看板を見つけて、時間もないから、と、とにかく入ってみる。お姉さんが一人でやっている小さなお店だったのだけど、店の雰囲気もよく、お昼のお膳もとても洒落ていて美味しい。お店の名前を失念してしまったのだけど、また行ってみたいお店でした。

オペラ道楽のせいで、週末にちょっと郊外へ一泊旅行、なんてことが滅多にない我が家。だからこそ、貴重な機会だったんですが、予想以上に素敵な時間を過ごせました。何より晴天に恵まれたのがラッキー。我々が外で遊んでいる間は快晴だったのに、土曜日の夜から大荒れの天気になっちゃったもんね。娘が晴れ女なのだろうか。パパの二日酔いにもめげず、高速道路をぶっ飛ばした女房どの、ほんとにお疲れ様でした&申し訳ございませんでした。また河口湖に遊びに行こうねぇ。