お話を書くこと

以前ちょっとこの日記でも書いていた、神戸を舞台にした、ソプラノ歌手の子供たちの物語を一旦脱稿。A4のワープロ原稿で180枚近い長編になってしまいました。10月くらいから、自分の作った物語の中に相当のめり込んでしまって、その世界の中の出来事が自分の中にぐるぐる回転していて、日常のことがずいぶんおろそかになっていた気がします。ちゃんと社会復帰しなければ。年内は一杯イベントが控えているんだから。

といいながら、まだこのお話は完結していなくて、少しずつ手を加えている最中です。とりあえず、第三者の目で見てもらって感想をもらったり、作品のモチーフになっている部分の裏を取るために、モデルになった人たちや、専門家の方々の意見をもらいながら修正していく、という作業中。そもそもちゃんと本として完成するのかどうか、全く怪しいものではあるのですけど。

お話を書くこと、というのと、それを仕上げること、というのは全然別の工程だな、と思います。お話を書く、というプロセスには勢いが不可欠で、なんだかふっとやってくる天災のようなきっかけと共に、お話がどっと噴出してくる。勢いがある分、文章に力がこもる一方で、全体のバランスを考えられなくて、思い入れの強いエピソードが妙に突出してしまったりする。でも、客観的に後から読み返してみれば、やはりそういうバランスの悪さがちらほら見えてきて、泣く泣くそのエピソード自体全部書き直し・・・ということもある。書き直した後のエピソードは、つじつまあわせのために抑制が効いている分、勢いがなくって、なんだか当初のエピソードより見劣りがしたりするので、そのあたりのバランスを上手く取れないか、すごく苦労する。

客観的な視点でチェックするには、やっぱり自分以外の目に見てもらうのが一番。とりあえず二人のモニターに読んでもらい、感想をいただきました。うちの女房と、笠松宏有氏の絵を小説のモチーフに使わせてもらった関係で、Cさん。二人からのコメントを反映させて、第二稿を仕上げるべく、今、エピソードの入れ替えや、細かい基本設定の見直しと、そこから生まれる矛盾の洗い出し、整理、といった作業を加えています。その後、モデルになった方々や、業界の方に対するインタビューなんかもやって、さらにブラッシュアップしていきたい。最初の勢いを殺がないように、でも矛盾のないように、バランスがとれるように・・・その過程で、また新しいアイデアが出てきたり、女房から、「だったらここの場面の曲はこの方がいいよ」なんてアドバイスをもらって、また世界が広がったり・・・面倒な部分もあるけど、この工程も結構楽しい。

時々こうやって、「書きたい虫」がうずきだして、勢いとハズミで、オペレッタ台本やお話、という思いがけない子供がぽこっと生まれてきたりする。大抵、人目にさらすのは恥ずかしくて、自分の机の中にしまいこんでしまいたくなる子供たちが多いのだけど、今回のお話は、ちょっと形にしてみたいなぁ、と思っています。自信作、ということではなくって、自分の中にあった色んな物語が一気に噴出してきたような、自分の今までの43年間の一つの集大成のようなお話なので、できればまとめておきたい、と。

いつになるか分かりませんが、完成した時には、この日記でも宣伝しますんで・・・いつになるか、本当に分からないですけどね・・・ははは。