初めての再演経験

この10月、GAGの第8回公演を予定していて、演目は、以前やった、女房との二人芝居「パ・ドゥ・ドゥ」。飯島早苗さんの脚本で、女房が気に入って、2001年に上演したんだよね。もうあれから7年経ってるのか。月日が流れるのは早いなぁ。

実を言えば、ガレリア座の舞台を含めて、過去やった演目を一本丸々再演する、というのは初めての経験なんです。ガレリア座は、主宰が貧乏症なので、常に新作を上演する、というのが基本スタンスで、再演は「いつかやる」と言い続けて未だにやってない。唯一、「こうもり」と「ウィーン気質」は再演したけど、版が違う、とか、抄演だったものを全幕上演した、とか、舞台としてはかなり違うものを作った感じ。過去の公演でやった曲を抜粋上演する、なんてのは結構やったけど、一本丸々、というのは今回が初めて。

ということで、屋根裏部屋の奥にしまってあった上演台本を引っ張り出したり、前回上演時に使った録音(ガレリア座のメンバーや、S弁護士のお知り合いの弁護士さんたちに手伝ってもらって録音したもの)を見つけ出したり・・・という作業をこちゃこちゃやっていて、この週末くらいから、台本を読みなおし始めました。この作品の私の役回りは、胡散臭いチンピラ弁護士・・・ということで、のっけから胡散臭さ全開の芝居。その冒頭のセリフをもう一度頭に入れる作業をしていると、ちょっと面白い気分になる。

7年前に入れたセリフですから、それなりに「そうそう、こういうセリフがあったよなぁ」という気分で読むんですけど、セリフの解釈とか、どういう間や声の色で読んだか・・・という記憶はほとんど残ってないんですね。今の自分が今の自分のテイストで解釈し、読んでいく。そうすると、かすかに残っている以前の演技と比べて、自分の中にある役への解釈とか、演技の解釈が、それなりに深化していることに気づく。

それは、一度やった演目で、以前気づかなかった部分が見えてきた、という要素もある。7年前よりも、自分自身の表現の引き出しが増えていて、以前は使えなかった引き出しを使うことができるようになった、というのも、ある程度はあるかもしれない。でも大きいのは、単純に、年をとったことで、自分の表現手法自体が変わっている、ということです。台本は変わらない。セリフは変わらない。だから余計に、自分自身の変化がよく見える。

それは、「引き出しが増えた」という、「成長」や「進化」を意味するとは限らない。昔できていた表現ができなくなっていく、というマイナスの部分も絶対あると思う。そうなのだけど、プラスとかマイナスとかあんまり関係なく、単に「変わった」ということ、「変化して見える」ということ自体が面白い。

再演、というのにはこういう魅力があるんだなぁ、と今更ながらちょっと楽しみになってきています。この演目、前回はちょっと消化不良になった気分があって、終演後に女房と話をしていて、「あのセリフはこういう風に読まないとダメだったんだよね」みたいな話も出たりしました。そういうリベンジの気分も勿論のこと、7年の時を経て、変化した自分の表現にもじっくり向き合ってみたいと思います。今年10月13日(体育の日)、調布市民文化会館たづくりの映像シアターにて、GAG第八回公演「パ・ドゥ・ドゥ」をお楽しみに!