もったいない

不二家のぺこちゃんの将来が危惧されてますね。「ぽこちゃんと結婚して専業主婦だな」なんて話もあるらしいが。なんのことやら。

賞味期限切れの材料を「においで『問題ない』と判断して使った」という話は、確かにけしからん話だなぁ、とは思うのだけど、この「賞味期限」というやつ、個人的にはなんだかよく分からないんです。

よく分からないときにはWikipedia、ということで、早速調べてみました。これがすごく勉強になった。Wikipediaによれば、賞味期限というのは、「加工食品を包装状態のまま所定の環境に置いた状態で、製造者が安全性や味・風味等の品質が維持されると保証する期限を示す日時」なんだって。これに類する言葉で、食品に関する消費期限、と言う言葉があって、これは、「製造者が定めた、ある保存方法で概ね5日間経つと品質劣化する長期間保存できない食品の食用可能期限」なんだと。なるほどねぇ。

こういう説明を読むと、貧乏性の私なんか、逆にすごく「もったいないんじゃないかなぁ」なんて思っちゃう。製造者が安全性を保証します、といった瞬間に、製造者側はすごく安全サイドに立つ。万が一消費者からクレームが出たりしたら大変だし、万が一実際に健康被害を起こしたら大変だ。品質チェックをして、たとえば、平均して2週間くらいするとちょっと風味が変わって、平均して3週間くらいたつと健康上問題が起こりそう、という数字が出てきたら、「よし、賞味期限は1週間にしよう」という話になっちゃうんじゃないかなぁ。

そうすると、ほとんどの商品は、賞味期限を越えても別に問題はない。5%くらいの商品に、風味の変化が起きるかもしれないけど、95%は大丈夫。2週間たっても、ちょっと味は変わってるかもしれないけど、健康上の問題はほとんどない。それでも、賞味期限の1週間を越えた商品は、全て「ゴミ」になってしまう。これって、「もったいないじゃん」・・・なんて、貧乏性でケチな私は考えちゃうんです。多少風味が悪くなっても、身体に悪くないんだったら、なんらか加工してでも食べてあげた方が、せっかく生産した人に申し訳ないじゃないか。

だからって、不二家の担当者が、「原材料を無駄にしたくなくって、使ってしまった」という姿勢を擁護する気はないんですけどね。トヨタカンバン方式的なジャストインタイムの在庫管理が叫ばれる中で、自動車部品と違って生鮮食品という「消費期限」のある材料を使っている食品メーカーさんは、材料の在庫管理にすごく苦労されているんだろうな、と思う。そういう苦労の中で、たとえば、想定していたよりもケーキの売れ行きが思わしくなくって、ケーキ用のクリームに使うはずだった牛乳が大量に余っちゃったら、原料在庫を効率的に使おう、と、売れ行きのいいシュークリームに転用しよう、と考えるだろうし、そこで、「健康には問題がない『賞味期限』切れの在庫を、そのまま廃棄処分にするのはもったいない・・・」と考えちゃう、というのも分からないでもない気がする、という話。実際に健康被害が出ているのならともかく、上記のような生産側の「安全サイド」に立った賞味期限という基準で、一つの会社の企業価値がここまで毀損してしまうっていうのは・・・怖い話だなぁ。

大量消費社会における安全基準の問題って、難しいですよね。環境に与える負荷、という観点から考えても、賞味期限や消費期限をあんまり厳格に運用するっていうのは、ゴミや無駄なコストを増大させる。「安全」を叫びすぎるために、逆に地球の環境という安全を脅かしてしまう矛盾。かといって、野放図にしてしまうと、雪印事件みたいな実際の健康被害が、すごく広い範囲で発生してしまう。難しいなぁ。

東京都内のホームレスの方々を潤しているのは、消費期限切れのコンビニ弁当だ、なんて話もあると思うんだけど、すごくもったいないなぁ、って思ってしまう。そう言いながらでも、我が家の冷蔵庫で消費期限切れの食品を見つけたら、やっぱり怖くて食べる気はしないんですけどね。

そんなことを考えていたら、別のニュースで、JAXAが、「ルナA」という月探査計画を断念した、というニュースがありました。この理由が、月面探査用の観測機器の開発に手間取っているうちに、先に建造が終了していた、この観測機器を積み込む「母船」の「消費期限」が切れちゃったんだと。母船の方は相当の金額をかけて10年前に完成していたっていうから、こんな「消費期限」切れはほんとに「もったいない」よねぇ。