10円ひろった。

昨夜帰宅したら、女房と娘が、「今日はすごく面白いことがあったんだよ」とにこにこしている。聞いて見ると、こんなことがあったそうです。

娘は、近所のバス停からバスに乗って小学校に通学しています。同じバスには、同級生のお友達が何人も乗っています。学校が終わると、その同級生たちが、バス停でわちゃわちゃと降りてくる。お迎えに来てくれたお母さんと一緒に、そのまま家に帰る子供、さらに電車に乗っていく子供、と四方に散っていく。それがいつもの、下校時の風景。

昨日は、いつもバス停にお迎えにくるお母さんが、ちょっと遅れたので、みんなしてバス停の周りでうろうろ待ってたんだって。そしたら、一人の男の子が、「あ!」と地面から拾ったのが、10円玉。

「拾ったお金は、警察に届けないといけないんだよ!」ということで、10円玉を握り締めたお友達、すぐ近くにある交番に走っていった。すると、拾得物関係の書類を管理している担当のお巡りさんが、ちょうど不在だという。遅れてきたお母さんも到着したのだけど、子ども達はみんな興味しんしんで、「お巡りさんが来るのを待つ!」と、交番の周りでずっと待っていた。

しばらく待つと、ようやく、お巡りさん到着。すっかり子供の体温であったかくなった10円玉を受け取って、拾得物の事務処理をしてくれた上に、落とし主が現われない時にどうなるのか、という説明まで、とても親切に子ども達に説明してくれたそうです。子ども達はみんな、熱心にその説明を聞いていたそうな。

「11月23日になっても、落とし主の人が見つからなかったら、10円はY君のものになるんだって」と、娘は目を輝かせて説明してくれました。「11月になったら、本当にY君のものになるのか、交番にみんなで行って確かめるんだ!」

そんな話を聞きながら、そういえば昔、子どものころ、駅前で500円札を拾って、駅員さんに届けたら、半年くらいして連絡が来て自分のものになった、なんてことがあったなぁ、なんて、懐かしく思い出しちゃいました。あの頃の500円札ってのは、子どもにとってはそれなりに値打ちがあったぞ。今でもそうだと思うけど。今まで拾ったお金で、一番高額だったのは、ある雨の日に、道端で拾った5万円。家に持って帰ったら、お袋が、「私が警察に届けておくから!」と血相を変えて濡れたお札を乾かしていたっけ。どう考えても、あのお札が警察に届けられたとは思えないんだが。

成長と共に、子ども達自身が社会にぶつかっていく機会が増えていく。その過程で、色んなルールを学んでいく。そういうルールを教えてくれる人も、両親だけじゃなく、学校の先生だけじゃなく、通学路で出会う色んな知らない大人達だったりする。お巡りさんの説明を一生懸命に聞いていた娘は、こうやってどんどん新しいことを学んでいくんだなぁ。