知的冒険心

本屋さんに立ち寄ると、新書のコーナーを覗くのが好きです。図書館で先日借りたのは、「脳と神経内科」「龍の棲む日本」、という、共に岩波新書。先日、本屋さんに寄ったら、講談社現代文庫の体裁が大幅に変わっていてびっくりしちゃった。昔の方が好きだったんだけどなぁ。あれじゃユニクロの棚みたいじゃないか。

割と雑学好きなので、面白そうだな、と思った本なら、自然科学でも人文科学でもなんでも手にとってしまいます。以前、stasiさんが紹介されていた、新書マップ、というのも好きで、時々眺めています。ボケ防止にいいんじゃないかな。順調にボケてるから、あんまり役に立ってないか。

「脳と神経内科」も面白かったのですが、知的好奇心、というよりも、知的冒険心を掻き立ててくれる、という意味では、「龍の棲む日本」の方が面白かったです。大鯰絵に連なる、龍に囲まれた日本地図という古地図の形式を通して、中世日本における「国土」の意識がどう発展してきたのか、そこに「龍」がどのように絡むのか、という謎を解き明かした本。自分が当たり前と思っていたもの、当然と思っていたものの背後にある歴史や、事実や、観念を掘り下げ、次々に関連付けて行く感覚。

なかなかそういう本には巡りあえないのですが、時々、おお、と思う本があります。この本を読んで、昔読んだ、「お正月の鏡餅、というのは、ヘビがトグロを巻いている姿を模したもの」という説を展開した本を思い出しました。そういう話が楽しい。ヘビとか龍などが、川、あるいは溶岩の流れる様と重ねられ、かつ、ヘビが、その旺盛な精力から信仰の対象となる過程。個人的には、鏡餅というのは、ヘビのトグロもそうだし、いわゆる「世界樹」の象徴でもあり、さらに言えば男根そのものの省略形、と見ています。そういう、「当たり前のもの」を再構築する視点が面白い。「そうだったのか」「なるほど」の連続する、まさに「知の冒険」。

てなわけで、最近、車で移動するときに、わりと好きで聴いているのが、「放送大学」。これが面白いんです。先日の移動の時には、「ひらがな・カタカナの発生」とか、「日本におけるドイツ文学の受容」なんて講義を聴きながら、トリビア状態で、「へぇ〜」を連発していました。

昔、大学に通ってたときには、時間がたっぷりあったのに、無駄な時間を使ってたなぁ。今になって、ほんとにそう思います。もしこのページを読んでいる現役大学生の方がいらっしゃったら、一言忠告。今のうちに、一杯知的冒険をしておいた方がいいですよ。社会人になっちゃったら、そんな時間も気力もなくなっちゃうんだから。今のうちだけだぞー。