伴奏に負けてるよ

昨夜は、今仕上げの段階に入っている「ワルツの夢」リートを練習。今週末には、一つの作品として仕上げなければなりません。ひーこちゃんにピアノ伴奏をお願いし、例によって女房の厳しい指導のもと、練習しました。

多少気管支炎が悪化していたせいか、先週末の乞食学生の練習の時よりは、フォームを上に持ってくることができたんですが(って、やっぱり本番前には風邪ひかないとだめか?)、でも、それを支えることができないんですね。呼吸が安定しないで、全身を無茶苦茶に動かして息を入れている。「体が波打ってるみたいに見えるよ」との女房の指摘。蔵コンでご一緒したメゾのKさんのアドバイスに従って、壁に身体をぴったりつけて歌ってみる。以前は、どうしてこんな練習をするのか、ということさえ理解できなかったんですが、今はすごく理解できる。その分は進歩しているんでしょうけど、理解できることと、実際にできることは違うんですよねぇ。

以前は、とにかくフォームを安定させることができないから、ヘンな演技や語り口で誤魔化そうとして、余計にフォームが崩れて、歌の体をなさなかった。今回は、とにかくフォームを維持すること、そのためのブレスをどう取るのか、を意識。維持したフォームの中で、母音や子音をどうきちんと鳴らすのか、ということを、女房に指摘してもらいながら、一つ一つ作っていきました。

そうすると、不思議なことに、練習の最後の方で、ふっと、語り口、というか、歌詞の内容が急に腑に落ちた瞬間があったんですね。歌詞の内容から、歌の感情や、気分を考えて、そこから、歌い方をどうするか、というアプローチをしていくのではなくて、フォームと、テンポ感、語感といった、あくまで楽譜に忠実に、非常にテクニカルな部分からしかアプローチしていなかったはずなのに。そういうアプローチを続けていくと、ふっと、「そうか、このフレーズは、こういう気分で歌ってるんだ」というのが、突然納得できた。これはすごく新鮮な感覚でした。

でも、相変わらず、高音域になると、自信のなさもあって、フォームが保てない。なんとも情けない声しか出ません。今週末には仕上げ、とはいえ、まぁそんなに立派な出来にはならないでしょうけど、とにかく、今の自分のできる限りのことをきちんとやれるようにしたいと思います。

しかし、ひーこちゃんの伴奏には驚きました。楽譜をお渡しして数日間でこんなに弾けるなんて、すごいなぁ。同じ曲の伴奏を、別の方にお願いしていたのですが、同じ曲なのに、全然感じが変わるんですね。お二方とも、本当に素晴らしいピアノを弾かれるのですが、同じ曲を同じピアノで弾いても、こんなに違って聞こえるものなんだ、とびっくりしました。

伴奏はいいけど、歌はいただけないねぇ、って言われるだろうなぁ。ま、精一杯頑張ろう。