舞台も終わって

だらーっとしてます。いいなぁ。ゴールデンウィークって。この季節に連休を作った政治家は偉いぞ。
本番ってのはいいなぁ、と思います。というか、本番会場がいいんだよ。何にもない平場に、道具を持ち込んで、仕込んで、明りを入れてやると、何にもなかったはずなのに、そこに一つの空間が出来上がる。この感じ。その空間の中に身をおいただけで、何だかわくわくする。これがいいんだなぁ。
GAG公演の場合、ハコは最大70席。お客様も多くても40名程度ですから、1000人・2000人の舞台の晴れやかさとは全然違う雰囲気があります。みんな身内だし、晴れがましさとか、華やかさとかはないんだけど、それでも舞台はやっぱり異世界です。普段の生活とは全然無縁の時間が流れる。外は昼間なのに、舞台上は夕方。客席でお客様が見ているのに、舞台上は男が一人で暮らしている部屋。その部屋の中で、客席に向かって男が語りかける、でも、その男の目に映っている客席は、全て幻なんです。
そういう虚構の中に身を置く快感というのは、やっぱり、練習会場では得られないものなんですよね。明りや道具がかもし出してくれる空間。そこに、「何が始まるんだろう」というお客様のわくわく感が加わって、独特の不思議な興奮状態が生まれる。それがいいんだなぁ。
どんな形であれ、本番を続けることには意味がある、と、自分なりに思っています。練習をすることは勿論大事なんだけど、練習のための練習になってしまうと、何のための表現か、わからなくなってしまう。本番が気持ちいいから、というだけの理由で本番をやるのも、お客様に対して失礼なこと。だから、どんなに小規模の舞台であっても、本当に誰に見せても恥ずかしくない本番を作り上げるために、きちんと細かい所を詰めていく練習をする。それが、自分の表現を高めていく唯一の手段なんだ、というのが、自分なりの思いです。
一つ舞台が終わりました。最高のスタッフと最高のお客様に囲まれた、至福の時間でした。そして、あほたれな私は、また次の本番のことを考えています。次はきっちりとした歌の舞台を企画中。また小さな手作りステージだけど、それだけに、手抜きは許されません。完成度の高い舞台を作るための、練習がまた始まります。細かい技術を磨き、積み上げていく作業。また、「虚構」の空間の中で、至福の時間を過ごすために。
いいなぁ、舞台って。本当にいいなぁ。