新宿オペレッタ劇場6「ヴェロニク」

さて、昨日は、新宿オペレッタ劇場6「ヴェロニク」を見て参りました!遅くまで打ち上げに同席させていただいたので、昨日は日記はお休み。一晩明けた今も、まだ頭の中で、2幕のフィナーレ曲が鳴り続けています。

まず何よりも、本当にいい曲ばかりの、素敵なオペレッタでした!「ヴェロニク」は、宝塚歌劇団のレパートリーでもあるらしいので、日本初演というわけではないと思うのですが、それでも滅多に聴けるオペレッタではありませんよね。新宿オペレッタ劇場は、いつも、「こんなに素敵な曲があったんだ!」という発見の場なんですが、こうやって全曲上演を聴くと、「こんなにお洒落で美しい旋律に満ちたオペレッタがあったんだ!」と、その感激も倍加です。

実は、ガレリア座で、私がプロデュースさせていただいた舞台「バーデンの夜の夢」と「劇場支配人」というオリジナル・ガラ・オペレッタで、音楽監督のY氏が、「ヴェロニク」からの曲を採用していたので、全然知らない曲ばかり、ということはなかったんですね。それに、家でしょっちゅうウチの女房が合唱の曲を口ずさんでいましたし。(娘も合わせて歌ってました)それでも、やっぱりこうやって舞台で聴くと、本当にきれいな曲ばかりで、わくわくしました。

そして、歌い手のみなさんのバランスがとてもよかったですね。ソリストの皆さんも、それぞれのキャラクターにぴったり合った歌唱・演技・容姿・存在感。中でも、フロレスタンを演じられた星野淳さんは、声の色、曲の構成力とそれを表現しきる技術、容姿の艶っぽさ、演技の確かさ、何をとっても間違いなくステージの中心にいらっしゃいました。
しかし、バリトンのエッチ臭さというのは、テノールのそれと違って、ちょっと粘着質ですよね。昔私がやったことのある「天国と地獄」のジュピターとかも、こういうねっとりしたエッチ臭さが出てこないといけなかったんだよなぁ。同じバリトンとして、是非あの粘っこい色気を表現できるようになりたい!と思いました。

そして、お目当ての嶋崎裕美さん!エレーナ=ヴェロニク、という魅力的なキャラクターを見事に演じてらっしゃいました。もう舞台に登場してきた瞬間から、猫の目のようにくるくると変わる、エレーナというキャラクターそのもの!という感じ。エレーナが、ヴェロニクという別人に成りすます、という筋立てもその通りなのですが、気まぐれだったり、わがままだったり、時に残酷だったり、でも一方で、キュートで魅力的で、時には抱きしめたくなるほどか弱く、不安そうで・・・という、まさに少女そのもの、というような微妙な人物像。それを、嫌味なく、どこまでも自然に演じきってらっしゃいました。最後にティアラをつけてピンクのドレスで現れた時の美しさと言ったら・・・

打ち上げ会場で、コクナール役の伊藤剛さんはじめ、キャストの方々と色んなお話をする機会を持つことができました。皆さん、気さくないい方ばかりで・・・うちの女房も随分可愛がっていただいたようで、本当に楽しい時間を過ごさせていただきました。
大田区民オペラでご一緒したプロの歌手の方々も、本当に皆さん素敵な方ばかり。クラシック歌手、というと、なんだか近寄り難い印象があるかもしれませんけど、私の今までの経験で言うと、素晴らしい歌手の方ほど、お人柄もとても素敵で、全然お高くとまった所のない、魅力的な方ばかりです。これは、以前舞台でご一緒したプロのオケのスタッフの方もおっしゃってましたね。「パフォーマンスの高い人ほど、人間的にもいい人が多い」。そういうお人柄だからこそ、様々な表現や、技術に対して、謙虚に、かつ貪欲に吸収していこうとする、そういう柔軟な姿勢が取れるのかなぁ、と、そんなことを思いました。