府中青少年音楽祭~歌い継いでいくこと~

ちょっと遅くなってしまったのですけど、先週開催された、府中青少年音楽祭の感想を書きます。所属する合唱団麗鳴の一員として参加してきました。

合唱団麗鳴は、府中西高のOBOGが集って結成された、という経緯もあって、府中青少年音楽祭に、高校を卒業して、大人になっても合唱を続けている団体、という位置づけで毎年参加させてもらっています。同じように、府中四中のOBOGが結成している混声合唱団A.D.A(アデア)さんもいらっしゃるんですが、アデアさんと比較してもウチの団体の年寄りぶりが際立つ。アデアさんは、お兄さんお姉さん感があるんだけど、麗鳴あたりは完全に父兄さんと同年代か、それより上なんだよなぁ。

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こんな子供達が主役の音楽祭です。場違い感半端ない。

小中学校の合唱部、というのは本当に不思議で、よく訓練された歌える合唱団には、「中学生なのにここまでがっつり歌えるってすごい」という感動があるし、ベルカント歌唱がそれほど身についていない合唱団の、真っ直ぐな素直な歌声には無条件に心を揺さぶるものがある。結局どの合唱団の演奏にも感動してしまう。

以前にもこの日記で書いたのですけど、府中には、府中四中と府中西高という合唱名門校を中心に、合唱に対して熱心な学校が多いと思います。それが、大國魂神社で毎年開催される「くらやみ祭り」で、楽器を演奏して人前で踊る、という祝祭にあらゆる年齢層の市民が市を挙げて参加している、という土地柄が関係しているのかも、と以前の日記にも書きました。でも、それと合わせて、それぞれの団体の中で、この活動をつなげていこう、歌い継いでいこう、という意思の力のようなものを、今回は強く感じました。

今回、府中四中と府中西高でずっと合唱を続けていた、というお嬢さんが、麗鳴の演奏に参加してくださったのだけど、彼女は府中四中で後輩を指導しているんですね。府中西高の合唱部、というのも、OBOGの方々が、なんとか部のレベルを維持していこう、ということで、既に定年退職された櫛田豊先生が非常勤職員として指揮を続けてらっしゃる。多分そういう、先輩たちや周囲のスタッフの方たちの、伝統をつないでいきたい、という想いって、現役の学生さんたちもしっかり受け止めてるんじゃないかな、と思うんですよね。プレッシャーと言うマイナス面ももちろんあるとは思うけど、でも活動を続けて、演奏の質を上げていこうとする、一つの大きなモチベーションになっているとは思います。

学校卒業後に合唱をやめてしまう人が結構多い、というのは、そういう、「先輩から引き継いだものを歌い継がないと」という責任感やモチベーションが失われてしまって、個人で歌に向き合った時に、ある意味解放感のようなものがあって、「もういいや」と思ってしまう、というのも大きな要因の一つかもしれない、と思います。なんとか卒業後も合唱を続けてほしいな、という思いもあって、今回の演奏では、子供達に向かって、大人になってもこんなに歌を楽しめるんだよ、ということを一番に伝えたい、と思って練習してきました。演奏したのは、田中達也編曲の「情熱大陸」と、横山潤子作曲の「未確認飛行物体」。子供達もよく知っている曲だし、そういう曲を大人たちが、真剣に、でも楽しそうに歌っている姿を見せることで、やっぱり合唱っていいなぁ、続けたいなぁ、と思ってくれたら。

本番はそういう思いもあって、色々傷もありましたが、楽しいステージをお見せすることができたかも、と思います。参加していた子供たちが卒業した後、麗鳴に来てくれたら嬉しいなぁ。父兄さんでも大歓迎なんだけど。(結局団員募集が目的かよ)