宣伝かねて、今度の演奏会の曲目についてご紹介

ガレリア座の本番も終わったばかりだというのに、今度の28日の土曜日には、合唱団麗鳴の演奏会があります。以前からこの日記でも折に触れ書いてきましたが、宣伝かねて、今回のステージ曲の中でもお気に入りの曲をいくつかここでご紹介したいと思います。
 
・世界の約束

今回、東京混声合唱団愛唱曲集(若林千春 編曲)という曲集を取り上げるのですが、その中の5曲のうち3曲までがジブリ映画の曲。さすがジブリ、という感じなんだけど、その中でも、この「世界の約束」が味わい深くて好きです。ボーカリーズとピアノでドラマティックに展開する間奏部を経て、ソロから8部合唱に音楽が広がり、そこから静謐な祈りに終息していく、全体のダイナミックな構成が好き。この曲集の曲はどれも耳になじんだ有名な曲ばかりなんだけど、若林千春先生の編曲は、どれも意地悪なぐらいに難しくて、どれも合唱曲らしい幅広い表現に満ちています。何気なく気楽に聞けるけど、所々で「おおっ」と思わせる箇所がある、やりがいと手ごたえのある曲集。
 
・海神

今回、大学合唱団以来の再会になった「ティオの夜の旅」。終曲の「ティオの夜の旅」の疾走感はもちろん大好きなんだけど、どの曲が一番好きか、と聞かれたら、「海神」、と答えるかも、と思います。池澤さんらしい論理的でドライな歌詞(最初に問題が提示されて、色んな論証があって、最後に結論が延べられる、まるで研究論文みたいな歌詞)が、木下牧子先生の美しいメロディに乗ってどこかロマンティックに語られる、そのミスマッチが好き。特に途中のソプラノソロで、「鳥の小さな目が 上から海を見下ろしてはいても・・・」というメロディが流れてくると、なんだか体中がふわっと風に乗ったような、不思議な浮遊感でうっとりしてしまう。
 
・たったひとつの

カワイ出版がやっている、「歌おうNIPPON」プロジェクトからの曲と、Nコン課題曲からの数曲を入り混ぜたステージがあるのですが、どの曲も非常にメッセージ性が強く、歌う側は相当エネルギーを消耗します。「アンパンマンのマーチ」も歌うんですが、たぶんお客様はすごくリラックスして聞いてくれると思うんだけど、歌詞は結構強烈なメッセージソング。しっかりそのメッセージを届けようと思うとかなり疲れる。Nコン課題曲からは「手紙」と「YELL」ですよ。これは疲れます。いい曲だし、編曲も素晴らしいんだけど、47歳のおじさんに中学生のメッセージソングは疲れるぜ。それに意外と編曲も難しいんだよな〜。

そういう疲れるメッセージソングの中で、一番好きなのが、「たったひとつの」。これも木下牧子先生の曲なんだけど、木下牧子先生っていうのは本当に天才なんだなー、というのを実感。変拍子も転調もなく、ハ長調の本当に平易な楽譜なのに、メロディとハーモニーがどこまでも豊かに広がっていく、その豊饒さ。能祖将夫さんのロマンティックな歌詞と相まって、極めて個人的な体験が宇宙にまでつながっていく世界の広がりが素晴らしい。今回の演奏会で間違いなく一番好きな曲です。
 
・前へ

同じく「歌おうNIPPON」プロジェクトの中で、佐藤賢太郎(Ken-P)さんの曲を2曲取り上げます。中館先生に言わせると、「Ken-Pを日本に本格的に紹介したのは麗鳴だ」そうで(団員の一部からは疑問の声もあるようだが)、実際、麗鳴の透明感のある声質とKen-Pのサウンドっていうのは相性がいい気がします。その2曲の中でも、「前へ」という曲は、今回の震災で失われてしまった命や、夢や、思い出に対する限りない哀悼の思いと、その思いを胸に一歩一歩前へ進んでいこうとする残された人の思いにあふれていて、大好きな曲。大好きな曲なんだけど、あんまり思いがあふれすぎて、どうしても途中で声が詰まって歌えなくなってしまう。歌う側が泣いちゃって歌が届かなかったら意味がないので、とにかく自分だけ感極まってしまわないように、冷静に、曲のメッセージを客席に届けるように歌えれば、と思っています。
 
紹介した曲以外にも、素敵な曲が目白押しの麗鳴の演奏会は、7月28日(土)、府中の森芸術劇場 ウィーンホールで、13:30開場、14:00開演です。入場無料ですので、お時間のある方は是非府中まで足を運んでくださいね!


ちらしでーす。