麻生真彩さんが歌手を目指すために必要なことは

2018年度のさくら学院も残りわずかで、先日のラストのオールスタンディングライブで中3三人の進路発表があり、三人とも厳しい道ながらパフォーマーとしての道を進む、との発表。正直、少し前から、三人ともしっかり将来を見据えた発言が多かった事もあり、予想通りの発表ではあったのだけど、一番推しの麻生さんが歌手を目指す、というのが、一番推しだけに一番心配。そもそもここまでさくら学院にハマってしまった一因が、麻生さんのパワフルな歌声なので、本当に嬉しい反面、その道筋が厳しいことも分かっているから、すごく心配にもなる。末恐ろしい逸材と言われた武藤彩未さんですら、地道なステージ活動をまだ積み上げている最中で、いきなり脚光を浴びることはまず望めない世界。だからこそ逆に、麻生さんにはじっくり地力を蓄えてほしいと思うし、厳しい言い方をすれば、麻生真彩はまだまだ発展途上だと思う。その伸びしろを充分伸ばすために、麻生さんに必要なことは何か、素人のくせに本当に偉そうな文章で申し訳ないのだけど、ちょっと思ったことを書き留めておきたいと思います。もし万が一、麻生さんご自身がこの駄文を見ることがあったとしても、全然無視してもらって結構で、それくらい素人の戯言です。

 

技術的なポイントをまず言えば、麻生真彩さんの歌唱の最大の弱点は、音程が安定しないことだと思う。これさえ克服できたら、麻生さんの歌唱はどこに出しても恥ずかしくないものになる。音程がハマっている時の声の伸びと、上手くハメ切れていない時の声の伸びが全然違う。音程を安定させるのは、がっちりした下半身に支えられたブレスコントロールなので、さくら学院を卒業した後も、歌うための身体作りをしっかり研究して、地道に鍛え続けてほしい。下半身が安定して、いいポジションをフレーズの流れの中で安定してキープすることができたら、必ず音程はよくなる。これは、クラシック歌手も含めた全ての歌い手が一生苦しみ続ける課題だから、逆に言えば色んな解決方法やトレーニング方法があるはず。

 

気持ちの問題で言えば、自分の耳に入ってくる声を信じないこと。録音した自分の声を聞いたら、まるで別人のようでびっくりすると思うけど、それくらい、歌っている時に自分の耳に入ってくる声と、人の耳に届く自分の声は違う。要するに、自分の判断や評価だけに頼ってちゃダメだよ、ということで、歌ほど、トレーナーさんや周りの意見をしっかり聴くことが大事なパフォーマンスもないと思う。レッスンの時に自分の声を録音して、いい感じの声が出ている時の身体のポジションや言葉のさばき方を愚直に覚えていくとか、そういう客観的な視線で自己分析を重ねる地道な努力を続けないと歌は上達しないし、麻生さんはさくら学院の日々の中で、人の意見をきちんと聞くことや、その中で自分なりに納得できる答えを見つけていくことの大切さをがっちり学んでいるはず。

 

と、こう書いているのは、実は歌を学んでいる自分自身にまさに当てはまることばかりなんだよね。私も、歌を学んでいて、しょっちゅう、今の声は違う、今の身体の使い方はなってない、音程が悪い、と怒られてばかり。そしてそういう外からの意見に対して、なかなか素直になれない自分もいる。オレの耳にはちゃんと上手に聞こえてるのに、何がいけないっていうんだ、と逆ギレすることもよくある。でも、人の意見に耳を傾けながら、その中で、自分の納得できる自分自身のあるべき姿を見つけていくことを重ねていかないと、いい歌は歌えないんだよね。麻生さんに言ってるのか、自分に言い聞かせてるのか分からなくなってきたけど。

 

あと、麻生さんには、田野アサミさんが2017年度の卒業生に言っていた、「他人と自分を比べない」という言葉も送りたい気がする。他の卒業生や同世代の歌い手と比べられることも多いだろうし、負けん気の強い麻生さんは、他人の様子が気になってしまう時期もあるかもしれないけど、歌は他人と競い合うものじゃないから。自分の中からしか出てこないものだから。他人を押しのけて自分を押し出そうとする歌は、なんとなく押し付けがましくなってしまって、人の心に響かなくなるものだから。

 

2018年度のさくら学院のエースは間違いなく麻生真彩だったと思う。新谷ゆづみさんや日高麻鈴さんという素晴らしい仲間に支えられたおかげで、歌もダンスもバラエティも、麻生さんの表現の幅は一年前より段違いにスケールアップしているのは間違いない。でもまだまだ上に行ける。さくら学院で学んだ、周りの声に謙虚に耳を傾けながら、自分に足りないものを貪欲に克服していこうと足掻き続ける姿勢を忘れなければ、そしてただひたすらに歌が好き、という純粋な気持ちさえ忘れなければ、きっとあなたの歌声は聞く人の心を変える力になると思う。麻生さん、いい歌い手になってください。あなたならきっとなれるから。