さくら学院2019年度転入式〜やっぱり沼から抜け出せないよお〜

本日、文京シビックホールで開催された、さくら学院2019年度転入式に参戦してきました。正直、一番推しだった麻生真彩さんの卒業で、今後どうフォローしていこうかな、と迷いもあったんですが、そういう迷いを一気に吹き飛ばす、クオリティも密度もものすごく濃い舞台でした。今日はたっぷりとその感想を。ライブビューイング参戦の方はネタバレだらけなので、閲覧注意です。


冒頭の中3ズ4人の場内MCで、この4人のバランスの良さというか、いい意味でも悪い意味でもソツのなさのようなものが見えて、これがどんな風に変化していくのかな、という不安も混じった期待感が高まる。そのMCの中で森さんがちょっと原稿を間違えてしまったのが、今から思えば、後半の伏線だったのか、と思ってしまうあたり、2019年度のRoad toのドラマを盛り上げようと思ってしまう父兄の悪い癖かもしれん。


9人体制でのschool days、ベリシュビッツと、相変わらずの完璧なフォーメーションダンスなのだけど、圧倒的な声量や表現力のあった麻生真彩さんと日髙麻鈴さんが抜けて、下級生の声が出てきた結果として、全体の声のバランスが逆に平準化されて聞きやすくなった印象。歌としての説得力は落ちてるかもしれないんだけど、アンサンブルとしての完成度はとても高い。その中でも、八木美樹さんが本当にガツンとした声が出ていて驚く。田中美空さん、野中ここなさんのダンスの表現力と弾けっぷりが去年とは全然違っていて、こういう成長ってのはライブを見続けていないと分からないんだよなぁ、と改めて思う。


そういう、沼から出られない感を強くしたのが転入生3人。いや凄いです。去年の3人、特に野中ここなさんと白鳥沙南さんは、原石感が結構強かったと思うのだけど、今回の3人は相当高いレベルで仕上がっている感がある。恐ろしいのは、既に相当のパフォーマンス能力を備えているのに、さらに伸びしろを感じさせてくれるところ。その中でも、戸高美湖さんのダンスのキレの良さ、表情の豊かさ、ソロパートの声の伸びに釘付け。さすがASHで、鞘師里保さん以来の逸材かも、と注目されていただけのことはある。男前キャラの感じも素晴らしい。佐藤愛桜さんのピュアなお嬢様感と人を惹きつけずにはおかない明るく美しい笑顔、Perfume の「let me know」のMVに出た時から転入を切望されていた木村咲愛さんの、昨年の野崎結夢さんを彷彿とさせるプロ感と躍動感も素敵で、今年もすごい転入生が入ってきたぞ、とワクワク。


そして、生徒会人事ですよ。今回の生徒会人事は、正直言えば、若干職員室が日和った感がないわけじゃないと思う。藤平華乃さんははっきり言ってパフォーマンス委員長以外は生徒会長しかできないカリスマで、これを生徒会長に据えた時に、実質的にステージのプロデュースや仕切りをやらせるとすれば森萌々穂さんがベスト。ここで森さんにプロデュース委員長、有友さんにトーク委員長、という選択肢もあったんじゃないかと思う。そこで、森さんにトーク委員長、有友緒心さんと吉田爽葉香さんに、はみ出せ委員長と顔笑れ委員長を振るあたり、森さんがプロデュース委員長として全てを引っ張ってしまって、有友さんがそれに従う、という構図よりも、有友さんと吉田さんには自由にできるポジションを与えて、森さんには少し足りないトークの技術をもっと磨いて欲しい、という職員室の意図が見える。それは分かるのだけど、そりゃあ、森さんは納得しないよねぇ。


森さんはとにかく自己プロデュース能力が高い、と言われるけど、それって、自分の出来ること、出来ないことをしっかり見据えた上で、そこで自分が一番輝ける手段は何か、立場は何か、ということをしっかり見つけられる能力の高さなんだよね。そこで森さんの1つのロールモデルになっているのが、1つ上の学年の3人である、というのは多分言い過ぎじゃないと思う。日髙麻鈴さんの圧倒的な歌唱力や表現力には敵わない。麻生真彩さんの弾ける歌唱力やトークスキルには敵わない。新谷ゆづみさんの演技力には敵わない。そういうすごい先輩たちへのリスペクトがあるから、そういう先輩たちとは違う土俵で勝負するのがいい、と思うのは当然。


そこでさらに、プライドの高い森さんは、「でも一番になりたい」って思っちゃうんだろうなって思うんですよ。さくら学院の歴史の中で、「最高の××委員長だった」と言われたい。でも、トーク委員長で麻生真彩さんを超えるのなんか無理だ、と、森さんは思っちゃうんだと思うんです。自分の能力への自信のなさとプライドの高さのせめぎ合い。そこで、「どうして私をプロデュース委員長にしてくれなかったんですか」と倉本校長に涙ながらに詰め寄ってしまう「森の乱」が勃発したわけで。


森さんの気持ちはものすごくよく分かる気がする。でもね、森さん。トーク委員長にランク付けなんか出来やしないよ。麻生さんは確かに歴代トーク委員長の中でも傑出したトーク力の持ち主だった。でも、1つの公演をがっつりプロデュースする力とトーク力を合わせ持ったトーク委員長なんか今までいなかったと思うよ。森さんは、自分のトーク力を磨くことも必要かもしれないけど、誰にどう喋らせたら流れがよくなるか、全体の流れやシナリオを作り上げるトーク委員長になれる人だと思う。新谷ゆづみさんに言われたじゃない。「もっと人を頼っていいんだよ」って。もっと人に喋らせればいいんだよ。吉田さんも、有友さんも、藤平さんも、野中さんも、白鳥さんも、森さんが「喋らせてくれる」のを待ってる。それぞれが一番輝く言葉や場所を与えてあげられる、森さんにはそれだけの力があるんだから。


でもね、森さんがプロデュース委員長になりたかったもう一つの理由が、ひょっとしたら、森さんが憧れているBABYMETALの水野由結さんが務めた役職だから、というのがあったとしたら、本当に切ないなぁ、と思うんだ。中元すず香さんに憧れて、すぅさんと同じ生徒会長になる、という夢が破れた麻生真彩さんと同じ構図が、今年も繰り返された感じがしてさ。水野さん以降、2代目プロデュース委員長は現れていない、そこで自分がプロデュース委員長になれたら、どれだけ誇らしい気持ちになれるか。森さんが、倉本校長に、「プロデュース委員長って思っていいんですね!?」と詰め寄った切迫感の中に、ゆいちゃんの存在があったとしたら、森さんの涙は、昨年の麻生さんの涙と同じくらい、8年間のさくら学院の歴史が生んだ重い涙だよなぁって思う。そういうことを知らないデイリースポーツあたりが、「未練タラタラ」なんて書いてるけど、森さん、無視していいからね。分かってる人はちゃんと分かってるから。


もう少し、分かったようなことを言わせてもらうと、森さんの涙、という今回の転入式のドラマそのものが、プロデュース委員長、森萌々穂さんの初仕事だった、といううがった見方も出来なくない。あの森さんの涙がなかったら、今回の生徒会人事は、ある意味、無風、収まるべきところに収まってよかったね、というシャンシャン人事で終わっていた可能性が高い。ここで森さんが胸の内をぶちまけたからこそ、今回の転入式は父兄さんの心にガツンと響いたのだし、森萌々穂さん推しは一気に増えたと思います。そこまで計算していなかったとしても、この空気なら言ってもいいだろう、くらい、空気を読んだ上での発言だったと思う。姫はね、それくらい出来る人です。だからこそ、今年は森さんの成長を見届けたいし、そして何より、戸高美湖さんがどこまで化けるか。本当に楽しみが尽きない。いやー当分この沼から抜け出せそうにないですよ。マジで。