BABYMETAL World Tour 神戸参戦記

BABYMETALのWorld Tour、神戸の二日間公演に参戦してきました。家族にはアホと言われ、女房の大事な舞台も見ずに、朝も早くから新幹線で神戸入り。物販に並び、しんしんと冷えてくる夕刻のポートピアホテル広場で震えながら、モッシュピットで熱くなり、二日目は三宮の駅近辺で映画を見たりして時間をつぶし、再びモッシュピットで燃え上がり、帰りは深夜バス。三宮駅近辺では多数のメイトさんが分かりやすいベビメタTシャツでうろうろしており、同じホテルにもメイトの方々が宿泊していて、エレベーターの中で、「明日も頑張りましょう」なんて声をかけあったり、深夜バスの待合室にもベビメタパーカーなど多数。馬鹿ですね。はい。

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新幹線車内で食べる朝ご飯を、品川駅構内のコンビニで買ったら、合計金額が444円。これを見ただけで泣けてくるところがもう重症。もうBLACKMETALの「4の歌」は聞けないんだなぁ。物販の列でも、広場でも、やっぱり話題はYUIMETALの脱退と、今後の展開。古参のメイトさんが、「もし誰か新しいメンバーが参加するとしても、やっぱり由結ちゃんの場所は空けておいてほしいなぁ」とおっしゃっていて、みんな同じ思いだなぁ、と思った。

コンサート自体はとにかく無茶苦茶盛り上がって、前半のSABATONのパフォーマンスから、会場の温度がどんどん上がってくる。このSABATONが、ただでさえ男臭いメタルの世界の中でも、歴史に残る世界の戦いと、それに命を賭けた男たちの物語を歌いあげるWAR METALと言われるむっちゃ男性的なメタルなんだね。題材には、第二次大戦からローマ時代の戦争、彼らの出身地であるスウェーデンの戦争から、西南戦争の最後の戦いである城山の戦いまで出てくる。金属的な高音をカンカン響かせるメタルヴォーカルが多い中で、SABATONのヴォーカルのヨアキム・ブローデンさんは、バリトン系の男臭いヴォーカルで、メタルなのに多分私でも十分歌える音域。その男性的なMETALが、後半のBABYMETALとの対比になっていて、そういう意図なんだなぁ、と思った。

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BABYMETALのパフォーマンスについては、多分色んな人が色んなレポートをしていると思うけど、World Tourのプロセスで次第に構築されてきたCHOZON SEVENの全容ががっつり完成した達成感があった。あえて個性を殺したようなメイクのマッスル・シスターズのパフォーマンスにも、紅月のガチバトルパフォーマンスや、キレッキレのソロダンスなど、しっかり見せ場が用意されていたし、フォーメーションも、これがMIKIKO先生がやりたかったことか、というのがとても明確になった気がした。それが頂点に達したのが、新曲STARLIGHT。会場の天井をさらに突き抜けて天空を突き通していくようなSUMETALの高音。そして光とダンサーたちが作り上げるファンタジックな舞台。ものすごい高揚感。

どうも私の耳が悪いのか、1日目はバックの音響のピッチが合わない感覚があって、これは去年の巨大キツネ祭りの1日目にも感じた違和感だったのだけど、そんな中でも、SUMETALのピッチが全く揺るがない。イアモニを使っているとはいえ、自分自身の声と音程に対する鉄壁の自信。2日目にはバックとの違和感も消えて、純粋にSUMETALの声の貫通力を楽しむことができました。このSUMETALの声を浴びることができただけで、このツアーに参戦してよかった。

今後の展開、という点で言えば、SUMETALの絶対的な声を柱としたファンタジー世界を作り上げていく中で、CHOZEN SEVENというのはやはり一つのプロセスに過ぎない、とも思いました。CHOZEN SEVENの中では、やはりMOAMETALの存在感が薄れてしまう、というのもそうだし、YUIMETALとMOAMETALのBLACKMETALの楽曲と、SUMETALのソロ曲を交えることによって、三人の負荷を分散させていたコンサートの構成が保てない、という問題も感じた。実際、今回はSUMETETALメインボーカルの曲がノンストップでガンガン連続して、すぅさん大丈夫か、と心配になる。もちろん、そんな心配を吹き飛ばすパワーだったんだけど、二日目のラストのTHE ONEで少しすぅさんの声がかすれる瞬間があって、やっぱりかなり無理しているのかも、と思ってしまいました。そもそも、SABATONとBABYMETALのダブルキャスト、という構成自体、この体制ではワンマンライブは厳しい、という運営側の判断だったのかも、と思ったりします。

両日のラストに歌われたTHE ONE、二日目のすぅさんの歌唱を聞いていて、突然、「You are the one, forever, you are only one」という歌詞が、逝ってしまった藤岡幹大さんやYUIMETALへの歌いかけに聞こえてしまって、なんだか涙が止まらなくなる。このあと、BABYMETALがどんな挑戦をしていくのか、そこにどんなピースが加わっていくのか、それが楽しみではあるけれど、LEGEND Sから始まったBABYMETALの新章が、間違いなくかつてのBABYMETALを葬ったんだな、という感慨もありました。中元すず香さんと菊池最愛さんが、今後どんな道を切り拓いていくのか、これからもずっと見守っていきたいと思いながら、やっぱりオレにとってのBABYMETALは、三姫だったなぁ、と、なんだか胸アツで深夜バスに揺られる53歳であった。ゆいちゃん、本当にありがとう。

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会場の隣にある神戸ポートピアホテルの窓に、一日目はYUIの文字があって、みんなで写真を撮ってました。分かりにくいけど、この写真の下の方にあります。二日目にはこの窓には、ONEの文字がありました。この部屋に泊まったメイトさん、みんなも同じ気持ちだよ。