会合を終えて、お昼を近所のレストランで食べる。パリは何を食べてもおいしいと言われますけど、見つけたレストランもいい感じでした。まずはオードブル。トーストの上に焼いたチーズを乗せたもの。カマンベールチーズを焼くとこんなにコクが出るんだね。
美味しそうでしょ?
メインディッシュは鳥をいただきました。羽根の部分か足の部分か選ぶことができます。
スパイスが繊細なんだよね。
日本のレストランでふつうに出るお料理っていうのは世界一おいしいと思うのだけど、パリもやっぱり食の街です。〆のデザートはアップルタルトにアイスクリームを乗せたもの。これもおいしかった。
アイスの下のタルトがいい感じ。
この後に行ったロンドンでは、噂通り(汗)そんなにおいしいものが出てこなかっただけに、パリで食べたものはホテルの普通のコンチネンタルブレックファストでさえおいしく感じました。仕事はしんどくても、食べるものがおいしいと心が折れないよね。
パリでの仕事を終えて、ロンドンへ移動する飛行機の出発までの間、午後の数時間を再び街歩きに使うことができました。またメトロに乗ってすぐのところにある、Invalid(アンヴァリッド)という場所に行く。もともとは、ルイ14世が17世紀後半に立てた、傷病兵のための病院なんだって。廃兵院、という日本語の訳語はなんだかおどろおどろしいけれど、そんな陰湿な感じはみじんもなく、近辺は広々とした緑地帯になっていて、とても開放感のある立派な建物&公園です。この病院の建物に、「軍事博物館」という歴史的な兵器や戦闘に関する資料を集めた博物館があり、南側にはナポレオン一世の棺を納めたドーム教会があります。
天気も回復してきて、気持ちよかったです。ワシントンDCのワシントン記念塔のある公園みたいな感じ。
緑地帯は市民の憩いの場になっているらしく、このストーンヘンジは全部ビニールでできていて、中央がトランポリンみたいな遊具になっていました。子供たちが跳ね回って遊んでいます。その向こうに見える建物が、目的地の「軍事博物館」
正面玄関です。
正面を守るように大砲が並ぶ。
エッフェル塔と大砲。館内の至るところに大砲が飾ってある。
屋根の飾りも兵隊さんの形です。
館内はいくつかのパートに分かれていて、古代から第二次大戦までの様々な兵器や、名高い戦闘の様子が、使用された武器、映像、絵画などの豊富な資料で解説されています。ルイ14世からナポレオン時代、第一次大戦・第二次大戦関連の展示などが充実。
鎧とか槍とかいっぱいある。
展示の中でもナポレオン一世関連の資料は非常に詳細。ナポレオンが今でもフランスの大英雄として尊敬されていることを感じます。博物館の裏には「ドーム教会」という教会があり、ここにはナポレオンご当人の遺骸を収めた墓があります。セント・ヘレナ島からわざわざ遺体を発掘して、ここに祀ったものだそうです。
ドーム教会の祭壇。壮麗の一言ですね。この祭壇の下に階段があり、ナポレオンの墓に通じています。
祭壇の裏にある墓の入り口。怖い顔したおじさんの像が二人、入り口を守っている。
入り口の前の床には、ナポレオンの「N」の文字が。
そして棺。でっかい。
パリ、というと、ガレリア座でオッフェンバックの作品になじみのある私としては、オッフェンバックのオペレッタの影の主役であるナポレオン三世にどうしても興味を持ってしまう。そしてもちろん、ナポレオン三世関連の展示もありました。
僕らには結構お馴染みのナポレオン三世。
オッフェンバックのオペレッタで笑いものにされる、権威を振りかざした神様や英雄(「天国と地獄」のジュピター、「美しきエレーヌ」のアガメムノンなど)は、ほとんどナポレオン三世そのもの、と言われます。でもご本人はそんなオッフェンバックのオペレッタの大ファンだった、というから、どこまで自分のことが分かっていた人だったのか。文化の爛熟を生むだけの余裕と平和の保たれた充実した時代を作り上げた政治家であるにも関わらず、偉大な叔父さんに比べると扱いはすごく小さい。入館の時に日本語解説が聞ける情報端末を借りたのですが、ナポレオン三世に関する解説はほんの2分程度で終わってしまいました。どこまでも残念な人だ。
ナポレオン三世時代の騎兵さんのマネキン。ガレリア座の衣装部の参考になるかな。
館内から出てきてみれば、すっかり天気も回復し、気持ち良いパリの街並みが一望できました。
パリの街は東京と同じで、凱旋門を中心に放射線状に伸びた細い道がクモの巣のように絡み合って、決してわかりやすい街だとは思いません。でも、高いビルがなく、古い街並みを大事に守った通りは歩いてきてとても心地よいし、街の中心街であっても、そこに生活している人の匂いがする。住みやすい街、人にやさしい街という感じがします。もちろん、実際に住んだわけじゃないので、本当に生活するとなればいろいろあるんだろうけどね。1日だけの短い滞在だったのですが、また来てみたい、そんな気持ちになる街でした。
次回、ロンドン編に続きます。