Japan day〜猥雑であることって大事かも〜

考えてみると、日本ってもともと非常に節操のない国ですよね。クリスマスとお正月とお盆が大きなイベントになっている、という宗教的な節操のなさもそうだけど、中国をお手本にしながら漢字を勝手にひらがなカタカナに変えてごちゃまぜにして使ったり、南方の海洋文化と大陸文化がごちゃまぜになっていたり、戦後は節操無く米国文化を貪欲に取り入れ、コピーじゃないかとののしられながらもあっという間に自分のものにしてしまった。

もともとアジアにはそういう節操のなさみたいなのがある気がしていて、中国にせよ韓国にせよ、いいものはなんでも真似しちゃえ、なんでもとりこんじゃえ、という貪欲さが強み、という気がしています。その結果、中国は世界に誇る違法コピー天国に成長したわけですが。

なんでそんなことを考えたか、というと、今日(6月6日)、セントラルパークで開催された「Japan Day」というイベントを覗いてきたから。2007年から始まったというこのイベント、今年は、1860年にニューヨークに遣米使節団が初めてやってきてから150年、とのことで、特に盛大に開催されたようです。武者行列から、盆踊り、ヨーヨー釣りだのおみこしだの、日本のお祭りにおなじみの出し物が並び、讃岐うどんとか草加せんべいなんかも無料で配られている。着物の体験コーナーとか、キティちゃんと写真を撮るコーナーとか、長蛇の列。



こんな感じです。

折り紙コーナーとか、オリジナルうちわを作ってみよう、とか、ロボット相撲のコーナーなど、実に日本っぽいアイテムが並んでいるのだけど、面白いなぁ、と思ったのは、そういう日本的なものが、すべてどこかしらアメリカナイズされていること。ハート型のうちわがあったり、着物を着ている外人さんの着こなしもなんだかバスローブみたいに見えるし、歌舞伎の隈どりを体験してみよう、なんていうコーナーは、完全にフェイスプリンティングの一種、みたいな感じ。無料で供されている食べ物も、なぜか中華風焼きそばとか餃子が入っていたり、「日本のお茶」ということで配られているお茶は、マンゴー風味のウーロン茶。日本じゃないじゃん。

これはステージ。

ステージで繰り広げられる忍者ショーではブレイク・ダンスが入り、盆踊りのコーナーでは「ニューヨーク音頭」というのが披露されて、「ビッグアップルちゃちゃちゃのちゃ」なんて歌ってる。なんとも怪しい感じなんだけど、妙に面白い。日本人の来場者ももちろん多いのだけど、結構米国人の来場者が多いのに驚く。いるかなーと思ったらやっぱりいたのが、アニメコスプレの連中。これも米国人が多いです。

見知らぬ米国人が「ちょっと聞いてもいいかい?」と言ってきて、どうしたのか、と思えば、「オレは日本にビジネスで二回くらい行ったことがあるんだけどさ。このJapan Dayってのは、日本にもある祝日なのかい?聞いたことがないんだけど」と聞いてくる。「ニューヨークにしかないよ」と答えながら、なんだか面白いなぁ、と思いました。

日本文化が、米国において、エキゾチシズムの非常に洗練された一つの完成形として尊敬され、受け入れられている、というのはとてもありがたいのだけど、その受容の仕方というのは実に自由です。この自由さ、猥雑さ、というのが、米国という国をここまで成長させているのじゃないかな、という気がちょっとした。結局、日本にせよ中国にせよ、そういう猥雑なアジアすらごっぶり飲み込んでしまう米国、という国の懐の深さ・・・みたいな感想。

もともと、日本という国も、中国文化を受け入れ、帰化人の技術を貪欲に取り込む自由さ、懐の深さみたいなものを持っていたと思うんですよね。なんだか国籍不明の得体のしれないものかもしれないけど、昭和30年代の日活アクション映画なんかも妙に面白かったりするしなぁ。そういう活力というか、受容力みたいなのって、すごく大事なのかもしれないよね。