リチャード・バックマン「レギュレイターズ」

スティーブン・キングが、別名であるリチャード・バックマン名義で書いたB級ホラー小説。少し前にこの日記に書いた、スティーブン・キング名義の「デスペレーション」と鏡をなす小説。キングがすげぇなぁ、と思うのは、ホラー小説なのに、思わずラストシーンで涙が出そうになること。この「レギュレイターズ」も、思いっきりB級のスプラッタホラー小説なのに、ラストシーンで思わずうるうるしてしまう。そして、「デスペレーション」との合わせ鏡の物語の中で語られるのは、子供の中にある神的なるものと、悪魔的なるもの。その合わせ鏡の中で、「善悪を越えたものを語り続ける」ことを宣言する作家の姿が、B級スプラッタなのに思わず感動を誘ってしまう。

ジョージ・A・ロメロが撮った「Living Dead」のシリーズが、思いっきりB級スプラッタでありながら、熱狂的・カルト的人気を博したのは、やはりその底流に、どっしりした世界観・哲学があったから。ひたすらに怖いジャパニーズホラーの不気味さもいいですけど、こういう哲学ホラーもいいです。