大田文化の森合唱団演奏会〜男声を確保すること〜

22日からお休みをいただいて、4連休、相変わらずじたばたばたばたと過ごしました。インプットを並べてみると…

リチャード・バックマン「レギュレイターズ」を読了。哲学ホラー小説。
山本周五郎「五瓣の椿」を読了。一種のアンファン・テリブルの話だな。
・大田文化の森合唱団の演奏会を舞台監督としてお手伝い。
・家族3人でクリスマスパーティー。イブが休日ってのはいいやね。
ガレリア座の年内最終練習。一気に通し。全貌が見えてきた。これは面白い話だけど、面白くするのはすごく大変。
・フィギア・スケートの全日本選手権を見る。これは幸せな競技だねぇ。

今日は、大田文化の森合唱団の演奏会の話を。
 
昨年の演奏会を舞台監督としてお手伝いしたご縁で、今年も呼んでいただいたのです。今年は昨年よりも会場も広いし、小編成とはいえ、オーケストラ伴奏。オケ伴の演奏会の舞台監督を単独でやるのは、実は今回が初めてだったんですね。以前、TCF合唱団の「カルミナ・ブラーナ」のステマネをやったことがあったけど、あの時は東フィルのプロのステマネさんがいて、合唱団側の補佐、という形でお手伝いしたんです。オケもまるごと面倒を見る、という形での舞台監督は初めて。そういう意味でも、いろいろと勉強させてもらったり、新しいノウハウを身に着けることができました。声をかけてくださった大田文化の森の皆様、本当にありがとうございました。

演奏会は、信長貴富編曲の「美空ひばりメドレー」と、源田俊一郎編曲の「故郷の四季」から抜粋、という第一部と、オケと大田オペラ合唱団の助演者も加わっての、ヴィヴァルディ「グローリア」とメサイアからの抜粋、という第二部の、二部構成でした。美空ひばりの曲もそうだし、ヴィヴァルディ・メサイアと、割と反射神経のよさが問われる曲。かなりご高齢の方も多い合唱団なんですが、年齢を感じさせない情熱と勢いで、素敵な演奏会に仕上がりました。舞台監督としては、例によって、色々と不手際も沢山あり、ご迷惑もかけたんですが、なんとか大きなミスもなくこなせたかな、という感じです。

打ち上げの席にもお邪魔して話を伺っていたのですが、この合唱団、男声の確保に相当苦労されているそうです。実際、男女比率が1:7くらいじゃないかなぁ。人数の割に、男性にしっかりした声の方がいらっしゃって頑張ってはいるのですが、それでもバランス的には相当厳しい。なんとか男声を確保するために、平日の夜の練習時間の開始時間を、少し遅らせようか、とか、色々と対策を考えてらっしゃるそうです。平日の夜、仕事帰りの男性が立ち寄るサークルとしては、18時に練習開始、というのは厳しい。かといって、19時開始だと、終了時間が遅くなって帰宅がおぼつかない。そういう悩みを抱えている合唱団は多いと思うんだよねぇ。

特に大学合唱団など、若年層の合唱人口が減ってきていますから、ある意味、今後の日本社会が向かう「高齢化」の波が、一足先にどの合唱団にも押し寄せてきているのじゃないか、と思います。その中で、バランスの取れた要員配置を確保するためにはどうしたらいいか。日本の会社の色んなところで話題になっている「労働力確保」という課題と共通する問題のような気がする。

日本の会社の抱える問題と異なるところは、合唱団というカルチャー団体において、「女性」という人材を確保することは、比較的容易だ、ということです。専業主婦にはヒマがあるから、という要素は勿論あるとは思いますけど、それ以外に、男性における会社と同じように、主婦にとっての「コミュニティ」として、合唱団が機能している、という要因が大きい気がする。

女性が多く、若者が少ない混声合唱団。この適正バランスを確保するために、例えば自分の若い娘などを同じ合唱団に入れて、若い女の子をエサに若い男の子を釣り上げる、という手段に出る合唱団もあるかも。でもこういう手段もそんなに長続きしないんだよねぇ。若者というのは、合唱団以外のコミュニティも沢山持っているから、一つのコミュニティに継続して所属してくれない。もちろん、合唱団としての実力や名声が確立している合唱団は、大学を卒業した若い合唱愛好家たちが継続して入ってきていて、さほど悩むこともなく人材を確保できている気はするんだけど。だからといって、全ての合唱団が、全国的に名の知れた実力派合唱団になる、というわけにもいかんし。

となると、長い目で見た適正バランス維持のためには、やはり「団塊の世代」のリタイアを待つしかないのかもしれないですねぇ。「団塊の世代」のオジサマがたが、会社と言うコミュニティを失い、行き場をなくした帰属意識の一つのよりどころとして、「合唱団」に駆け込んでくる。こう書いてしまうと身もふたもない言い方になっちゃいますけど、わりと悪くないセカンドライフの一つのチャンネルだと思います。団塊の世代が大量に社会に放出される2007年まであと2年。世間の各合唱団は、「団塊のオジサマ」獲得に向けて、今から積極的に根回しを開始するべきなのかもしれないぞ。たとえば、定年間近のだんな様を持っている奥様方の入団を促進した上で、旦那さまを勧誘してきた奥様には団費の夫婦割引を適用するとか…なんだか怪しい経営コンサルティング本みたいになってきたな…。