スピコラ

師走です。ということでとっても忙しい。師走という言葉自体、せかせかした感じがするわけですけど、この言葉、どうやら当て字らしいですね。師走という言葉の語源について真剣に考察したHPを見つけてちょっと楽しくなってしまったのですが、「十有二」と書いて、「シハス」と読んでいたものに、「師走」という字を当てたらしい。じゃなんで、「師」が「走る」なんだ、と言えば、お坊さん(師)が年末に向けて走るんだ、とか、先生が走るんだろう、とか、色々言う人がいるけど、よく分からんそうです。

そういえば最近毎日感じている疑問。会社のすぐそばを流れている「日本橋川」という川があるんです。この川の水位が、非常に不思議な動き方をする。台風とかが来た時には増水する、というのは分かりやすいんですが、晴天が続いている日にいきなりやけに水位が上がっていたりする。かと思うと、割と長雨が続いているのに水位が低かったりする。なんでこういうことが起こるんだろう。だれかご存知の方があったら教えてください。

こういう疑問を我が家で口にするのは、非常な緊張を伴う行為です。まだ新婚ほやほやくらいの頃、TVから流れてきたアジア風の民族楽器の音色を聞いて、私が、「この楽器、なんていう楽器なの?」と聞くと、女房が、「インドの民族楽器で、スピコラという楽器だよ」と真面目な顔をして答えた。私が、「へえ、なんでもよく知ってるねぇ」と素直に応じると、女房が目をむいて、「信じたの!?本気で?ほーほっほっほ!」と勝ち誇ったように高笑いを始めた。だまされたんです。スピコラなんて楽器、この世にありません。女房がとっさに思いついた架空の楽器です。自分のクリエイティビティを家族をかつぐことで無駄遣いするな。おかげで私は未だに、女房が語るウンチク話にはいちいち身構えねばならない。結婚してもう8年になるというのに、我が家の夫婦の会話は常に敗北感と緊張に充ちている。

世の中には不思議なことが多くて、「なぜ?」「どうして?」ということを重ねて人間は生きていくわけですけど、それでも謎は次々と増えていくばかり。となれば、謎は謎として、「それはスピコラというんだよ」なんて煙に巻きながら、楽しく生きていくのも面白いかもしれない。今日はだまされないぞ。だまされてたまるか。あの高笑いが耳について離れない。ええい。