学習机侮りがたし

おかげさまでこの日記へのアクセス件数が3万件を越えました。皆様日ごろのご愛顧ありがとうございます。といっても、別に何か思い切ったリニューアルをするつもりもなくて、相変わらず、だらだらと時期ハズレの感想文やらなにやら、書き連ねていこうと思っています。昨日、来月あたりから週刊にしようか、と書いたら、この日記の愛読者(うちの女房)から、「毎日更新じゃないとつまらん」とクレームが入りましたので、なんとかアクセス手段を考えて、できる限り更新していくようにしますね。
 
さて、今日は、先日行った家具屋さんで思ったこと。

久しぶりに、女房も私も週末の予定がなく、家族3人そろって、見に行きました、「学習机」。娘も小学生になるんだなぁ。幼稚園に通い始めた時にも感慨はありましたけど、小学校入学、というのは、まるで別の感慨がありますね。

学習机や、子供用のベッド、それもはしごで登るタイプのもので、下が収納スペースになっているものを中心に見て回る。ほんとに色んなタイプのものがあるんですね。自分が子供のころ、2人兄弟でしたから、二段ベッド、というのがすごく楽しかった記憶があります。なんか、潜水艦の船室みたいな感じがするんだなぁ。娘も、ベッドの下の暗がりにもぐりこんだり、小さなはしごを上ったりして大はしゃぎ。人間って、こういうせせこましい場所に籠もるのが好きなんだよね。母胎回帰願望、というやつだろうか。

学習机も、私が子供だった頃に比べて格段に使いやすく、色んな機能が付いている。色んな機能といっても、私が子供の頃には、「そんなの使わないよ」というような各種アクセサリーがデコデコついてたものでした。自動鉛筆削り器が付いてる、とか、時間割表を入れるフォルダーが付いてる、とか、前面にキャラクターのイラストが付いてる、とか、カレンダーが付いてる、とか。ほとんどが子供のいたずらで壊れちゃったり、破れちゃったりして、使えなくなっちゃうんだよねぇ。

最近のものは、そういうデコデコしたアクセサリーでなく、空間を有効に使うための細かい工夫が施されたものばかり。取り外し可能の書棚、机の隅々まで照らせる可動式の蛍光灯。ワゴンタイプの引き出しの天板は引っ張り上げると机と同じ高さになり、机の作業スペースを広げることができる。下げるとそのまま机の下に、普通の引き出しのような形で収納できる。机の前面の棚が手狭になってきたら、取り外して単独の本棚として使える、なんてのもある。べんりだぁ。

日本というのは、世界一消費者の力が強い国だと思います。なんでこうなっちゃったのか、というのは、日本の国民性だと思うんだけどね。例えばアメリカとかだと、誰も彼もが文句を言うから、逆に、企業としても消費者の文句に対応する必要がなくなっちゃう。「そんなクレームに対応していたらキリがありません」「我慢してください」で通ってしまう。でも日本は、文句を言う、声の大きい消費者の数が少ない。でも、大多数の消費者は声を上げずに黙っているから、余計にそういう文句を言う少数派の声が大きく響く。それくらいの大きな声になると、今まで声を上げてなかった消費者たちまで、「オレもそう思ってた」なんて同調し始める。ヘタをすると、企業イメージを脅かすくらいの大きな声に成長してしまう。滅多に文句を言わない消費者が、たまに文句を言うと怖いもんだから、企業としても、そういう声に耳を傾ける、という文化が育ったんだと思うんです。最近は誰でも文句を言うけどね。

関係ない話ですけど、数年前ぐらいに、あるコンビニで、お釣りの渡し方が変わったのに驚いたことがあります。「まず大きいほうから」と言って、お札を先に渡してくれる。そのあと、「おあと細かいほう」と言って、小銭を渡してくれる。お札と小銭を一度に渡されると、小銭を落としたり、お札の数え間違いに気付かなかったりするけど、こうやって分けて渡してくれると、そういう間違いもないし、何より丁寧で好感が持てる。

と思ったら、このお釣りの渡し方、あっという間にどの店でもやるようになりましたね。今ではどんなスーパーに行っても、当たり前のように、「お先に大きいほう」という言葉が聞かれるようになりました。でも、これって、10年前にはこの世に存在しなかったサービスだよねぇ。こういう所も、日本企業ってすごいと思う。ある企業が気付いた良質なサービスを、即座に取り込む柔軟性。

日本の製品が世界に通用する競争力を手に入れたのは、世界一厳しい消費者の声と、その声を機敏に取り入れる企業文化の結果。そうやって洗練され、向上していくサービス品質を、便利で使いやすくなった学習机たちの中に、すごく具体的に見た気がしました。学習机あなどりがたし。また見に行こう。