中国のインフラさまざま〜その2〜都市のインフラ

中国紀行の続き、今回は都会の印象を。

今回、北京と上海を訪問したのですが、共通しているのは、街の人たちの豊かさ。よく言われる話ですが、沿海部の大都会に住んでいる、というそのことだけで、中国の中ではすでに勝ち組。郊外のマンションは全て億ション、高速道路には外車、それもイタリアの高級車が普通に走っています。金メタルのポルシェってのも走っていて、なんかアイアンマンみたいだなあと思った。人口の5%くらいしか富裕層はいない、なんていう人もいるけど、人口が十三億五千万人いるんだから、日本の人口の半分くらいが億万長者ってことですよ。笑うしかない。



上海の南京路は広くてきれい。何だかニューヨークのタイムズスクエアを思わせる。


南京路を走るトローリーバス。観光用、という感じですね。


こちらは北京のショッピングモール。真夏でもやっているスケートリンクがあり、子供達のスケート教室をやっていました。

上海は大阪、北京は東京によく例えられますが、規模感からいうと、むしろニューヨークとワシントンに似ているかもしれません。精神的には、何かと東京に張り合う大阪に似たメンタリティが上海にはあって、上海駅の規模を誇ったり、北京オリンピックの直後に上海万博をぶち上げたり、と、対抗意識を燃やしているらしい。上海の人は北京の人と結婚しない、なんて話も聞いたなぁ。本当かどうか知らないが。


上海の地下鉄につながる地下街。華やかで、何でもある感じ。


欧米風の壁面広告と共産党をたたえる壁画が並ぶ、何だか不思議な光景です。上海、人民広場駅の近く。

こんな豊かな大都会の生活にも、どこか中国ならではの壁が見え隠れする。まずそれを実感したのはインターネット。上海に着いたその日には、ホテルのインターネットからfacebookに問題なくアクセスできたのだけど、翌日から、facebookにもblogにも全くアクセス不能になりました。NHKの国際放送が突然真っ黒な画面になってしまう、という話は聞いていましたが、徹底的な情報規制がひかれているこの状況を、「Great Firewall」というそうな。(ご存知の通り、万里の長城のことを「Great wall」というもじり。

上海でも北京でも地下鉄網が発達していて、上海の地下鉄はロンドンに次いで世界で二番目の総延長距離を誇るそうです。東京よりもロンドンの方が長い、というのも意外だけどね。東京は密度が濃いからなぁ。


その地下鉄に乗る時には、必ず手荷物をセキュリティチェックしないといけません。公安に引っ張られるのが怖くて、写真はブレブレになってますが、各駅にこういうセキュリティチェックのゲートがある。でもほとんどノーチェックです。引っかかってる人を見たことがない。我々が出発した3時間後に、北京空港で爆発騒ぎがありましたけど、本気でチェックする気なんかないんだから通り抜けられて当たり前だと思います。

ここでもシステムと運用のギャップが露呈しているんですね。最新鋭のシステムを導入しても、それを運用する人の気持ちがついていっていない。米国でも同じような問題を感じることがあって、米中で共通しているのは、システムを机上で考える人と、それを実際に運用する人との間に、種々の巨大なギャップがあること。貧富の差、知識教養、意識やモティベーション。それを徹底的なマニュアル化で克服しようとするのが米国で、徹底的な賞罰主義で強制しようとするのが中国。日本は、運用者と企画者の間の格差が小さく、全員平等主義でモチベーションを維持してきたのだけど、結果としての高コストと悪平等によるエリート層の品質劣化で緩やかな衰退を続けている。非常に乱暴なサマライズだけど、結構外してない気がする。

ついでに若干脱線します。この極端な貧富の差の拡大による貧困層の不満のはけ口が、中国における極端な反日活動だ、というのはよく言われることですよね。最近思うのは、ひょっとして韓国の反日感情、というのも中国と同じ構造を持っているのかも、ということ。韓国は日本ほど成熟した規模の国内市場を持たないので、サムソンのように海外に活路を見出して成長している国。逆にいうと、韓国人にとって、海外で稼げる人こそが勝ち組で、国内に残っている人たち、というのはそれだけで負け組なんだよね。アメリカにいた頃、周りにはいっぱい韓国人がいましたけど、全員に共通していたのは、絶対に韓国には戻らない、という強い意思でした。

そういう目でみると、今の韓国の極端な反日感情というのは、韓国国内でくすぶっているしかない負け組の閉塞感のはけ口なのかな、という気がしないでもない。ちょっと中国と相似形で見過ぎているかもしれないけど、そういう側面もあるんじゃないかなぁ。