大船渡に行ってきました(そのよん)〜おおふなと夢商店街〜

震災から1年たっても、まだがれきが山積する陸前高田の街並みは、決して特別な光景、というわけではなく、おそらく今回の被災地の多くに共通する状況なのだと思います。被災地の大部分は、まだまだ復興途上どころか、復興のスタート地点にも立てていない。全国からの支援のボランティアがたくさん集まってきていますが、復興の原動力になるのは、地元の行政の力であり、地元企業の力であり、何より、地元の人たちの力です。ボランティアは地元の人たちの復興の意志をよみがえらせる手伝いはできるかもしれないけど、それはあくまでサポート。前に進むのは、地元の人たち自身。もしも、けせんライナーに乗り込んだ多くの若いボランティアの人たちが、三陸の人と自然の優しさに触れて、そのまま定住の道を選択してくれたとしたら、そうやって三陸の若い人口が増えていったとしたら、それは本当に最大の復興の原動力になりうるんだろうけどなぁ、なんて思ったりする。

陸前高田から、大船渡市内に戻ります。45号沿い、高台にあって被災をまぬがれた、「おさかなセンター」という施設でお買いもの。大船渡を代表する銘菓「かもめの玉子」や、被害の大きかった赤崎で作られた「さんまのかば焼き」などを買い込む。「さんまのかば焼き」を見た義姉は、赤崎の水産加工業がよみがえってきている証拠だよ、と教えてくれました。おさかなセンターでは、地元で採れた新鮮な魚たちもたくさん並んでおり、水産業の復興が少しずつ進んでいることを感じさせます。

そのまま大船渡市街地に戻る。大船渡駅前に広がるのは、陸前高田同様の、破壊された更地とコンクリートの壊れた建物たち。


かつて繁華街の中心にあった大船渡駅は、竹駒駅同様、プラットホームだけを残した無残な姿になっています。

でも、この大船渡駅跡に、桜色の「夢」の文字の幟が翻っていました。NHKでも取り上げられた、「おおふなと夢商店街」です。


「夢」の文字の真ん中にあしらわれているのは、大船渡を代表する花、椿です。


遠くに見えるのは、再開した大船渡プラザホテルです。

義父と義母も初めて訪れたそうで、昔からひいきにしていた味付け海苔のお店で再会を喜んだり、さいとう製菓とならんで地元では人気の高い「高瀬」という和菓子屋さんで、名物の「甘ほたて」というお菓子を買ったりしました。最中の皮がほたての形をしています。あと、「ひとくち」という大人気のお菓子があるそうなんだけど、これは残念ながら売り切れていた。NHKに取り上げられて以来、客足も好調なのだそうです。

最後に立ち寄った鮮魚「うえの」は、NHKの番組で鶴瓶さんも立ち寄っていました。地元でも人気のお魚屋さんで、お刺身を買うならここ、と決めている人も多いそうな。その場でマグロを見事な包丁さばきでお刺身にしてくれました。


お店の看板はご主人のお孫さんが描いたもの


毛ガニがうまそう!!

同じような復興商店街は、気仙沼でも、陸前高田でも、被災地の各地で作られていると聞きます。義父や義母が店の人たちとの再会を喜んでいたように、こういう商店街が、地元の人たちの出会いの場になっている。何より、店の人たちが、自分の店舗で商売が再開できたことを本当に喜んでいて、楽しそうに仕事をしている姿が印象的でした。がれきを見に行く「観光客」たちを非難する論調もあるみたいだけど、目的はなんだっていい。東京の人たち、けせんライナーに乗って、三陸の復興商店街に行って、少しでもたくさんの買い物をしてあげてください。マニュアルの笑顔しか見られなくなった都会の商店街にはない、本当の「ありがとう」が聞けるはずです。


各店舗の入り口に貼られた、子供たちが書いた、「夢」の文字。これを支えるのが、僕らの役目。