「湘南沙羅」「アマトーリ・ディ・ムジカ」ジョイントコンサート〜いつまでも歌い続けること〜

昨日、会社をお休みして、横浜みなとみらい小ホールで開かれた、「湘南沙羅」「アマトーリ・ディ・ムジカ」というママさんコーラスの団体の、ジョイント・コンサートをお手伝いしてきました。以前もこの日記に書いた、金井信さん作曲の「ノクターンの旅人たち」という曲の、ナレーションのお手伝いです。

みなとみらい小ホール、初めてお邪魔したホールだったのですが、本当に綺麗で、とってもいい空間ですね。すごく深みがあってよく響くし。舞台裏やロビーの設備も実に充実していて、ロビーの窓からは海も見えて気持ちがいい。クロークもあり、ホールスタッフも手馴れている。キャパも440と、普通の「小ホール」よりも随分大きい。本格的なコンサートホール、という感じでした。いいなぁ、こういう場所。

団員の皆様が、気合を入れてチケット販売されたそうで、客席はほぼ満席。肝心の私のナレーションの方は、いつもの緊張病が出てしまって、リハーサルの時に色々と整理した声のトーンとか演技が大半ぶっ飛んでしまった。よく響くホールなので、マイクは使わずに生声でやったのですが、自分の声の響きがきちんと会場から戻ってくる感覚があって、すごく喋りやすい。ピアノの辻悦子先生も、伴奏のトーンを少し抑えてくださって、色々と環境は整ってたんですけど、自分で計算した部分の7割程度しか表現できなくって、ちょっと情けなかったです。ごめんなさい。もうちょっと修行します。

こういう、合唱曲などの音楽と朗読のコラボレーション、というのはすごく面白いジャンルで、やってみると色んな発見や自分なりの工夫の余地があり、実に楽しいんです。今回も、「アマトーリ」の皆さんの歌声や、悦子先生のピアノからイメージを膨らませて、「こういうお芝居にしてみよう」「こういう仕草を入れてみよう」とか、色々と自分なりに計算したり、考えたり(本番では7割しかできなかったけど(^_^;))、とっても楽しい時間を過ごさせていただきました。思いがけなく横浜で家族サービスもできましたし。声をかけてくださった辻志朗先生、「アマトーリ」の皆様、本当にありがとうございました&お疲れ様でした。今後もこういう機会があるといいなぁ、ということで、合唱曲の作曲家の皆さん、是非朗読付きの曲を沢山作曲してください。でもって、合唱団の皆さん、そういう曲を取り上げたいと思ったら、ご一報くだされば飛んでまいります。なんちゃって。

「湘南沙羅」は、故 辻正行先生が指導されていた合唱団で、息子さんの志朗先生が引き継がれた合唱団。志朗先生が、「ボクが子供の頃、既におばあちゃんだった方が、まだ現役で歌ってらっしゃる」とおっしゃる、平均年齢70歳代の大ベテラン合唱団です。でも、声量といい、声の艶といい、そんな年齢は全然感じさせない。「アマトーリ」との合同ステージになった、「唱歌の四季」は、耳慣れたメロディーにベテランの品格が加わり、二台ピアノの厚みも加わって、重厚な舞台になりました。

アンコール曲は、鈴木憲夫さんの「ほほえみ」だったのですが、この年齢のおばさま方が歌う「ほほえみ」って、なんだか平常心では聞けない部分があるんですよね。どうしても、客席のどこかで、正行先生がにこにこ舞台を眺めている気になっちゃう。そんな思いと、歌自体の味わい深さも加わって、客席では涙ぐんでいる女性もいました。

打ち上げ会場にお邪魔して、色々お話していると、ある方が、「singspielerさんって、東大の合唱団にいらっしゃったっていうけど、白ばら会合唱団って、ご存知?」と聞いてくる。「知ってるも何も、私、そこの卒団ですよ」という話をしたら、

「私、白ばら会合唱団の創立時のメンバーなの」

とおっしゃって、思わず絶句。白ばら会合唱団って、去年、60周年だったんですよ。「東大の学生さんとね、私たちとでね、あの合唱団を作ったの。今でも、当時のOB/OGで集まって、肩を組んで歌ったりするのよ」とにこにこと笑ってらっしゃいました。驚嘆。

いつまでも歌い続けること、いつまでも、生活の中に音楽があること。心と体の若さを保つのに、とてもいいクスリなのかもしれないですね。私も90歳になるまで、馬鹿馬鹿しいオペレッタコミックソングを歌っていたいなぁ。

また一つ、とっても味わい深い舞台が終わりました。やっぱり、舞台っていいなぁ。ほんとにいいなぁ。