なつやすみ〜と叫んでみても

なつやすみ〜と叫んでみても、夏休みは戻ってこないのでした。嗚呼。

というわけで、職場復帰しております。この夏休み、色々とあったアクシデントを逆手にとって、なかなかに充実した時間をすごすことができました。ざっと日記風に。
 
10日(月)夏休み冒頭の最大のイベント、娘のピアノコンクール出場の日。予選には2回エントリーしていて、1回目がこの日。検見川にある、美浜文化ホール。だめだった時のために、8月末の都内の予選にもエントリー。今日だめでも、まだ次がある、と思いながらも、この日に予選通過してくれればうれしいなぁ、と臨みました。

朝から大雨が続いていたのだけど、時間厳守、ということもあって、娘と女房は電車で移動。パパは車で移動。ところが、娘と女房が乗った京王線が遅れ、通勤時間にも重なって、電車は超満員に。娘は気分が悪くなってしまい、途中下車。新宿駅総武線に乗った時には顔色が真っ青で、女房は、「今日はたどり着けないかも」と、棄権も覚悟したそうな。幸い、下りの総武線は空いていて、娘は座った途端に爆睡、目が覚めたらすっかり元気になっていて、女房もほっと一安心。駅に先着していたパパの車に乗って、3人で会場に向かいました。

会場の美浜文化ホールは、とっても新しいホールで、きれいです。ここの「音楽ホール」というのが会場。152席、というこじんまりした演奏会専用ホール。素敵な場所だなぁ、と思いながら、ほかの子供たちの演奏を聞く。これがどの子も無茶苦茶うまい。娘も聞きながら、「これはやばい」という気分になってきたらしく、ホールの外のソファーで、「どうしよう、途中からどう弾くのか忘れちゃった。どうだっけ」などと焦りだす。順位選抜じゃなくて、どれだけきちんと弾けたか、という絶対評価なんだから、他の人がどれだけ上手でも大丈夫だよ、と言い聞かせながら、控え室へ。

パパは客席で聞いていたのですが、娘は、小さなミスはあったものの、「大雷雨」「バラード」の二曲をなんとか弾ききりました。おかげさまで、予選通過。娘は、合格証をもらって、本当に嬉しそうでした。10月の本選に向けて、新しい曲の勉強が始まります。大好きになった「大雷雨」とはこれでお別れだけど、またたまに弾いてあげようね。
 
11日(火)早朝、突然の揺れに目を覚ます。ニュースをつけてみれば、静岡で地震だ、という。新幹線で新大阪に向かうはずの日。当然のように、新幹線は始発から運転見合わせ。どうする、と言っていても仕方ないので、とにかく東京駅に向かうことにする。

東京駅に着いてみれば、駅のコンコースは既に人であふれており、床にシートを広げて座り込んでいる家族も多数。改札口で確認してみれば、私が予約した新幹線は運休になっている。窓口で聞いてみても、「他の指定席への振り替えはできないので、とにかく来た電車の自由席に乗ってもらうしかありません」と言われる。こんなことは初体験なので、どうしていいものだか、と途方に暮れる。

どのホームにいつ電車が着くかも分からない。とにかく、改札を通って、娘に、「どのホームにする?」と尋ねる。娘が選んだホームに上がってみると、「今すぐ出ます」という新幹線がホームにいる。発車ベルがずっと鳴っている。突然、女房がダッシュする。え、次のを待てばいいのでは、と最初から諦めモードのパパを尻目に、女房は自由席の車両に飛び込み、喫煙車ながら、3人並びの席を確保してしまいました。さすが土俵際の魔術師、いざという時の動きが違う。

娘のくじ運の強さと、女房のダッシュのおかげで、予定より少し遅れた程度で、新大阪にたどり着くことができました。夜は、有馬温泉の有馬グランドホテルでのんびりお湯に浸かって、和食の懐石をいただく。地震の影響もほとんどなく、快適な帰省のスタート。
 
12日(水)午前中に、亡父の墓参り、親戚の挨拶回りをすませ、お昼は、母の実家の「かさや」のしいたけ狩りと野外バーベキューを楽しむ。天候に恵まれ、本場の三田肉に舌鼓を打つ。前にも書いたかもしれないけど、三田肉、というのは、巷の牛肉とは別の種類の食べ物だと思った方がいいよね。

午後は、いつも行く神戸市フルーツフラワーパークに行き、プールでさんざん泳ぐ。娘はすっかり平泳ぎが上手になって、人ごみの間をするすると縫って泳いでいきます。パパよりよっぽど泳ぎが上手。臨海学校で黒くなった上に、さらにチョコレート色に焼けました。
 
13日(木)には、三田市内にある「人と自然の博物館」に行く。ミニ科博、という感じで、娘は、恐竜の化石模型などに見入っていました。お昼は、父の実家の近所にできた、ジャスコのショッピングモールに。アメリカのショッピングセンターを思わせる巨大商業施設で、アウトレットモールも隣接しています。洒落たバイキング形式のレストランに入る。娘はチョコレートファウンテンを楽しんでおりました。
 
14日(金)、すっかり地震の影響もなくなった新幹線で帰ってきました。15日(土)、ガレリア座の次回公演の制作発表に顔を出し、夜、近所のお好み焼き屋さんに行く。お会計の時、「くじ引きがあるので試してください」と言われ、娘が引いたくじが、1等賞の「花火セット」。どこまでもくじ運の強い子供だ。
 
16日(日)は、調布市文化会館「たづくり」に、30日のGAG公演の下打ち合わせに行く。会館のスタッフさんがすっかり、「GAG」という団体を認識してくれていて、「前回はこんな感じのセッティングでしたよね」という感じで、打ち合わせもとてもスムーズ。こんな風にして、地元に根付いていけるといいよね。

夜、娘が当てた花火セットで、自宅の玄関先で花火を楽しみ、夏休みは終わり。なつやすみ〜、と叫んでみても、夏休みは帰ってこないのです。ぐすん。
 
私が子供の頃、三田市内はもっと山深い町並みでした。立派なショッピングモールが建った父の実家の近くは、ただの緑の山で、父や兄と一緒に山菜取りのハイキングに行った場所でした。都市化がどんどん進んで、私の子供の頃の「田舎」とはかなり趣きも違うけど、東京っ子の娘からすれば、本当に緑深い「田舎」。母親が元気で、我々家族の「田舎」を守ってくれていることに感謝する夏です。