推しが世間に見つかるのって心配なもんだねぇ。

最近余裕がなくってこのブログも放置状態だったんですが、たまには更新しないと忘れられてしまうかしら、ということもあり、ちょっと最近思ってることを。とはいえ、かなりヲタ系に近い投稿なので、お前の推しの話はいいよ、と言われそうな気も。まぁ推しをお持ちの方だけじゃなくて、最近ネットやSNSでの投稿にはまっている方にも共感いただけそうなネタなので、お時間のある方は是非お付き合いくださいませ。

 

以前にもこのブログで紹介したんですが、推しのさくら学院卒業生の山出愛子さんに提供された楽曲が本当に素敵で、そこからすっかり推しになってしまった、シンガーソングライターの遠坂めぐさん。毎週土曜日夜に欠かさず配信されているYouTubeライブの視聴だけじゃなくて、3月に開催されたライブにも参戦。小柄で可憐な外見とパワフルなピアノのギャップ、ソウルフルで伸びやかなボーカル。日常のワンシーンを、新鮮な、でもどこか優しい視点で切り取るビビッドな歌詞に笑ったり泣かされたり、ヤマハ音楽教室で鍛えたハッとするようなコード進行の鮮やかさとか、はずれのない名曲の数々と、知的で飽きのこないMC含めて、この人は本当に売れて欲しいなぁ、と思って追いかけていました。森七菜さんへの楽曲提供とか、メジャー界からもピックアップされ始めて、そろそろブレイク間近かも、と思っていたんだけど、この3月頃までは、土曜日の配信ライブの視聴者は100名に届くことも稀。配信中にコメントを送ってくる常連さんたちと、それをこまめに拾う遠坂さんとのキャッチボールのライブ感も楽しくて、地下アイドルとまではいかないけど、小さなコミュニティの中で応援しているこれからの才能、という感じが強かった。以下に貼るのは、そのコミュニティの中でも人気の高いオリジナル楽曲「うすしお」のMV。コロナ禍で会いたくても会えない人々の思いを、ポテトチップスというジャンクフードに重ねる地に足着いた視点が、胸の深い所に沁みる名曲です。

youtu.be

 

状況が激変したのは、3月のライブ前後に遠坂さんが投稿したTikTokの動画、「キレてます」シリーズが5000万回を超える人気動画になってしまった時から。慶応出身という才女らしいちょっとジャーナリスティックな視点も入りつつ、日常の中の「あるある」を耳に残るメロディで呟くこのショート動画がバズったおかげで、一気に知名度が上がってしまった遠坂さん。当然のようにYouTubeの登録者数も激増して、この週末にはついに7万人を突破。3月頃には確か4000人、とか言ってたのに、YouTubeTikTokでも注目の人気急上昇クリエイターに躍り出てしまいました。下に貼り付けたのは最近見てお気に入りになった「キレてます」シリーズの「おやつ集」。

 

youtu.be

 

こうなると、毎週土曜日のYouTube配信ライブの視聴者も一気に増加してしまって、500人近い人たちが見るようになってしまう。そうすると、そうなんです、コメント欄が荒れてくるんですよ。一見さんや、「キレてます」動画みたいなネタ配信を期待する視聴者さんのコメントがやたら増えてくる。遠坂さんの配信ライブは、無料配信でありながら、一時間の中に必ず胸にぐっとくるオリジナル曲の演奏や、どんなカバー曲もこなす一級のパフォーマンスにうなる瞬間があるのが楽しみで、「キレてます」みたいな瞬間芸だけじゃない遠坂さんの実力と魅力が堪能できる時間なのに、ちょっと違うかな、と思うコメントが増える。中には明らかに荒らし目的のコメントも乱打されたりして、以前のように、常連さんばかりが訪れる平和なコミュニティの感じがかなり失われてしまいました。

 

なんかそれを見てるとね、ヲタ界隈の人達が、自分の推しが人気が出始めると、「やばい、見つかってしまう」と言っている意味が分かる気がしたんだよなぁ。露出が増える、ということはビジネス上の利益を生むだけじゃなくて、人目に自分の姿をさらす機会が増えることで間違いなくパフォーマンスの水準を上げる。実際、遠坂さんの歌唱もピアノも、この春ごろからのクオリティの上昇が半端なくて、ショート動画でも、しっかり毎日自分のパフォーマンスを世の中に発表し続けていることって大事なんだなぁって思います。

 

それでもねぇ、特に遠坂さんは、私の娘に年齢も近いこともあって、いろいろ心配になっちゃうんですよね。荒れてるコメント欄に毅然と冷静に対応している遠坂さんとか見てると、自分の娘にその悪意が向けられているような気分にもなって、遠坂さん、負けるなって思いながらも、なんか、無理しないで、なんて思ったりもする。ネットって本当に、公衆便所の落書きのような意味のない悪意や受け手の気持ちを無視して垂れ流される薄汚い言葉に充ちていて、そういう匿名の悪意みたいなものから身を守るのって本当に大変なんだなぁって、「見つかってしまった」推しの状況の激変を見ながら、ネットの世界で商業的に成功することの大変さ、というのを改めて感じています。もちろん、プロの世界に身を投じて頑張っている遠坂さんは、私が想像しているより全然肝が据わっているんだろうし、周囲にいい助言者も一杯いて、しっかりこれからの対処も考えているんだろうけど、それでも、悪意も善意も一緒くたに漂い流れているネットの海に浮かぶ小さな舟の上で、胸に残る美しい歌声を響かせている遠坂めぐという才能が、匿名の言葉のトゲに傷ついたりすることがないように、これからもっともっと高い所へと駆け上がっていくように、ちょっと保護者っぽい目線で心配しながら見守りたいって思います。さくら学院の子たちを見守っている視点とも近いのだけど、パトロネージュっていうのはこういう心配ごとがつきものなんだろうなぁ。