フィギュアスケート「Japan Open 2007」〜やっぱライブだなぁ〜

GW前半の週末、色々とイベント盛りだくさんでスタートしました。例によってぼちぼち書いていきます。

週末、上司に薦められて借りてきた「東京の地霊」を読了。土地に潜む「因縁」についての知的冒険。

28日、大田区民オペラ合唱団の練習に。練習の後半はノドが上がってしまって全然歌えなくなっっちゃった。ペース配分に完全に失敗。耐久レースだなぁ。

29日、さいたまスーパーアリーナに、フィギュアスケートの「Japan Open 2007」を観戦に行く。やっぱライブだよ。

30日、娘のピアノ発表会。娘は課題曲をノーミスで弾きこなし、パパは余興で、「待ちぼうけ」を、ママは「ねむの木の子守唄」を歌いました。楽しい発表会だったねぇ。

今日は、GW中のいい感じのイベントになった、フィギュアスケートの「Japan Open 2007」の話を。
 
女房のお友達がご好意で、余ったチケットを譲ってくださって、偶然行けることになったこの大会。日本・欧州・米国、という、3地域(どういう基準で選んだのかはよく分からない)のトップスケーターたちが、プロ・アマ混成部隊でフリー演技を競う。個人の得点が加算されて、男子2名、女子2名、合計4名の合計点で順位を競う、という、変則的な大会ですが、トップスケーター達だけに、見ごたえは十分。多分に、2006〜2007年シーズンの最後の、お祭り色の強いイベントのようです。

選手たちも、シーズンの疲れが溜まっている上に、本格的な競技会ではない、ということもあり、なかなか4分間集中力を保つのが難しいらしくて、お目当ての真央ちゃんもジャンプで失敗を重ねてしまったし、キミー・マイズナー選手なんか、全然なんでもないところでバランスを崩してひっくりこけていた。無理して競技会形式にしないで、普通のアイスショーだけにしてしまってもよかったんじゃないかな、とも思うけど、点数を競うからそれなりに緊張感もあり、よしあしだなぁ、と思いました。

TV東京主催、ということもあって、スター選手たちをそろえないとかっこがつかない。そういう選手たちはただでさえスケジュールが過密なのに、疲れが最高潮に達するシーズン最後に、イベントともなんともつかないような半端な競技会を入れるというのは、ちょっと如何なものなのかしらん。美姫選手と真央ちゃんは、2週間前にカナダから帰ってきたばっかりだっていうし・・・せめて、フリーで競うんじゃなくて、選手の数を増やしてショートプログラムで競うとか、もう少し一人一人の選手の負荷を軽くする方法はないのかなぁ・・・

しかし、こういう過酷な状況の中でも、最小限の失敗でまとめてきた安藤美姫選手は、本当に成長したね。コメントの一つ一つが大人のコメントになっている。オリンピック選手に選ばれた時点で、ここまでしっかり自分を見つめられていればよかったんだけどねぇ。

大会自体の感想はそんな感じだったのだけど、なんといっても、ライブでフィギュアスケートを観戦したのは初めて。初めてだけに、いろんな発見があって面白かったです。
 
・でかい。寒くない。

フィギュアスケートの観戦記などをネットで見ると、「かなり寒いので防寒具は必要」とのこと。カバンにひざ掛け用の毛布などを詰め込んで出かける。さいたまスーパーアリーナは気が遠くなるほどでかい。娘と、「新宿文化センターが何個入るかなぁ」と言い合う。(ちなみに答えは、約20個(1800人収容vs3万7千人収容))

もらったチケットが本当にいい席で、ちょうど選手たちが出てくる角の出口の真上の、前から2列目。おかげで、出口で携帯写真を撮っている浅田舞ちゃんに真央ちゃんが声をかけたりしているのが間近で見られました。おじさんはすっかりミーハー状態だったのことよ。

それだけスケートリンクに近い場所で、すり鉢状の会場の底の方だったのですが、予想していたほど寒くない。季節と天候のおかげもあったのでしょうが、とても快適でした。冬場の大会だとこうはいかないのかもしれないけどね。
 
・「ドスン」

男子の選手がウォーミングアップで出てきて、ぴょんぴょんジャンプし始める。中でもヤグディンジェフリー・バトルへの声援がすごい。ヤグディンがぴょん、ととんで、くるくるまわる。(小学生かよ)で、着地すると、「ドスン」。

ヤグディンだけじゃなくって、他の選手でも、ジャンプの後の着地の音が結構大きい。まさに、「ドスン」という音がする。ジャンプが高い分、着地の衝撃も大きいんでしょうね。女房も、「こんなに大きな音がするんだねぇ」とびっくりしていた。

そんな中で、織田信成選手は、ジャンプの後の着地でもさほど音がしない。ものすごく柔らかな、ネコを思わせる美しい着地で、全体の流れがすごく滑らか。織田選手は男子選手の中でも最高得点だったのだけど、本当にカッコイイパフォーマンスでした。後半のステップシークエンスでは鳥肌が立つほどかっこよくて、ラストのポーズの切れもよかった。織田選手というと、関西系かつお笑い系の顔立ちもあって、「カッコイイ」という言葉はあんまり思い浮かばなかったのだけど(失礼)、全く印象が変わりました。いや、織田選手いいですよ。すごくかっこいい。
 
ヤグディン

点数は低かったのだけど、やっぱり魅せたのが、アレクセイ・ヤグディン。男子選手のトップで圧倒的な存在感をアピール。曲が、私の大好きな「グラデュエーター」だった、ということもあって、終始感動的なステージを見せてくれました。体格が大柄でがっちりしていることもあって、ジャンプの回転数が多少少なかろうが、着地が荒っぽかろうが、あの勢いでぶんぶん飛ばれるとものすごくインパクトがある。

ヤグディンもそうだったのだけれど、生で見ると、トップ選手たちのスケーティングのスピード感に圧倒されました。スケートリンクの端から端まで、ものすごいスピードでびゅんびゅん滑る。スパイラルシークエンスでは、壁ギリギリのところまで展開してきて、思わず「危ない!」と言いたくなるくらいの、紙一重のところで綺麗にターンしていく。このスピード感はやっぱり、ライブでしか味わえないなぁ、と思いました。
 
・黄色い声

人気選手が揃った大会だけあって、声援もすごい。ヤグディンの姿をプリントした特製横断幕あり、ジェフリーくん(キミーちゃんもそうだけど、ただのハイスクールボーイ&ガールなんだよねー)や、ジョアニー・ロシェット選手向けのカナダ国旗が会場のあちこちで振られ、各選手が登場すれば黄色い声援が飛ぶ。(とはいえ、ロシア人やカナダ人に、日本語で「がんばれー」と言っても通じないと思うのだが)

中でもやっぱりダントツに声援をもらっていたのが真央ちゃん。当然といえば当然なのだけど、とにかく子供たちの声援がすごい。表彰式が終わって、選手たちが控え室に戻る前、観客がどどっと最前列の方に押しかけてきて、前の方にいた我々は通路をふさがれてしまう。真っ先に飛び出してきた小学生の2〜3年生くらいの子供は、ひたすら「真央ちゃーん、真央ちゃーん!」とエンドレスで叫び続けている。うちの娘も真央ちゃんファンではあるのだけど、圧倒されて呆然と見つめておりました。

そんな観客に、ニコニコ笑顔で手を振って退場していった真央ちゃんは、本当に顔が小さくて手足が長くて、お人形さんのようでした。失敗もあったし、疲れもあったのだろうに、何事もなかったかのような満面の笑顔。真っ直ぐ直球で、一切余計なことを付け加えない試合後のコメントといい、長島茂雄さんのような、独特の「スターのオーラ」をまとった方です。
 
1万7千人という大観衆の視線を、たった一人で受け止めて、4分間の演技を演じきることの難しさ。0.01秒の誤差も許されない一つ一つの高度な技を、疾走するようなスピード感の中でこなしていく極限のスポーツ。高度なパフォーマンスとしての面白さと、スポーツとしての難しさの両方を、自分の肌で感じることができました。チケットをくれた女房のお友達には大感謝。やっぱり、スポーツと音楽はライブに限るよねぇ。